臨床心理士と心理カウンセラーの違いとは? 仕事や資格の違いを解説

「臨床心理士」と「心理カウンセラー」は、どちらも人間の心の問題を扱う専門職ですが、正確には別の職業です。

臨床心理士は高度な専門教育を経て認定を受け、臨床的なアプローチで精神的な課題に対処します。

一方で、心理カウンセラーは資格が不要で、個々の経験や知識に基づいてカウンセリングを提供します。

この記事では、それぞれの役割や資格の取得プロセス、社会での位置づけなど、臨床心理士と心理カウンセラーの違いに迫ります。

臨床心理士と心理カウンセラーの違い

臨床心理士と心理カウンセラーは同じような領域で似た役割を果たす職業でありながら、いくつかの違いがあります。

最も大きな違いは、臨床心理士は特定の大学院で心理学の専門教育を受け、資格を取得した人を指すことです。

一方で、心理カウンセラーには明確な定義はありません。

心理学やカウンセリングの知識を有する人々が自己流で「心理カウンセラー」として活動することもありますし、臨床心理士が、親しみやすいように「心理カウンセラー」と名乗ることもあります。

簡単にまとめると、臨床心理士は心理学の高度な専門教育を受けている人、心理カウンセラーは広い範囲のカウンセリング活動を行う専門家の総称であるといえます。

なお、心理カウンセリング分野には、さまざまな民間資格が存在します。

臨床心理士も民間資格ですが、それ以外に「産業カウンセラー」「認定心理士」「メンタル心理カウンセラー」などがあります。

心理学の知識を深めた人たちは、医療機関や学校、企業、行政など、さまざまな分野でカウンセリング活動を行っています。

心理カウンセラーの仕事

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臨床心理士と心理カウンセラーのなる方法・資格の違い

 
現在の日本においては心理系の民間資格は多岐にわたり、資格の取得条件や名称には多様性があります。

以下に、臨床心理士と心理カウンセラーにおける主な資格の違いを紹介します。

臨床心理士のなり方

臨床心理士の資格を取得するには、大学卒業後、「日本臨床心理士資格認定協会」の指定大学院・専門職大学院で心理学を学びます。

学位取得後、協会の認定試験に合格することで、臨床心理士と名乗って活動できるようになります。

心理カウンセラーのなり方

心理カウンセラーには特定の法的な定義がなく、資格の有無に厳格な制限がありません。

大学や大学院で心理学を学んだ人だけに限らず、民間講座などで心理カウンセリングの勉強をしたり、仕事で対人支援をしていながら経験を積んだ人が、心理カウンセラーとして活動するケースもあります。

心理カウンセラーの称号は、学歴やスキルに関係なく自由に名乗ることができます。

現状では、心理カウンセラーとして活動するためには特定の法的な資格が必要ないため、さまざまな経歴やスキルを有する人がこの分野で活動しています。

一方で、臨床心理士は特定の学校で学んで資格を取得する必要があります。

臨床心理士と心理カウンセラーの資格・必要なスキルの違い

臨床心理士の資格は国家資格ではなく、民間資格に分類されます。

資格審査は、一次試験と二次試験があります。

一次試験は筆記試験で、マークシートの試験と論文記述試験が行われます。

二次試験は面接で、臨床心理士としての基本的な姿勢や態度、人間関係能力などが問われます。

臨床心理士の資格は、心理学に関する専門的知識やスキルを身につけていることを証明できるものです。

一方、心理カウンセラーに関しては資格が必須ではなく、人によって保有する資格の種類もさまざまです。

心理カウンセリングの領域には多様な理論やアプローチがあり、大学や大学院のほか、各種民間講座などでそれらを身につける人もいます。

心理系の職業に就きたい場合は、自身がどのような資格やスキルを持つべきか理解を深め、キャリアを決めていくことが重要です。

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臨床心理士と心理カウンセラーの学校・学費の違い

臨床心理士を目指す場合には、指定大学院や専門職大学院に進学する必要があります。

そのためには、通常、大学4年間に加えて大学院で2年間を過ごすことになります。

学費は、私大であれば6年間合計すると600万~1000万円近くになることもあるため、それなりの費用がかかってきます。

一方、心理カウンセラーを目指す場合は大学院進学や特定の学歴は必要ないため、学費負担を抑えることは可能です。

専門知識を身につけていこうと思うと、講座受講や専門書の購入などで数十万円~数百万円程度のお金をかける人もいますが、大学院に通うほどの費用にはならない場合が多いです。

とはいえ、臨床心理士としての高度な専門性を身につけることのメリットも大きいため、キャリア選択は慎重に行うことをおすすめします。

臨床心理士と心理カウンセラーの給料・待遇の違い

日本では、心理職全体において正規雇用が少ないという特徴があり、非正規雇用が主流です。

これにより、臨床心理士であっても安定した待遇で働ける人は決して多くなく、時給制の契約社員やパートとして、不安定な働き方をする人もいるのが実情です。

とはいえ、もちろん企業や行政などで、正社員(正規職員)として採用されるケースもあります。

正規雇用であれば、安定した給料とボーナスの支給が期待できます。

一方、心理カウンセラーの場合は、おのおのの活動内容や専門性などによって収入事情は異なります。

認定心理士や産業カウンセラーなどの資格を持っていると、よい条件で働ける場合があります。

なお、心理カウンセラーは独立して活動をする人もおり、その場合は個人の仕事内容や経営状況によって収入が大きく変わります。

臨床心理士と心理カウンセラーはどっちがおすすめ?

「臨床心理士」は高度な専門性を持った資格であり、心理職としての権威性もあります。

指定大学院や専門職大学院で学ばなくてはならないことから、心理学を体系的に学び、研究分野を深めていきたい人には、臨床心理士はおすすめです。

なお、最近では、2017年に誕生した心理系資格発の国家資格である「公認心理師」を目指す人が増えてきています。

心理学の分野におけるより高度で権威的な資格を取りたい場合は、臨床心理士か公認心理師のどちらかを選ぶことになります。

一方で、「心理カウンセラー」は資格が必要ないため、より広い多くの人、さまざまなバックボーンの人が名乗ることができます。

ただ、臨床心理士と比較して信用度が高いとはいえないことも指摘されています。

とはいえ、心理カウンセリング分野は理論も大事ですが、実践でどれだけ力を発揮できるかも重要となるため、専門性の高い資格を持っていなくても活躍できる可能性はあります。

公認心理師の仕事

臨床心理士と心理カウンセラーの違いのまとめ

臨床心理士と心理カウンセラーは、どちらも心理的なサポートを提供する専門家ですが、主に資格面で違いがあります。

臨床心理士は特定の大学院で心理学を学び、資格を取得した人だけが名乗ることができます。

一方で、心理カウンセラーは資格が必要なく、幅広い背景や経験を持つ人が心理的な支援サービスを提供しています。

心理的な支援を行ううえで資格は必須ではありませんが、キャリアの選択肢なども含めて、どのように学びを深めていくのかをよく考えることが重要です。