理学療法士になるための学校と費用(大学・専門学校)
理学療法士になるための学校
進学する必要性と学校の種類
理学療法士国家試験を受けるためには、行政の指定する「理学療法士養成施設」において3年以上学び、所定の単位を取得して卒業すること、あるいは卒業見込となることが条件となっています。
このため、理学療法士を目指すなら、いずれかの学校に通うことは必須であり、たとえばまったくの独学で、あるいは通信講座などを利用して、理学療法士資格を取得することはできません。
養成施設には、おおまかに4年制大学、3年制短期大学、専門学校(3年制・4年制)の3種類があります。
入学試験の科目や難易度、国家試験の合格率、卒業後の進路、学費など、各学校によって異なる特徴がありますが、卒業までの流れはある程度共通しています。
授業内容と卒業までの流れ
1年目については、解剖学、生理学、病理学、運動学など、医学に関する基礎科目を学びます。
理学療法学科だけでなく、作業療法学科や看護学科など、ほかの資格を目指す生徒と合同で講義が行われるケースも頻繁にあります。
2年目以降は、理学療法概論や臨床運動学など、徐々に専門的な内容になり、学科ごとに別れて講義を行うようになります。
治療方法や訓練方法といった実務知識を学びますので、1年目のうちにしっかりと基礎ができていないと、応用問題についていけなくなる可能性もあります。
3年目・4年目の最高年次は、引き続き座学もありますが、これまで学んできたことの集大成として「臨床実習」を行うことと、国家試験対策を行うことがメインとなります。
身につけた知識を生かして実習をこなし、校内での模試などでも十分な成績を残せば、卒業見込として国家試験の受験資格が与えられ、卒業を間近に控えた2月頃に試験に臨むことになります。
理学療法士になるための大学と学費
理学療法士を目指せる大学は、理学療法学科やリハビリテーション学科を設置している大学が対象となります。
数多くの大学があり、京都大学や名古屋大学、神戸大学といった名門国立大から、偏差値35程度の地方私立大学まで、入学難易度もさまざまです。
大学に進んだ場合、より専門的な知識を学ぶために、あるいは臨床現場でなく研究職として働くことを目指すために、大学院まで進学するという道もあります。
学費については、公立の場合4年間総額で250万円~300万円前後、私立の場合は550万円~800万円前後が相場であり、公立と私立で約2倍ほどの開きがあります。
公立のなかでも、各国立大学は、国からの補助金があるため、入学金や授業料がかなり低めに設定されています。
理学療法士になるための専門学校と学費
理学療法士になるための専門学校は、医療系、福祉系、スポーツ系など、さまざまな特色をもったところがあります。
大学と比較すると、授業はより実務や国家試験を意識した実践的な内容になり、臨床経験の豊富な現役理学療法士が教鞭を取っているケースも珍しくありません。
また、昼間部(第一部)と夜間部(第二部)を併設している専門学校も多く、働きながら資格取得を目指す人も大勢います。
学費については、3年制で350万円~500万円、4年制で550万円~800万円が相場とされており、昼間部より夜間部のほうが若干安くなる傾向にあります。
かなりまとまった金額が必要になるといえますが、分納制度や各種奨学金制度、特待生制度、教育ローン制度などを利用して、負担を軽減することも可能です。
学校の選び方
3年制か4年制か
理学療法士になるための学校を選ぶ場合、まずは3年制か4年制、どちらにするかを決める必要があります。
3年制は、1年早く現場に出られる、学費が安くすむというメリットがある一方、カリキュラムに余裕がなく、かなり集中して勉強に励まなければなりません。
4年制は、スケジュールにゆとりがあり、知識の幅も拡がりやすいといえますが、経済的負担が重くなりやすいのが難点です。
どちらを選ぶにしても一長一短ありますが、働きだした後のキャリアに影響を及ぼすことはありませんので、各自の事情を勘案して最適な方を選択してください。
設備の充実度合い
理学療法士の仕事は、物理療法や運動療法といったリハビリテーションがおもであり、できる限りそれらについての知識を、教科書から学ぶのではなく、実体験から学べる環境が望ましいといえます。
従って、専用の実習室があったり、車椅子、義足、義手といった補助器具や各種療法を行うための設備などが充実している学校を選んだほうがよいでしょう。
そうした情報はホームページやパンフレットにも記載されていますが、オープンキャンパスや入学説明会などに参加して、自分の目と耳で実際に確かめてみることをおすすめします。
理学療法士の養成校は現状かなり豊富にありますので、いくつかの学校をまわって、比較検討してみることが大切です。
国家試験の合格率
養成校に通うのは、理学療法士の国家試験取得が最終目的である以上、国家試験合格率も非常に気になるところです。
卒業生の合格実績を標榜している学校も多数ありますので、それらも学校選びのうえで重要な指標となるでしょう。
ただし、学校によっては、そもそも合格確実な生徒にしか国家試験を受けさせないというところもありますので、パーセンテージだけをそのまま鵜呑みにするわけにはいきません。
できれば、合格率だけでなく、在校生の人数や合格者の実数といったデータも収集し、数字の信ぴょう性をよく吟味することが望ましいでしょう。