不動産会社社員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「不動産会社社員」とは
住宅や土地、商業施設といった不動産の売買・賃貸・管理あるいはそれらの仲介を行う。
不動産会社社員とは、さまざまな不動産の売買、賃貸、管理、あるいはそれらの仲介などを行う会社で働く人のことです。
不動産の種類は、土地、アパート・マンションや一戸建てなどの各種住宅、あるいはオフィスビルや商業施設のような大型建物など多岐にわたります。
また、不動産会社といっても、大規模な住宅開発、都市再開発などを行う「デベロッパー」と呼ばれる大手企業もあれば、いわゆる「街の不動産屋さん」のように賃貸仲介のみを行う小規模の企業もあります。
不動産会社では営業系の職種の需要がとくに大きいですが、その他、企画系、管理や事務系の仕事などに就く人もいます。
人口減少、少子高齢化などによって、不動産業界を取り巻く環境は厳しさも増しており、市場ニーズに対応できる熱意ある人材が求められています。
「不動産会社社員」の仕事紹介
不動産会社社員の仕事内容
不動産に関するビジネス手掛ける企業で働く
不動産会社とは、土地をはじめ、住宅やオフィスビル、商業施設のような建物など、多様な不動産の売買、賃貸、管理、あるいはそれらの仲介などを行う企業のことをいいます。
事業内容は企業によって大きく異なり、上記に挙げた事業を複合的に展開している場合もあれば、ある領域に特化した事業を手掛ける場合もあります。
事業規模もさまざまで、都市開発などの大型事業を手掛ける「デベロッパー」と呼ばれる大企業から、賃貸仲介のみを扱う小さな「街の不動産屋さん」まで、多種多様です。
営業系の仕事に就く人が多い
不動産会社社員は、営業系の職種に就く人の割合が大きいです。
ただ、ひとことで営業といっても、「賃貸仲介」と「売買仲介」では仕事内容の進め方に違いがあります。
また、扱う不動産の種類もマンションやアパートなどの「居住用物件」のこともあれば、事務所や店舗などの「事業用物件」のこともあり、多種多様です。
「デベロッパー」といわれる大手不動産会社では、建物の企画や土地開発などに関わる企画・開発系の職種で活躍する人もいます。
その他、自社で扱う物件の管理に携わる職種や、総務や人事、経理など、会社を裏方で支えていく管理系の職種で働く社員も活躍しています。
不動産会社社員になるには
不動産会社の社員採用試験を受ける
不動産会社社員として働く一般的な方法は、各不動産会社が実施する社員採用試験を受けことです。
大手の不動産会社では、毎年、定期的に新卒採用を実施しているところが多いです。
一方、中小企業の場合は定期採用は実施されていない場合や、新卒の社員は採用せずに、即戦力となれる人を求める中途採用のみを行っているところもあります。
企業によって採用試験のプロセスや内容には違いがあるため、事前によく確認しておきましょう。
特別な資格や専門知識は必要ないことが多い
不動産業界は「営業職」の需要がとくに大きく、求人数も多いです。
不動産会社は日本全国にたくさんあるため、自分に合う会社を選びやすいでしょう。
また、未経験からでも意欲的であれば採用される可能性が高いことも特徴です。
入社時点では、資格や専門的な知識も求められないことが大半ですが、待遇のよい大手デベロッパーの採用倍率は高くなりがちで、難関大学の学生が多く志望します。
不動産会社社員の学校・学費
学歴はまったく問われない企業もある
不動産会社で働くために、必ず通わなくてはならない学校はありません。
ただ、ある程度大きな企業になると、大卒以上の学歴を求める企業も目立ちます。
とくに「総合デベロッパー」と呼ばれる不動産業界の大手上場企業は人気が高く、国立大学や有名私立大学の学生が多く志望します。
一方、中小企業の場合にはとくに学歴を問わないケースも多数あり、高卒や中卒でも営業などの仕事でバリバリと活躍する人もいます。
業務上必要な知識の習得は入社後でもできるため、就職先次第では、誰にでもチャンスがあるのが不動産会社の特徴です。
不動産会社社員の資格・試験の難易度
宅地建物取引士を取得する社員が多い
不動産会社社員として就職する時点で、何か特別な資格が求められることはさほど多くありません。
しかし、不動産会社で働くことになると、土地・建物に関する専門知識や、数多くの法律知識を身につける必要が出てきます。
不動産の仕事に関係する資格として最も有名なもののひとつが「宅地建物取引士」、通称「宅建」です。
宅地建物取引士の資格を持っていると、不動産取引の契約時に必須となる「重要事項説明」が行えるようになります。
そのため、宅建の有資格者は不動産業界では歓迎されます。
試験の合格率は20%前後とそれほど高くないものの、きちんと勉強すれば学生のうちからでも合格は十分に可能です。
入社後に宅建を取得する人も多いですが、早めに勉強をしておいて損はありません。
不動産会社社員の給料・年収
営業は実力によって収入が大きく変わりやすい
不動産会社社員の給料は、勤務先や役職、営業成績などによって大きく変わってきます。
平均年収は450万円ほどと考えられますが、いわゆる「デベロッパー」は大企業が多いこともあり、業界内でも年収が高めとなっています。
また、不動産会社の「営業職」に関しては、給与体系に「インセンティブ(歩合給)」の制度を取り入れているケースが目立ちます。
歩合給の割合にもよりますが、個人の営業成績によって収入が大きく変動し、人によっては20代や30代前半でも年収1000万円以上を得ることが可能です。
ただし、インセンティブが大きいほど社内での競争も厳しめになる傾向があり、背負うプレッシャーは大きなものとなるでしょう。
高額な不動産を扱う企業は年収も高め
不動産会社のなかでも、投資用不動産など高額な不動産を取り扱う企業に勤務するほうが収入は高めの傾向です。
また、業界の代表的資格である「宅地建物取引士」を取得すると、基本給とは別に資格手当が付く企業も比較的多いです。
不動産会社は数が多く、大きく稼ぎたいと考える人は、よりよい待遇の会社へ転職を繰り返すこともあります。
関連記事不動産会社社員の年収はいくら? 給料についてくわしく解説
不動産会社社員の現状と将来性・今後の見通し
需要は十分にあるが競争も厳しい
人が生きていくうえで不可欠な「住まい」に関するビジネスを展開する不動産会社は、いつの時代でも一定の需要があるといえます。
しかし、昨今の人口減少や高齢化などによって、不動産を必要とする人の数は、中長期的には減少傾向です。
また、非正規雇用で働く人が増えたことなどから、近年では低価格物件の人気が高くなっている傾向も見られ、業界を取り巻く環境には厳しさもあります。
こうしたなか、昨今の不動産会社は付加価値のあるサービスの提供や、一部の領域に特化した事業展開によって、他社との差別化を図ることに力を入れる傾向が見られます。
求人は常に出ていますから、自分に合う会社をしっかりと選び、高いモチベーションを維持できれば、大きく成果を出して活躍し続けることができるでしょう。
不動産会社社員の就職先・活躍の場
就職先には数多くの選択肢がある
国土交通省の調査によれば、不動産会社(宅地建物取引業者)の数は、平成30年度末時点で12万社を超えています。
他業界と比較しても新規開業が多いことが特徴で、歴史のある企業だけでなく、新たに不動産ビジネスを手掛けるベンチャー企業の存在も目立ちます。
ただ、ひとことで不動産会社とはいっても、各社で扱う不動産の種類や事業内容は多種多様です。
たとえば「売買仲介」ひとつとっても、来店客に対応する店舗型なのか、顧客をまわる訪問型なのかというように、営業スタイルは企業によって異なります。
ほかにも、戸建て住宅や分譲マンションの広告宣伝から契約まで一手に引き受ける販売代行会社や、マンションやビルの管理を専門に行う会社、投資用不動産に限定して販売する会社など、多様な選択肢があります。
不動産会社社員の1日
人とコミュニケーションをとる時間が多い
不動産会社社員の1日の流れは、勤務先の事業内容や、所属部門、職種によって異なります。
営業職の場合、デスクワークと外回りの両方を行うことが多く、忙しく動き回ります。
不動産を利用するお客さまやオーナー(大家)、地主、設備業者、大工など、多くの人と接する機会があります。
ここでは、賃貸仲介の営業担当者のある1日を紹介します。
不動産会社社員のやりがい、楽しさ
人の暮らしに不可欠な不動産を扱えること
不動産会社社員の仕事は、人々の生活に必要不可欠な「住まい」を取り扱うという点に、大きな魅力があります。
衣食住の「住」は、人々の暮らしを構成する要素の中でも大きな比重を占めており、安全で心豊かな生活を送るうえでは不可欠なものです。
また、不動産は金額的にも高額になりがちで、マイホーム購入など、多くの人にとって一生に一度の重要な買い物になることも多いです。
不動産社員は、お客さまの「住む場所を決める」という重大なライフイベントに立ち合える仕事です。
お客さまにとって、べストな住まい探しの選択の手助けができることが、不動産会社で働くやりがいにつながっているといえるでしょう。
不動産会社社員のつらいこと、大変なこと
ノルマやクレーム対応に追われることも多い
売買仲介や賃貸仲介を営む不動産会社のなかには、営業職などに「ノルマ」を設定している企業がよくあります。
「契約件数」や「仲介手数料総額」といった形で自身の営業活動に目標が課され、日々、その数字を意識して働かねばなりません。
大きなプレッシャーがかかるケースもありますが、成績がよかった場合は、その分個人の給料に反映されていくため、モチベーションにつながっている側面もあります。
また、不動産会社ではお客さまと直に接する仕事が多いため、トラブルがあった場合にはクレームを受けることもあります。
とくに不動産は人の人生に大きな影響をおよぼすものであり、金額も大きいことから、ほんの少しの問題でもクレームにつながり、精神的につらいと感じることもあるかもしれません。
不動産会社社員に向いている人・適性
人との関わりを苦にせず粘り強さがある人
不動産は年齢や職業などに関係なく、誰にでも必要となるものです。
そのため、不動産会社社員にとってのお客さまが下宿先を探す若い学生でも、大きく歳の離れた資産家の老人であっても、きちんと話を理解して的確に相手のニーズをくみ取れる、高いコミュニケーション能力が必要になります。
加えて、不動産社員はお客さま以外にも、大工や設備業者をはじめとして、さまざまな人と共に仕事をします。
人と接することが好きな人は、不動産会社社員に向いているといえるでしょう。
また、とくに営業の仕事では、地道にアポイントをとって契約に結び付ける努力が求められてきます。
不動産は1件あたりの成約金額は大きくなりがちですが、すぐに売れるわけではありません。
何度も交渉を重ねたり、コツコツと信頼関係を築いたりといった行動が実を結ぶことが多いため、粘り強さや諦めない心のある人に向いている仕事です。
関連記事不動産会社社員に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
不動産会社社員志望動機・目指すきっかけ
若いうちから稼ぎたいという野心的な人も
不動産は人々の生活の基盤をなす大事なものであり、それを扱う不動産会社にも大きな責任が伴います。
こうした、人の暮らしに寄り添う重要性の高いものを取り扱う仕事がしたいという思いで、不動産会社に就職する人は少なくありません。
また、不動産業界では実力次第で年齢に関係なく高収入を得られるチャンスがあり、その点に魅力を感じている人も多いです。
とくに高額な不動産を扱う会社の営業職はインセンティブの割合が大きく、個人の成果によって20代や30代で年収1000万円いじょうを目指すことも可能です。
バリバリと活躍して独立や起業を目指したいなど、大きな野心を抱いて不動産会社に入ってくる若者もいます。
関連記事不動産会社社員の志望動機と例文・面接で気を付けるべきこと
不動産会社社員の雇用形態・働き方
思い描くキャリア次第で働き方はさまざま
不動産会社社員は、営業や企画などの職種では、正社員として雇用されるケースが多いです。
一方、営業部などで内勤の事務などに携わっている人は、パートや派遣社員などで働く人も比較的多く活躍しています。
バリバリと働いて稼ぎたい意欲が強い人の場合、実力をつけると、さらに上のポストが狙える会社、よりよい待遇の会社へ転職する人も多いです。
また、一定の経験を積んで「宅地建物取引士」の資格も取得すると、独立する人もいます。
独立後は自分で会社を経営することになるため、営業手腕や経理知識、スタッフのマネジメントなど、より幅広い能力が必要になりますが、成功すればより大きな収入が期待できます。
不動産会社社員の勤務時間・休日・生活
配属先によって勤務スタイルは多少異なる
オフィスで働く不動産会社社員の勤務時間は、他業界の日勤の会社員とほぼ同じで、9:00~18:00くらいの時間帯で働きます。
ただし、賃貸仲介などカウンターセールスを行う店舗勤務の場合は、地域にもよりますが、朝がややゆっくりめで、その分、夜は少し遅くまで働くこともあります。
休日については、本社勤務の場合は土日祝日が休みとなる一方、店舗勤務の場合はシフト制が基本で、来店客の増える土日のうちどちらかは出勤することが多いでしょう。
取り扱う不動産の種類にもよりますが、不動産業界は繁忙期と閑散期がややハッキリとしているため、忙しい時期は休日出勤の可能性がありますが、それ以外の時期にまとまった休みをとることができます。
不動産会社社員の求人・就職状況・需要
求人数が多い分、条件はよくチェックすべき
不動産業界は離職率が高めで、他の業界と比べると、やや短いサイクルで人が入れ替わっていきます。
このため、採用活動を積極的に行っている企業は多く、とくに人手が必要な営業職の求人は数多く見られます。
不動産会社自体の数も日本全国に多数あり、経験や学歴を問わない企業も多いため、就職口を見つけることはそれほど困難ではないでしょう。
ただし、不動産会社で取り扱う不動産の種類や、待遇や勤務体系などは企業によってかなり差があります。
募集職種や仕事内容を含めて採用情報はよく確認し、自分に合うものを探しましょう。
不動産会社社員の転職状況・未経験採用
未経験者の採用にも積極的な企業が多い
不動産会社で働く人は、ひとつの企業に長く勤める人もいるものの、業界内で転職する人も決して少なくありません。
さまざまな不動産に関わって成長したいと考える人や、自分の実力に自信があり、よりよい待遇を求める人などが転職を決意することが多いです。
また、不動産の営業職は、人によって合う・合わないがはっきりと分かれる傾向にあります。
優秀な営業成績をあげて高い収入を得る人がいる一方で、日々のノルマや目標数値を負担に感じて、すぐに離職していく人もいます。
このため、不動産会社の大半は転職者を常に受け入れており、業界未経験者であっても、熱意と意欲のある人材の採用には前向きです。
未経験者にとってはチャンスの大きな業界ですが、逆に考えればそれだけ新規参入者が多いともいえるため、生き残っていくためには努力が問われます。