養護教諭の現状と将来性

多忙を極める毎日

養護教諭が携わる業務は、健康診断や傷病の手当にとどまらず、学校全体の衛生管理や保健指導、校医や校外の専門家(スクールカウンセラー等)との連携など多岐にわたります。

近年では、保健室登校の子どもたち(文部科学省の調査によれば、平成5年度から平成22年度にかけて小学校では1.9倍、中学校では2.2倍の児童・生徒が保健室登校をしている)の支援も養護教諭の大切な職務の一つとなっています。

また、「財団法人日本学校保健会」が2006(平成18)年度に実施した調査によれば、保健室の1日平均利用者数は、小学校約41人、中学校約38人、高校約36人です。

この結果から、毎日それぞれの学校の保健室には1学級前後に相当する人数の児童・生徒が訪れることが分かります。

これだけの人数だと、個々に充分に時間をとって対応できないのが現状です。

実際に、前掲の調査では、養護教諭が保健室で接した子ども一人平均の対応時間は、2001(平成13)年度は小学校で10.9分、中学校で16.4分、高校では15.6分だったのが、平成18年にはそれぞれ11.6分、17.8分、21.8分といずれも増加しています。

これだけさまざまな仕事を担当し、児童・生徒と向かい合う時間も長いのですから、当然、多忙を極めます。

しかし、養護教諭は一人しか配されていないという学校がほとんどです。

複数配置を求める声

養護教諭は、851人以上の小学校、801人以上の中・高校、61人以上の特別支援学校でなければ二人以上の体制で配置されません。

そこで、複数配置の拡充を求める声が上がっています。

前述の日本学校保健会による平成18年度調査でも、養護教諭が複数配置されている学校の方が児童・生徒の来室数が多く、保健室の先生に心身の状態について訴えやすくなっていることが分かっています。

また、教員も子どもたちの健康状態について共通理解を図るために来室するようになり、連携した指導ができるようになっていると言えます。

このように、複数配置によって児童・生徒の健康が守られ、教育的効果も高まるために、養護教諭の採用数が増えると思われます。

少子化の影

そうは言っても、文部科学省が公表している「平成24年度学校基本調査」によると、「少子化」が目に見えて進んでいることが分かります。2012(平成24)年5月1日現在、小学校はそれまでの4年間に児童数が減少し続け、この年、過去最低を更新しています。

中学校や高校は、過去数年間、安定的に推移しているものの、今後、減少した小学生が進学するので減少傾向に転じる見込みです。

子ども達が少なくなっていくということは、学級数も減り、学校の統廃合も進んで、教員の数も少なくなることが予想できます。当然、養護教諭も教員の一員ですから、採用定数が爆発的に増えるという希望的観測は持ちづらいのが現状です。