労働基準監督官採用試験の難易度・合格率・倍率

労働基準監督官採用試験とは

労働基準監督官は厚生労働省に所属する国家公務員なので、労働基準監督官採用試験を受け、合格しなければ勤務はできません。

国家公務員の区分は専門職員となり、全国にある労働局または労働基準監督署で勤務することになります。

労働基準監督官採用試験の最終合格者は、勤務を希望する都道府県の労働局で採用面接を行い、合格となればその労働局管内の労働基準監督署が勤務地です。

受験資格については次で詳しく記載しますが、受験の際も合格し勤務を始めたあとも特別な資格は必要ありません。

ちなみに労働基準監督官として働くには文系的な知識と理系的な知識の両方が求められるため、労働基準監督官採用試験は「A(法文系)」と「B(理工系)」の区分に分けられています。

どちらの区分で受験してもよく、合格したあとの待遇も変わらないため、学んできた分野の試験科目がある区分など、合格率の高い方でチャレンジすることをおすすめします。

労働基準監督官になるには? 必要な資格はある?

労働基準監督官採用試験の受験資格

労働基準監督官採用試験を受験するための資格は以下の通りです。

1.受験年度の4月1日の時点の年齢が21歳以上30歳未満の者
2.受験年度の4月1日の時点の年齢が21歳未満の者で、次に掲げる者
(1)大学を卒業した者および受験年度の3月までに卒業する見込みのある者
(2)人事院が(1)と同等の資格があると認める者

年齢の上限は30歳未満ということになり、学力は最低でも大学を卒業または見込みでなければ受験資格はないということですので、高卒からは目指せません。

労働基準監督官採用試験の難易度・勉強時間

難易度と試験内容

労働基準監督官採用試験は労働基準監督A(法文系)労働基準監督B(理工系)に分かれています。

試験内容は共通している問題と異なる問題があるため、区分に応じた対策を講じる必要があります。

以下に試験内容例を記載します。

<共通試験問題>
●公務員として必要な基礎的な能力試験
文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈など

●専門試験
労働法、労働事情(就業構造、労働需給、労働時間・賃金、労使関係)など

<異なる試験問題>
●労働基準監督A(法文系)の専門試験
憲法、行政法、民法、刑法、経済学、労働経済・社会保障、社会学

●労働基準監督B(理工系)の専門試験
工学に関する基礎(工学系に共通な基礎としての数学、物理、化学)
工学に関する専門基礎(機械系、電気系、土木系、建築系、衛生・環境系、応用化学系など)

難易度ですが、2023年の「労働基準監督A(法文系)」と「労働基準監督B(理工系)」合計の合格率は約14%であるため、難易度は高いといえるでしょう。

区分別の合格率は「労働基準監督A(法文系)」が約12%、「労働基準監督B(理工系)」が約22%となっており、B(理工系)の方が若干合格率が高くなっています。

参考:厚生労働省 労働基準監督官採用試験

勉強時間

勉強時間に関しては人それぞれであるためここでは断言できませんが、合格率からするとそれなりの時間を割いて対策をした方がよいといえます。

人事院ホームページには過去問題が公開されているほか、過去問題集も市販されていますのでそれらを有効活用することで、効率的な勉強をしましょう。

労働基準監督官試験の合格率・倍率

労働基準監督官の申込者数、合格者数、合格倍率、男女比率

労働基準監督官採用試験申込者数の推移

労働基準監督官採用試験の申込者数は、近年減少傾向にあり、2023年度の申込者数は2,957人、うち男性1,800人、女性1,157人となりました。

労働基準監督官採用試験申込者数の推移_2023

労働基準監督官採用試験合格者数の推移

労働基準監督官採用試験の合格者数は近年400人前後ですが、2023年度の合格者数は413人、うち男性252人、女性161人となりました。なお、採用予定数は210人となっています。

労働基準監督官採用試験合格者数の推移_2023

労働基準監督官採用試験合格倍率の推移

2023年度労働基準監督官採用試験の合格倍率は7.2となりました。

労働基準監督官採用試験合格倍率の推移_2023

2023年度 労働基準監督官採用試験合格者男女比率

2023年度労働基準監督官採用試験の合格者男女比率は男性61.0%、女性39.0%となりました。

労働基準監督官採用試験合格者男女比率_2023

労働基準監督官A(法文系)の申込者数、合格者数、合格倍率、男女比率

労働基準監督官A(法文系)採用試験申込者数の推移

労働基準監督官A(法文系)採用試験申込者数は年によってばらつきがあります。2023年度の申込者数は2,432人、うち男性1,379人、女性1,053人となりました。

労働基準監督官A(法文系)採用試験申込者数の推移_2023

労働基準監督官A(法文系)採用試験合格者数の推移

労働基準監督官A(法文系)採用試験合格者数は近年ほぼ横ばいを推移しています。2023年度の合格者数は298人、うち男性163人、女性135人となりました。

労働基準監督官A(法文系)採用試験合格者数の推移_2023

労働基準監督官A(法文系)採用試験合格倍率の推移

2023年度労働基準監督官A(法文系)採用試験合格倍率は8.2倍となりました。

労働基準監督官A(法文系)採用試験合格倍率の推移_2023

2023年度 労働基準監督官A(法文系)採用試験合格者男女比率

2023年度労働基準監督官A(法文系)採用試験合格者男女比率は、男性54.7%、女性45.3%となりました。

労働基準監督官A(法文系)採用試験合格者男女比率_2023

労働基準監督官B(理工系)の申込者数、合格者数、合格倍率、男女比率

労働基準監督官B(理工系)採用試験申込者数の推移

労働基準監督官B(理工系)採用試験申込者数は800人前後を推移しております。2023年度の申込者数は前年度より減少し525人となりました。

労働基準監督官B(理工系)採用試験申込者数の推移_2023

労働基準監督官B(理工系)採用試験合格者数の推移

労働基準監督官B(理工系)採用試験合格者数は2018年度にかけて増加傾向にありましたが、2023年度の合格者数は前年度より減少し115人、うち男性89人、女性26人となりました。

労働基準監督官B(理工系)採用試験合格者数の推移_2023

労働基準監督官B(理工系)採用試験合格倍率の推移

2023年度労働基準監督官B(理工系)採用試験合格倍率は4.6倍となりました。

労働基準監督官B(理工系)採用試験合格倍率の推移_2023

2024年度 労働基準監督官採用試験の概要

試験日 ・第1次試験:2024年5月26日(日)
・第2次試験:2024年7月9日(火)〜7月12日(金)
試験地

第1次試験

札幌市、盛岡市、仙台市、秋田市、さいたま市、東京都、新潟市、名古屋市、金沢市、京都市、大阪市、松江市、広島市、高松市、松山市、福岡市、熊本市、鹿児島市、那覇市

第2次試験

札幌市、仙台市、さいたま市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、高松市、福岡市、熊本市、那覇市

受験資格 1.1994年4月2日~2003年4月1日生まれの者
2.2003年4月2日以降生まれの者で、次に掲げるもの
(1)大学を卒業した者及び2025年3月までに大学を卒業する見込みの者
(2)人事院が(1)に掲げる者と同等の資格があると認める者
試験科目

第1次試験

<共通>
◇基礎能力試験(多肢選択式)
公務員として必要な基礎的な能力(知識及び知能)についての筆記試験
出題数は30題
知能分野 24題
 (文章理解10、判断推理7、数的推理4、資料解釈3)
知識分野 6題
 (自然・人文・社会に関する時事、情報6)

<労働基準監督官A(法文系)>
◇専門試験(多肢選択式)
48題出題、40題解答
必須 12題
 労働法、労働事情(就業構造、労働需給、労働時間・賃金、労使関係)
選択 次の36題から28題選択
 憲法、行政法、民法、刑法、経済学、 労働経済・社会保障、社会学

◇専門試験(記述式)
2題出題、2題解答
労働法、労働事情(就業構造、労働需給、 労働時間・賃金、労使関係)

<労働基準監督官B(理工系)>
◇専門試験(多肢選択式)
46題出題、40題解答
必須 8題
 労働事情(就業構造、労働需給、労働時間・賃金、労使関係、労働安全衛生)
選択 次の38題から32題選択
工学に関する基礎(工学系に共通な基礎 としての数学、物理、化学)

◇専門試験(記述式)
4〜6題出題、2題解答
必須 工業事情 1題
選択 工学に関する専門基礎(機械系、電気 系、土木系、建築系、衛生・環境系、応用 化学系、応用数学系、応用物理系等の工 学系の専門工学に関する専門基礎分野) から3~5題出題し、うち1題選択

第2次試験

◇人物試験
人柄・対人的能力などについての個別面接
◇身体検査
主として一般内科系検査

合格発表 ・第1次試験:2024年6月18日
・第2次試験:2024年8月13日
採用予定人数 ・労働基準監督A(法文系) :約170名
・労働基準監督B(理工系) :約 40名
最終合格者数 ・労働基準監督A:298名(2023年度)
・労働基準監督B:115名(2023年度)
合格倍率 ・労働基準監督A:8.2倍(2023年度)
・労働基準監督B:4.6倍(2023年度)
詳細情報 厚生労働省 労働基準監督官採用試験