税理士と社労士の違い

税理士と社労士は、どちらも国家資格を生かして活躍する専門職ですが、それぞれ仕事内容・役割などは異なります。

また、両者は国家資格の取得難易度や活躍の場なども異なるため、将来の仕事としてこれらに興味をもっている人は、自分がどのような働き方をしたいのかをよく考えておくことが大切です。

この記事では、税理士と社労士のさまざまな違いについて解説しています。

税理士と社労士の仕事内容の違い

税理士は、顧客の依頼に応じて税務書類を作成したり、税務申告を代行したりするのに対し、社会保険労務士(社労士)は、労災保険や雇用保険の手続きを行ったり、賃金台帳を作成したりします。

どちらも国家資格が必要で、それぞれに資格保有者のみが行える「独占業務」がある点は共通していますが、税理士は「税」に関する専門家、社労士は「人事・労務」に関する専門家という違いがあります。

税理士は税務に関するコンサルティングを、社労士は人事・労務関係に関するコンサルティングを手掛けます。

ただ、給与計算や源泉徴収などの年末調整業務に代表されるように、税にも人事にも関係する手続きもあるため、過去には業務内容が明確に区別されていないと問題になったこともありました。

現在は一応の線引きがなされていますが、業務の関連性が高いことに変わりはないため、人によっては双方とも資格を取得して「ダブルライセンス」で活躍しているケースもあります。

税理士と社労士は、活躍分野がかなり似通っているといえるでしょう。

社会保険労務士の仕事

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税理士と社労士のなる方法・資格の違い

税理士・社労士は、共に国家試験を突破して資格を取得する必要があり、それぞれに受験要件が定められています。

税理士については、大学・短大・高専で社会科学に属する科目を理由する、会計事務所などに3年以上勤める、日商簿記一級などの資格を取得するといった、いずれかの条件をクリアする必要があります。

これに対して社労士は、大学・短大・専門学校・高専を卒業する、社労士事務所などに3年以上勤める、行政書士の資格を取得するといった条件が挙げられます。

また、どちらも試験合格後に2年間の実務研修が必要で、研修終了後に、資格の登録が可能です。

なお、税理士については、税務署などに23年以上勤務するか、公認会計士弁護士資格を取得すると試験を受けずに資格を取得することも可能ですが、社労士にそのような制度は一切ありません。

税理士と社労士の資格の難易度の違い

税理士は、税務や会計などの全11科目のうち、5科目以上に合格することが必要ですが、科目ごとに勉強しなければならない範囲はかなり広く、一般的に資格取得までに数年の期間を要します。

これと比較すると、社労士は一発合格することも不可能ではなく、必要な準備期間はおおむね1年といわれています。

難易度を比較するなら、社労士試験は税理士試験より簡単であるのは間違いありません。

また、出題される内容についても、税理士試験では法令などの知識問題に加え、計算や理論などの数学問題も出題されますが、社労士試験はほぼ知識問題ばかりであるため、暗記だけで大部分をカバーできます。

双方の合格率をみれば、社労士試験のほうが低くなっていますが、これは社労士試験を受ける人の大半が社会人であり、働きながら勉強しているために十分対策できないまま受験していることが要因と考えられます。

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税理士と社労士の学校・学費の違い

税理士試験は難関で、多くの人は大学、あるいは会計関係の大学院などで専門的に学んでいます。

税務や会計に関する学位を取得できれば、試験科目が一部免除されるメリットもあるため、大学や大学院に通う進路はかなり有用です。

これに対して社労士は、大学や大学院などで集中的に学ばなくても民間のスクールなどで十分対策が可能です。

社労士を志す人のなかには会社員や公務員も多数おり、通信講座を受講したりして、仕事が終わったあとに自宅で勉強に励んでいるケースもよく見られます。

学費についても、税理士は合格までに数年を要するため、およそ40万円~70万円とかさみがちですが、社労士は多くても20万円、通信講座などなら数万円ですみます。

税理士と社労士の給料・待遇の違い

会社や事務所などに勤めている税理士の平均年収は700万円前後、社会保険労務士の平均年収は530万円前後とされています。

税理士のほうが高い給与といえますが、これは税理士全体の平均年齢が高いことも少なからず影響しており、同年代で比較するともう少し差は縮まります。

それでも、税理士のほうが資格取得が困難である分、社労士より高給を得られる可能性が高いのは間違いありません。

また、社労士よりも税理士は開業する人の割合が高い特徴がありますが、独立している税理士は一般的に勤務時よりも高収入を得やすく、年収1000万円を超えている人も珍しくありません。

社労士でももちろん独立は可能ですが、行政書士や司法書士など、ほかの資格とあわせてダブルライセンス、トリプルライセンスで働かないと、年収1000万円を超えることはなかなか厳しいかもしれません。

税理士と社労士はどっちがおすすめ?

税理士・社労士はどちらも事務代行やコンサルティングを手掛ける職業で、多くの人々の役に立てるという共通点があります。

しかしながら、税理士は税務に関するプロ、社労士は人事・労務に関するプロと、役割が異なります。

進路を迷っているのなら、自身の関心がより高い分野はどちらなのか、もう一度じっくり考えてみるとよいでしょう。

業務分野以外で比べると、税理士資格のほうが取得が難しい分だけ、高収入を得やすく、また独立もしやすいという側面があります。

営業力やコミュニケーション能力に自信があり、経営者に向いていると思うなら、税理士になって開業を目指したほうが、待遇面など自分の希望通りに働けるかもしれません。

もしどちらも選べないのなら、双方とも取得を目指す道もあります。

社労士資格は社会人として働きながらでも十分合格可能であるため、比較的まとまった時間の取れる学生の間に税理士試験の勉強をして、働きながら社労士試験合格を目指すというルートも考えられます。

両方の試験を突破することは容易ではありませんが、資格取得ができれば、相乗効果によって活躍の場はさらに広がっていくでしょう。

「税理士と社労士の違い」まとめ

税理士と社労士には、仕事内容や役割、活躍の場など、さまざまな点において違いがあります。

税理士は「税」に関する専門家、社労士は「人事・労務」に関する専門家としての活躍が期待されるため、両方の仕事に興味を持っている人は、どのような業務に携わりたいかをよく考えておきましょう。

なお、社会人になってから2つの資格を取得し、活躍の幅をさらに広げていく人もいます。