パティシエの平均年収はいくら? 給料相場をくわしく解説

パティシエの平均年収・給料の統計データ

パティシエの平均年収・月収・ボーナス

パティシエの給料・年収は、280万円~400万円ほどがボリュームゾーンと考えられます。

民間会社員の平均年収(436万円:令和元年分 民間給与実態統計調査より)と比較するとやや低めです。

この背景には、パティシエが洋菓子の「職人」であり、一人前とみなされるまでに何年もの見習い・下積み期間を経なくてはならないことが挙げられます。

下積み期間は長時間労働な割にとくに給料が低めで、1日に12時間以上立ちっぱなしで働きながら、手取り月収が15万円に満たない人もいます。

経験を積んで能力を高め、ようやく一人前になることで少しずつ収入はアップしますが、それまでに現場を離れてしまう人もいるのが現実です。

一方、職場で地道にポジションを上げて一流パティシエと認められたり、独立して自分の店を出して繁盛させたりすることができれば年収500万円以上となり、さらに成功して1000万円以上の年収を得ている人もいます。

賃金構造基本統計調査

パティシエの平均年収_2019

厚生労働省の令和元年度賃金構造基本統計調査によると、パティシエを含むパン・洋生菓子製造工の平均給与は40.2歳で341万円ほどとなっています。

  • 平均年齢:40.2歳
  • 勤続年数:10.8年
  • 労働時間:166時間/月
  • 超過労働:22時間/月
  • 月額給与:251,000円
  • 年間賞与:394,500円
  • 平均年収:3,406,500円

また、男女別で見ると、男性と女性の平均年収には100万円以上の開きが出ています。

この背景のひとつには、男性は正規雇用で働く人が多い一方、女性はアルバイトや派遣といった非正規雇用の人も多いことがあると考えられます。

事実、女性パティシエは結婚・出産後に正社員からアルバイトに雇用形態を変えている人も少なくないようです。

パティシエの勤務時間は長くなりがちで体力的にもハードな仕事なだけに、安定してよい収入を得ることを考えると、男性のほうがやや有利な面があるかもしれません。

出典:厚生労働省「令和元年度 賃金構造基本統計調査」

※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

求人サービス各社の統計データ

職業・出典 平均年収 年収詳細
パティシエ
(Indeed)
- 月給 272,106円
パティシエ
(求人ボックス)
350万円(正社員) 平均時給
派遣社員:1,402円
アルバイト・パート:1,001円
パティシエ
(転職ステーション)
313万円
パティシエ
(給料BANK)
274万円~357万円 平均給料:22万円
20代の給料:20万円
30代の給料:23万円
40代の給料:25万円
初任給:15万円

各社の調査データからは、パティシエの平均年収は270万円~360万円ほどと推定できます。

新人時代は「見習い」とみなされる職人の世界であるため、とくに20代など若いうちは給料が低めです。

その後の昇給幅も決して大きいとはいえませんが、長く経験を積んだ実力派のパティシエは有名な店へ転職してトップの立場で腕を振るったり、独立して自分のパティスリーを開いたりする人もいます。

高い信頼と評価を得られれば、上記の平均年収を大きく超えた収入を得ることは可能です。

パティシエの手取りの平均月収・年収・ボーナスは

令和元年度賃金構造基本統計調査では、パティシエの平均年収は341万円です。

この場合の手取り年収は、社会保険料や税金を差し引いておよそ8割になるといわれるため、273万円ほどと推定できます。

ただし、実際には扶養家族の有無などによって控除として差し引かれる金額が変わるため、人によって手取りに違いが出てきます。

また、小規模な店舗に勤務する場合には社会保険に加入できなかったり、ボーナスの支給がなかったりすることもあります。

勤務先で社会保険が完備されていない場合は、額面の給料から自分で国民年金や国民健康保険などを支払わなくてはなりません。

パティシエの初任給はどれくらい?

フルタイムで働くパティシエの初任給は、月給15万円〜18万円くらいが相場とされています。

初年度の年収は200万円〜300万円くらいが一般的ですが、勤務先によっては200万円に届かないこともあるでしょう。

パティシエは料理人と同じく、現場に出たばかりの新人は「見習い」と認識される、上下関係の厳しい世界です。

一人前になるまでは下積み期間として、低めの給料で働かなくてはならないことが珍しくありません。

長時間勤務になり、体力も要する仕事であるため、「必ずパティシエとして成長する」という強い志や情熱を持てなければ続けていくことは難しいでしょう。

令和元年 パン・洋菓子製造工の規模別給料

パン・洋菓子製造工の年収は、勤務先の規模が1000人以上だと給与が高くなっていますが、全体的にはやや低めの年収です。

10〜99人の規模の事業所に勤務するパン・洋菓子製造工の年収は284万円、100〜999人規模は332万円、1,000人以上規模は367万円、10人以上規模平均は341万円となっています。

パン・洋菓子製造工の年収(規模別)_r1

令和元年 パン・洋菓子製造工の年収(年齢別・男女別)

パン・洋菓子製造工の年収は、200万円~450万円ほどとなっています。

男女別の平均年収は男性389万円、女性282万円となっています。とくに女性は年収の伸びがあまり見られません。

パン・洋菓子製造工の年収(年齢別)_r1

賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

パティシエの福利厚生の特徴は?

パティシエは「職人」であるため、ほかの職人の仕事と同様、恵まれた待遇を求めるのはやや難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

「一人前になるには何年もの修業期間を経なくてはならず、その間はあくまでも見習いの立場として給料や待遇がよくなくても文句は言えない」という暗黙のルールのようなものが、職人の世界には残っています。

ですから、福利厚生といえるものがほとんどない職場があっても、さほど驚くことではありません。

とはいえ、現代社会ではあまりに待遇の悪い職場は「ブラック」と言われてしまいますし、社会の価値観も大きく変わっているため、かつての職人世界に比べると、だいぶ働きやすい職場が増えているのは確かです。

パティシエの勤務先でも、スタッフの定着率を高めるために昇給システムを明確にしたり、手当を充実させたり、あまりにムリな労働はさせないように配慮したりするところが出てきています。

とくに待遇を重視して働きたいのであれば、上場企業が運営するレストランやカフェ、あるいは大手ホテルや結婚式場などを選ぶとよいでしょう。

これらの場では社会保険に加え、各種手当(通勤手当、住宅手当、扶養手当など)支給、退職金制度などがあり、また有給がきちんととれる体制をとっているところもあります。

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パティシエの勤務先別の給料・年収

ホテル、結婚式場

ホテルや結婚式場に勤めるパティシエは、館内のレストランで提供するデザートや販売用のケーキ類、また披露宴で用いられるウエディングケーキ製作などを行います。

街のパティスリーや洋菓子店とは異なり、毎日大量の洋菓子を作り続けなくてはならないため、多数のパティシエが在籍し、分業制で仕事を進めるのが一般的です。

厨房ではベテランからベテランまで上下関係が明確になっており、経験や能力、立場によって給料にも差がつきます。

下積み期間は年収200万円~250万円ほどにしかならないこともありますが、役職がつけば年収500万円ほど、さらにポジションが上がって「シェフパティシエ」になれば年収700万円~800万円ほどになる人もいます。

経営母体がしっかりとしているホテルや結婚式場では、給与制度や福利厚生が整っていることが多いです。

ただし、繁忙期には徹夜になるほど忙しく働かなくてはならないこともあり、ハードワークにもなりがちです。

レストラン、カフェ

街のレストランやカフェのパティシエは、ホテルのような大規模な施設に比べると少人数で働くことが多く、仕込みから焼成、盛り付けまでの工程をすべて一人で担当することが多いです。

また、勤務先によっては調理補助や接客・サービスも担当することがあります。

どのような業務を任されるかや能力、経験によって給料は異なりますが、正社員であれば年収300万円~400万円ほどで働いている人が多いようです。

大手企業が運営している店では昇給の機会が多かったり、手当が充実していたりすることもあります。

洋菓子店、パティスリー(個人店)

地域密着型の小規模な店舗で働くパティシエの給料は、勤務先によってまちまちです。

パティシエの多様な勤務先のなかでも給料は低めといわれることが多いですが、有名店で活躍できるようになると、比較的よい待遇で働ける場合もあります。

ただし、一部の店舗ではホテルや企業のように昇給制度が明確でなかったり、ボーナスもや手当も支給されなかったりすることもあり、薄給かつ激務で働かざるを得ないケースもあるのが実情です。

パティシエの正社員以外の給料・年収

派遣社員

派遣社員として働くパティシエは、そこまで多いわけではありません。

しかし、洋菓子製造の現場では、急遽人材が足りなくなったり、繁忙期で一時的に人手が必要になったりした際に、派遣のパティシエを求めることがあります。

派遣の給料は「時給制」が一般的ですが、基本的には経験豊富で即戦力になれる人が求められるため、同じように時給で働くアルバイトよりも、やや高めの時給設定です。

地域や勤務先、仕事内容などによりますが、時給1,000円~1,500円ほどで働くことが多いとされています。

アルバイト

パティシエがアルバイトの働き方を選択する場合の理由として、大きく2つ考えられます。

ひとつは、未経験から現場に飛び込んだ場合などに、「パティシエ見習い」として採用されるケース。

もうひとつは、さまざまな技術や経営方針を学ぶために、あえてアルバイトとして多様な職場を渡り歩くケースです。

前者の場合、たとえ本人が正社員で働きたくても、実力・経験不足のためにアルバイトで採用されている場合が多く、給料はとくに低めです。

各地域の最低時給ほどでスタートすることもあります。

後者の場合、現場に入った時点での経験や能力によって給料には幅があり、年収にして200万円〜400万円ほどになる人が多いでしょう。

なお、パティシエは正社員として働く場合でも、職場によっては残業代が十分に支給されなかったり、福利厚生が整ってたりしないことがあります。

このため、働いた時間分の給料をきっちりともらえるアルバイトの働き方をあえて選ぶ人もいるようです。

独立・開業

パティシエは、将来の独立・開業、つまり「自分の店を出すこと」を夢にしている人が少なくありません。

パティスリーや洋菓子店をオープンさせてオーナーになった場合、店が軌道にのってくれば、年収は600万円以上になるといわれています。

ただし、洋菓子業界は競争が厳しいため、店を出しても長く存続させるのは大変です。

開業後はファンをつけたり、オリジナリティある商品を生み出し続けたりする努力が欠かせませんが、経営が順調にいけば1000万円以上の年収を手にできるでしょう。

さらに進んで超有名店になり、オーナー自身が一流パティシエとして名を馳せるようになれば、年収数千万円になることも夢ではありません。

パティシエの働き方の種類・雇用形態

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パティシエが収入を上げるためには?

パティシエの給料・年収は、勤務時間の長さやハードな業務内容から見ると多いとは言い難いです。

しかし、地道に腕を磨いてパティシエの上位ポジションである「シェフパティシエ」へ昇進したり、独立して自分で出した店を繁盛させたり、オリジナル商品を作ってヒットさせたりすれば、1000万円を超える年収を稼ぐことも夢ではありません。

成功への道のりは険しいものの、さまざまな店で修業を積んで確かな力をつけ、自分の作るお菓子のファンを増やしていけば可能性は開けます。

野心あふれるパティシエのなかには、欧州のパティスリーへ飛び込んで本場の味や技術を学んだり、有名パティシエのいる店で働けるように努力を続けたりしている人もいます。

職人気質が求められるパティシエの仕事では、継続的な自己研鑽の姿勢と、お菓子を作ることへの飽くなき情熱なくして成功はないといっても過言ではありません。

一人前として認められるまでは、待遇や労働環境の面でつらいと感じる日のほうが多いかもしれませんが、それを乗り越えた人だけが大きな収入アップを実現できます。