臨床心理士試験の難易度・合格率
臨床心理士試験の難易度
臨床心理士の資格は国家資格ではないため、心理臨床の仕事に就くうえで必ずしも必要とされるものではありません。
しかし、臨床心理士の資格を持っていることで、就職や転職の際に有利になることがあります。
職場によっては、採用条件として臨床心理士の資格取得を必須としているところもあります。
なお、この資格試験は誰でもすぐに受験できるというわけではありません。
おもな受験資格として、「日本臨床心理士資格認定協会」が指定する大学院(1種)を修了、あるいは指定大学院(2種)の修了後に1年以上の実務経験を積んだのち、臨床心理士の試験である「臨床心理士資格審査」に合格することが必要となります。
合格率はどれくらい?
臨床心理士資格審査の近年の合格率は、毎年60%〜65%前後を推移しています。
令和元年度試験の合格率は62.7%となりました。
合格率の数字だけ見れば、そこまで低いものではないように思えますが、大学院での専門的な勉強を経て受験している人がほとんどであることを考えると、そう簡単な資格試験だとはいえません。
本試験は一次試験と二次試験に分かれており、一次試験は筆記でマークシート試験と論文記述試験、二次試験では面接が行われます。
筆記試験では、広く心理学の基礎的な設問が用意されているほか、臨床心理士の基本業務、また臨床心理士に関する法律の知識といった専門知識が問われます。
二次試験の面接では、臨床心理士としての基本的な姿勢や態度、そして人間関係能力などが判断されます。
専門性の高い試験となるため、確実な準備をしておかなければ合格は難しいといえるでしょう。
国家資格化に向けて
長らく心理系の国家資格が存在しておらず、多数の民間資格が乱立していた日本の臨床心理業界のなかで、臨床心理士は難易度と社会的な評価が最も高い資格だとされてきました。
新たに「公認心理師」という臨床心理の国家資格が誕生したことによって、この先、臨床心理士の立ち位置は若干変わってくるかもしれません。
しかし、公認心理師と臨床心理士の業務範囲は重なっている部分が大きく、また臨床心理士になるためには、専門的な知識と技能を習得しなくてはならないことに変わりはありません。
公認心理師試験スタート後の臨床心理士試験の難易度に変化があるかどうかは、数年間様子を見てみる必要があるといえるでしょう。
臨床心理士試験の受験者数・合格率
臨床心理士試験受験者数の推移
臨床心理士試験の受験者数は、増加の傾向が続いていましたが、26度試験より減少傾向となっています。令和元年度の受験者数は前年度より減少し、2,133人になっています。
臨床心理士試験合格率の推移
臨床心理士試験の合格率は60〜70%の間を推移しています。令和元年度の合格率は62.7%となりました。
令和2年度 臨床心理士資格認定の概要
試験日 | ・一次試験:令和2年10月17日(土) ・二次試験:令和2年11月7日(土)、8日(日)、9日(月) |
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申込受付 | 令和2年7月7日~令和2年8月31日(当日消印有効) |
試験地 | ・一次試験:東京ビッグサイト ・二次試験:東京国際フォーラム |
受験資格 | ・指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を充足している者 ・臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した者 ・諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、修了後の日本国内における心理臨床経験2年以上を有する者 ・医師免許取得者で、取得後、心理臨床経験2年以上を有する者 など |
試験内容 |
一次試験(筆記)一次試験は、100題のマークシートによる「多肢選択方式試験」(2時間30分)と、定められた字数の範囲内で論述する「論文記述試験」(1時間30分)の2種類を、1日ですべてを実施します。 <多肢選択方式試験> <論文記述試験> 二次試験(面接)2名の面接委員による「口述面接試験」。「口述面接試験」は、単に専門知識や技術の習得度を確認するだけでなく、臨床心理士としての基本的な姿勢や態度、専門家として最低限備えておくべき人間関係能力の実際が問われます。受験者は、面接試験の場を臨床心理面接のモデル場面のようなものと考え、日頃から臨床実践での備えをしておくことが大切。この二次試験は、臨床心理士になるための資格審査試験のなかでも、とくに専門性からの必然として重要な位置にあると言えます。 |
合格発表 | 令和2年12月下旬予定 |
合格率 | 62.7%(令和元年) |
詳細情報 | 財団法人 日本臨床心理士資格認定協会 臨床心理士資格認定の実施 |