棋士に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介

棋士に向いている性格・適性

負けん気が強い人

一見将棋の対局は、静かで地味な風景ですが、その心中には見えない闘志が隠れています。

2017年まで日本将棋連盟の会長だった谷川浩司棋士は、少年時代にお兄さんと将棋を指して負けると、悔しくて駒をかんで無数の歯型を残していました。

また西洋の将棋ともいわれるチェスは、一説ではスポーツに属するともいわれ、オリンピック競技の候補に上がったという話もあります。

それだけ激しく、そして「誰よりも勝ちたい!」という負けん気の強さが何よりも大切だといえるでしょう。

研究熱心な人

将棋は奥深い競技で、その1番の特徴は、持ち駒(こま)が利用できるということです。

取った駒をまた使うことができるのは世界でも大変珍しく、同類の競技のチェスや囲碁は使うことができません。

持ち駒があるおかげで指し手が無限に増えるため、いまだに新しい戦法(定石)が生み出されています。

最近ではネットで簡単に対局の棋譜を入手できるようになったので、研究の幅も広がっているので、より研究熱心な人が勝負に勝つチャンスが得られるでしょう。

将棋文化のにない手という自覚

将棋は日本独特のゲームで、長い歴史もあることから、棋士は「将棋」という日本文化のにない手という自覚が必要です。

将棋のルーツは、西洋のチェスと同じく、古代インドのチャトランガと考えられています。

このチャトランガがどのようにして将棋に変化したのか、また将棋がいつ、どのように日本に伝わったのかは不明ですが、平安時代には日本で将棋が行われていたようです。

江戸時代になると、庶民の間でも広く行われるようになり、明治時代には新聞に将棋欄が設けられて大人気となりました。

1924年(大正13年)に現在の「日本将棋連盟」の前身である「東京将棋連盟」が結成され、2014年には創立90年を迎えています。

参考:日本将棋連盟 将棋連盟について

このように将棋は、日本で長い歴史を持つ文化です。

過去の棋譜を勉強して戦法や気風などを受け継ぐのと同時に、将棋の普及に貢献することが求められています。

棋士になるには

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棋士に必要なスキル・能力

精神力

将棋は自分自身との戦いでもあるため、強い精神力が求められます。

考えて考えつくし、一手を指すのに数時間考えることも珍しくはありません。

ある棋士は、一局指し終わると3キロほど体重が落ちるそうです。

将棋はそれほどまでに、精神力・体力・頭脳を要求される大変激しい競技といえます。

ひらめき力

将棋の対局では、先読みしながら、いかに最善の手を打つかという戦いが必要です。

その際、局面局面で最善の手が打てるかどうかは、ひとえに頭に浮かぶ一瞬のひらめきにかかっており、勝負を左右するといっても過言ではありません。

永世名人の羽生善治棋士も「直感には邪念(じゃねん)の入りようがない。いくら考えてもわからないときは、最初に戻って直感にゆだねることがよくあります」と話しています。

将棋に打ち込める集中力

対局での真剣勝負に集中するのはもちろんですが、対局が終わったあとに振り返り、また研究に打ち込む集中力も大切です。

対局が行われるのは平均で1年に30局〜40局で、多い人でも70局弱となるので、勉強する時間の方が長いともいえます。

棋士によっては1日中将棋のことを考えているため、日常生活で失敗してしまったエピソードを持つ人も多いようです。

逆にいうと、それほどまでに将棋に専念する人だけが勝負に勝ち残れる世界ともいえるでしょう。

棋士に向いていないのはどんな人?

棋士に向いていないのは、将棋の勉強が面倒に感じてしまったり、没頭できない人です。

プロになるためには年齢制限があり、半年に1回行われる三段リーグでトップになった2人しかプロになることが認められません。

そのため小さなころから対局を行って経験を積み、常に将棋の研究をしているような将棋中心の生活をした人だけが勝ち残っています。

実際に棋士を目指して10年以上将棋づけの毎日を送っていたのに、年齢制限でプロになれなかった人もいる厳しい世界です。

プロになった後も収入は対局料や賞金によって決まりますし、降級すれば引退しなければいけないため、勝ち続ける努力が何よりも求められます。

そのため「棋士を目指したいけれど勉強不足かもしれない」と感じている人は、今からでも少しずつ意識的に将棋を研究する時間を増やしていきましょう。