理学療法士と柔道整復師の違い

理学療法士柔道整復師の仕事内容の違い

理学療法士は、けがや病気の後遺症によって障がいを負ってしまった患者に対し、物理療法や運動療法といったリハビリテーションを行って、日常生活を送るのに必要な身体機能の回復を図る職業です。

一方、柔道整復師は、骨折、ねんざ、打撲、脱臼などの外傷を負った人に対し、整復法、固定法、後療法といった出血を伴わない「非観血的療法」によって、けがの治療を行う職業です。

どちらの職業も、身体構造や運動機能に関する専門家であり、整形外科など両資格者が働く職場もありますが、理学療法士はリハビリを行うことが、柔道整復師はけがの治療を行うことが、それぞれの役割です。

また、両者の大きな違いとして、理学療法士は医師の指示の下でしか治療を行えませんが、柔道整復師は、けがが明らかに外傷性である場合は、自分の判断で治療ができるという点が挙げられます。

さらに、理学療法士は資格を使って独立開業することはできませんが、柔道整復師は接骨院・整骨院を開業し、自身で保険請求することができるという違いもあります。

柔道整復師の仕事

理学療法士と柔道整復師のなる方法・資格の違い

理学療法士になるには、理学療法学科や総合リハビリテーション学科など、柔道整復師になるには、柔道整復学科など、それぞれの学科を設置している養成校に入学し、3年以上学ぶことが必要です。

所定の単位を取得し、無事に卒業した後には、各国家試験の受験資格が得られます。

理学療法士は毎年2月、柔道整復師は毎年3月に実施される試験に合格すれば、それぞれの国家資格を取得して、病院や介護施設などで働けるようになります。

両者は、資格を取得する方法や必要な期間などが非常に似通っていますが、柔道整復師については、在学中に「柔道」と「整復」の認定実技試験もパスしなければならないという点は違いといえます。

なお、柔道整復師は開業することも可能な資格ですが、2018年からは、独立するまでに3年以上の実務経験と一定の研修を積むことが義務化され、資格取得後すぐには独立できなくなっています。

理学療法士と柔道整復師の資格の難易度の違い

近年、理学療法士試験の合格率は80%前後で推移しており、決して問題自体がやさしいわけではないものの、一生懸命養成校での授業に取り組めば合格できるレベルです。

一方、柔道整復師試験は、国家資格が開始された1990年代こそ合格率が80%以上あったものの、年々難易度が上昇していく傾向にあり、近年の合格率は60%前後にまで低下しています。

しかし、双方に共通していえることですが、合格率を新卒者・既卒者別にみると、毎年必ず新卒者のほうが上回っており、既卒者のなかには、それほど真剣に勉強していない人も一部いることがうかがえます。

とくに柔道整復師の場合、新卒者と既卒者では例年50%以上も合格率に開きがあり、新卒者の合格率が毎年80%前後あるにもかかわらず、全体の合格率を引き下げる主因となってしまっています。

新卒者だけをみれば、両試験の合格率は同水準であり、実質的には難易度にほとんど差はないと思われます。

きちんと学校で勉強した人については、どちらの試験も十分に1度でクリアすることが可能といえます。

理学療法士と柔道整復師の学校・学費の違い

理学療法士・柔道整復師ともに、4年制大学、3年制短期大学、3年制・4年制の医療系・スポーツ系専門学校など、目指せる学校には複数の選択肢があります。

また、多くの専門学校では、日中に働いている人でも通えるよう夜間学科も併設されていますので、社会人から理学療法士・柔道整復師を目指すこともできます。

学費については、3年制の専門学校を例に取ると、入学金や授業料などをすべて含めて、理学療法士で450万円~500万円、柔道整復師で300万円~500万円が相場とされています。

理学療法士のほうが柔道整復師よりやや学費がかかりやすいといえますが、どちらについても、しっかりとした技術を身につけるための実験実習費用がかさむため、経済的負担は重くなりがちです。

金銭的に厳しいなら、奨学金や専門実践教育訓練給付金、教育訓練支援給付金、国の教育ローンといった公的制度の利用を積極的に検討してみるとよいでしょう。

理学療法士と柔道整復師の給料・待遇の違い

理学療法士の平均年収は400万円前後とされており、一般的なサラリーマンと同じか、やや下回る程度の水準です。

ただし、平均年収が低いのは、理学療法士の年齢層が非常に若い世代に偏っていることが大きく影響しています。

勤続年数に従って徐々に昇給していきますので、同じ職場に勤め続ければ、比較的早期のうちに年収は平均を超えるでしょう。

一方、柔道整復師の平均年収は350万円~600万円と、個人によってかなり差があります。

病院や介護施設に勤める理学療法士と比べると、接骨院や整骨院に勤める柔道整復師は、より客商売の特色が強くなり、収入は勤続年数などよりも、抱えている顧客の数によって大きく左右されます。

柔道整復師としての人気を集めれば、若手のうちに年収500万円前後を得ることも不可能ではなく、独立開業すればさらに高収入も期待でき、1000万円も夢ではないかもしれません。

ただし、開業にはリスクも大きく、顧客を獲得できなければ、食べていくのがやっとというケースもあり得ますし、最悪の場合、廃業に追い込まれる可能性もあります。

理学療法士と柔道整復師はどっちがおすすめ?

理学療法士と柔道整復師は、どちらもけがや病気に悩む人のために役立てる医療職であり、共通項も数多くありますが、求められる適性や性格などは異なっているといえます。

理学療法士については、一般的にリハビリは成果が出るまでに長い時間がかかり、忍耐をもって仕事に取り組む必要があるため、諦めずに同じ作業を繰り返せる、辛抱強い性格の人が向いているでしょう。

柔道整復師については、固定やテーピング、マッサージといった施術の技量が、職業として成功できるかどうかに直結しますので、辛抱強さよりも、手先の器用さに自信がある人が向いているでしょう。

また、待遇面に目を向ければ、大きな収入を望むより、安定して働きたいという人は理学療法士が、多少リスクはあっても、自分の実力が収入に反映されるほうがいいという人は柔道整復師がおすすめです。

ただ、どちらについても、老若男女問わず、さまざまな人と直に接する職業ですので、人当たりのよさや親しみやすさ、対話力など、コミュニケーションスキルが非常に重要になるでしょう。