建設会社の現状と将来性
建設会社の現状
建設業界の動向は、社会全体の出来事や景気の波に強く左右されるという特徴があります。
ここ15年ほどをみても、リーマンショック、東日本大震災とその後の復興特需、インバウンド向けのホテル建設ラッシュ、東京オリンピック関連のインフラ工事増と、短期間で浮き沈みを繰り返してきました。
現状についてみれば、3大都市圏を中心とした再開発やマンション建設などが相次いでいることもあって、好調な業界環境が継続しています。
今後については先行きを見通すことはなかなか困難ですが、大阪万博の開催などがあり、当面は堅調に推移することが予測されています。
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建設会社の需要
建設需要は底堅いといえるものの、その反面、建設業界全体で深刻化しているのが、人手不足の問題です。
施工管理責任者などの工事監督や事務を行う「管理サイド」の人材と、技術者や職人などの「現場サイド」の人材、そのいずれもが慢性的に不足しています。
人手が足りなくて工事に取り掛かれないという「手持ち工事」が増加の一途をたどっています。
このため、建設会社の求人需要はきわめて大きく、各社は積極的な採用活動を行うとともに、給料や休日など、待遇面の改善にも注力しています。
それでも、若い世代をはじめ、就職先としての建設会社の人気は決して高いとはいえず、IT企業などに人材を奪われている状況です。
これから建設会社で働きたいという人にとっては、非常にチャンスが大きいでしょう。
建設会社の将来性
もっと中長期的なスパンでみた場合、建設会社の将来は決して明るいとはいえません。
そのおもな要因は少子高齢化であり、人口が減少していくにつれて、建築需要も徐々に減っていくことは避けられない見通しです。
すでに建設業許可を受けている業者の数も、2000年の60万業者をピークとして減少傾向が続いており、直近ではピーク比の8割以下、およそ47万業者ほどにまで落ち込んでいます。
今後、人口の少ない地方の建設会社から順番に、より早いペースで淘汰が進んでいくことは間違いないでしょう。
これらへの対策として、大手ゼネコン各社は、エネルギー事業や環境事業など、建設事業以外の新規分野への進出を加速させています。
少し未来の建設会社は、たとえば商社などのように、事業を多角的に展開することが当たり前になっているかもしれません。
参考:国土交通省 土地・建設産業局 建設業課 建設業許可業者数調査の結果について
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建設会社社員の今後の活躍の場
建設会社社員の今後の活躍の場は、よりグローバルにシフトしていくものと想定されます。
日本の人口が落ち込み続ける一方で、世界に目を向ければ、これから人口が増えていく国もたくさんあります。
すでに多くのゼネコンが、東南アジア、南アメリカ、アフリカといった発展途上国での事業を展開しており、売上高に占める海外比率の目標を具体的に掲げている企業も見られます。
長年の歴史によってつちかってきた日本の高い建設技術を、世界のために生かす時代が到来しています。
これから建設会社への就職を目指すならば、海外出張や海外駐在を任されることも視野に入れて、語学の勉強に注力しておくと役に立つでしょう。