不動産会社の現状と将来性

不動産会社の現状

昨今の不動産業界を取り巻く環境としては、「取引件数の減少」と「業者の乱立」の2つがキーワードとなります。

不動産は、人が暮らしたり事業を営んだりするうえで不可欠なものですが、人口減少によって需要そのものが徐々に落ち込みつつあり、不動産取引件数は減少傾向にあります。

その一方、不動産業の法人数は増え続けており、ここ10年でも約1割ほど増加して、現在では30万社を大きく超えています。

仲介会社を立ち上げるにあたり、必要な開業資金が少額で済むこと、必要資格の取得難易度がそれほど高くないことなどがその要因です。

コンビニエンスストアの店舗数が全国でおよそ5万~6万店であることをふまえると、不動産会社がいかに乱立しているかがよくわかるでしょう。

減りゆく需要を、新規・古参含めて、数多くの業者同士で奪い合うかたちで事業環境が非常に厳しくなっているのが、不動産会社の現状です。

今後についても、かなりのスピードで業者が淘汰され、入れ替わっていくことが予想されます。

参考:公益財団法人不動産流通推進センター 2020不動産業統計数(3月記改訂)

不動産会社の需要

不動産業界は、企業単位での入れ替わりが激しいのと同じように、人の入れ替わりも非常に激しいことが特徴です。

接客スキルはもちろん、複雑な法令関係の知識も身につけないといけませんし、またノルマの存在もあって、人によって合う・合わないがはっきりと分かれます。

せっかく就職しても、数か月や1年ほどで辞めていく人も大勢います。

このため、不動産会社各社は、求人については非常に積極的であり、経験者・未経験者に関係なく、常に一定以上の需要があります。

ただ、仕事内容や待遇面は企業ごとにばらばらで、業界環境も悪化しているので、「就職先の見極め」が非常に重要になります。

職場を選ぶ際には、できる限り多くの求人情報を集めて、慎重に比較検討することが大切です。

不動産会社の将来性

「人の住まい」に関するビジネスは、時代の流れや景気動向に関係なく不変のニーズがあり、今後も不動産会社がなくなることはありません。

ただし、少子高齢化は今後さらに急速に進んでいく見通しであり、顧客数が減少することは避けられません。

高齢化、未婚率の増加によって、ファミリー世帯より単身世帯が増える影響もあって、取引1件あたりから得られる報酬単価も下落していくでしょう。

人口の少ない地方の不動産会社ほど、より苦境に追い込まれていくことが想定されます。

都市部でも、不動産業者は供給過剰となっているので、営業力やコネクション、人材に乏しい会社は廃業していくでしょう。

例外的に、豊富な資金力と幅広い顧客基盤をもち、仲介以外にも多角的な事業を手掛けている大企業は、今後も当面は安泰です。

不動産会社社員の今後の活躍の場

不動産業界の厳しい業界環境を考えれば、単に仲介したり管理したりというビジネスモデルでは、十分な利益を確保することは難しいでしょう。

生き残っていくためには、より付加価値のあるサービスを提供するか、専門的になるか、どちらかが必要です。

たとえば、不動産を投資対象として扱い、高齢者を中心とした富裕層に対して、資産運用に関するコンサルティングサービスを提供している業者がいます。

また、近年は中国をはじめとして外国人や外国企業が日本の不動産を購入するケースが増えていることに着目して、「外国人専門」の不動産仲介を手掛けている業者もいます。

中古マンションばかりを自社で買い集めて、建築業者とタイアップし、リノベーション物件ばかりを扱っている業者もいます。

他社との差別化を図ることが大切であり、不動産会社社員の活躍の場も、今以上に専門的になっていくでしょう。