「和菓子職人」の仕事とは

和菓子職人の仕事内容

和菓子を作る職人

和菓子職人は、日本の伝統的なお菓子を作る職人のことです。

伝統的な和菓子から斬新な感性を活かした創作和菓子まで、そのジャンルは多岐にわたります。

和菓子は大きく「生菓子」と「干菓子」に分けられ、「蒸す」「焼く」「練る」などの技法を駆使して作られます。

こうした和菓子作りの技術を習得するだけではなく、餡をつくるための小豆やいんげん豆などの豆類、上新粉や白玉粉といった粉類、果物など、和菓子に関する食材の知識も欠かせません。

また和菓子は茶道とともに発展してきたため、「わび・さび」を感じる芸術的要素や季節感など、日本ならではの価値観や文化を表現することも重要な要素となります。

目で見て美しく、食べておいしい和菓子を作り出すのが和菓子職人の仕事です。

和菓子職人の就職先・活躍の場

和菓子店や和菓子メーカー

和菓子職人が活躍しているのは、和菓子店や和菓子を扱う菓子メーカーです。

和菓子店には、繊細な和菓子を一つ一つつくっているような個人店から、大釜で小豆を煮て機械を使い大量に和菓子を生産しているところまでありますので、自分がどんな和菓子をつくりたいかをあらかじめ考えておく必要があるでしょう。

ただし、和菓子職人もほかの料理系の職業と同様、見習いや弟子入り期間があり、和菓子を直接扱えるようになるまでには、何年もかかることもあります。

和菓子職人1日

開店に合わせて朝早い仕事

和菓子職人の一日は、勤務する店舗によっても異なりますが、開店に間に合わせるため朝早くから仕事をするという店が多いようです。

ここでは個人店で働く和菓子職人の一日を例にご紹介します。

06:00 起床

07:00 出勤
その日使う食材や道具の準備をします。

07:30 食材の下準備開始
その日の天気や湿度によっても食材の状態が違うので見極めながら作業をします。
工程を間違えると同じものが出来上がらないので、ひとつひとつ丁寧に慎重に行います。

09:30 生菓子づくり
開店前に並べる生菓子をつくります。

10:00 店舗オープン
店頭でお客さまからで注文を受けその場で生菓子を追加でつくることもあります。

12:00 昼食休憩

13:00 焼き菓子づくり
生菓子が仕上がる目処が立ったら、比較的日持ちのする焼き菓子を作ります。
賞味期限や売れ行きをチェックしながら補充していきます。

16:00 明日のための仕込み
明日使う予定の食材や、道具の片づけを行います。
足りない食材は早めに発注しておきます。

17:00 退勤

和菓子職人になるには

長い修業期間が必要

和菓子職人になるには、高卒で和菓子店へ就職するか、製菓の専門学校で和菓子作りを学んでから就職するかの2つの方法があります。

かつては中卒や高卒で直接和菓子店に弟子入りする人も多かったようですが、現代ではまず専門学校へ進学し、知識と技術を身に付けてから就職する人が多いようです。

和菓子は特別な技術で作られているため、一人前になるまでには長い時間がかかります。

新人のうちは餡(あん)を作ったり生地を練ったりする基本を繰り返し先輩から技術を教わりながら、何年もかけてようやく全ての工程を任せてもらえるようになります。

和菓子職人の学校・学費

特別な学歴は必要なし

和菓子職人になるために特別な学歴は必要ありませんが、時間的・経済的に余裕があるのなら、まず専門学校で基礎を学びつつ、人脈をつくることも有効かもしれません。

専門学校では和菓子に限らず製菓の基礎から身につけることができますし、和菓子店や和菓子メーカーとのパイプがあり就職に有利な場合もあります。

また、教えてくれる先生によってさまざまな和菓子の技術や作り方があることを知ることができます。

もちろん高卒で和菓子の世界に飛び込む方法もありますが、専門学校で得た幅広い知識は後々きっと役に立つでしょう。

和菓子職人の資格・試験の難易度

製菓に関する資格は有利

和菓子店や和菓子メーカーに就職するためには、とくに資格は必要ありません。

何より、その店や会社の伝統的な商品を昔からの味や見た目のまま再現すること、そしてその店や会社に合った新しい商品を開発することが重要です。

しかし、「製菓衛生師」「製菓製造技能士」といった製菓に関連する資格は、菓子作りの技術やでき上がった菓子の品質を証明するために重要な資格です。

特に将来自分の店を持つ目標のある人、店長や工場長として責任ある立場に就こうとする人にとっては、持っておいて損のない資格だといえるでしょう。

和菓子職人の給料・年収

総合しても給料は低め

和菓子職人は就職しても、最初は見習いの立場になりますので、高額な給料をもらえることはほとんどありません。

勤め先によってまちまちですが、初任給としては手取りで大体月に10万円ちょっと、中堅どころとなっても平均年収は300万から400万円といったところが一般的といわれています。

お金のことよりも「和菓子が心から好き」と思える人でなければ、続けるのは難しいかもしれません。

独立しお店が成功すれば高収入を得ることも夢ではありませんが、そのためには和菓子職人としての腕だけではなく、経営的な知識やセンスも必要とされます。

和菓子職人のやりがい、楽しさ

お客さまに喜んでもらえる仕事

和菓子職人だけでなくサービス業に共通することですが、お客さまに喜んでもらうことが何よりの励みになります。

中でも和菓子は店頭に並んでいるだけで目を引く美しさがあるため、お客さまの感嘆や喜びの顔を直接知ることができます。

自分が作った和菓子に感動してくれる表情を見たり、感謝の言葉をもらったりしたとき、この仕事に就いて良かったと感じることでしょう。

また、和食文化や日本の芸術が世界的に評価されている近年、和菓子を通じて日本古来の伝統文化を受け継ぎ、後世に伝えていくやりがいのある仕事でもあります。

和菓子職人のつらいこと、大変なこと

下積みが長く先行きの見えない仕事

和菓子職人として就職したとしても、数年間は下積みとして、掃除や洗い物、配達などの雑用や、食材の下処理といった「和菓子作り」以外の仕事がメインになります。

和菓子職人は「餡炊き3年、薪焚き5年」などといわれ、お店によってまちまちですが一人前になるまでには10年かかることもあります。

先輩が多くいればいつまでも雑用ばかりということも考えられます。

下積み期間は給料も低く、いつになったら自分自身が独り立ちできるか、先が見えない不安な状態が続きます。

こうした苦労を乗り越えた人だけが、和菓子職人として独り立ちできるのです。

和菓子職人に向いている人・適性

和菓子に対する情熱と体力のある人

和菓子職人に必要なものとして挙げられるのは体力です。

重い調理器具や食材を扱うので体力がなくては務まりませんし、一日中立ちっぱなしとなる仕事なので、手先の器用さだけでなく足腰も丈夫でなければなりません。

そしてそんなハードな仕事であっても「自分の作ったものを人においしいと食べてもらいたい」という情熱が必要です。

この和菓子に対する情熱を忘れなければ、努力も勉強も工夫も惜しまず、日々の仕事に励めることでしょう。

和菓子職人志望動機・目指すきっかけ

和菓子を食べる、作ることが好き

和菓子職人の志望動機として多く見られるのは、「とにかく和菓子に目がない」「小さいころから和菓子を作るのが好きだった」などの志望動機です。

中には「和菓子の美しさに魅せられた」というような、見た目の美しさや芸術性に惹かれる人も多く、その点をアピールすることも大切です。

「貴店のこの商品が大好きで、自分も作る側に回ってみたい。」など、商品への思い入れを志望動機としてアピールする人も多く見られ、こうしたしっかりと企業研究をした志望動機は採用担当者も特に喜ぶものとなっています。

和菓子職人の雇用形態・働き方

見習いから正社員へ

大きな和菓子メーカーでない限り、和菓子職人がいきなり正社員として雇用されるのはかなりまれです。

特に個人経営の和菓子店では、見習いとしてアルバイトからはじめ、正社員へと登用されるケースが大半です。

ただし個人の和菓子店は、家族経営的な規模で営業していることが多く、従業員も10人未満の小さなお店が大半です。

このような規模の職場では、たとえ正社員となり給料がアップしたとしても、充実した福利厚生は望めない場合が多いのは事実です。

和菓子職人の勤務時間・休日・生活

早朝勤務が多く長時間労働になりがち

和菓子職人の勤務時間や休日は勤め先によりまちまちです。

店舗やメーカーによっては早朝からの出勤や、早番・遅番の2交代制にしているところも多く見受けられますが、個人経営のお店の場合は、ひとりでさまざまな作業をこなさねばならず、長時間労働になりがちです。

和菓子職人にとって、お盆やお彼岸、節句の時期、卒業シーズンは繁忙期になり、店舗によっては、学校行事やお祭りなど、得意先や地域の習慣により注文が殺到することもあります。

そのような場合には、残業や休日出勤が続くということもあります。

和菓子職人の求人・就職状況・需要

求人自体は少なくない

求人サイトなどを見ても、和菓子職人の求人自体は決して少なくはありません。

後継者が決まらず、和菓子店を閉店するという老舗もあるほどです。

和菓子職人が集まらない理由としては、労働条件が他の職種に比べあまりよくないということもありますが、即戦力となる応募者が少ないという理由もあります。

和菓子職人になりたいと思って勉強をはじめたり修業をはじめたりするものの、一人前になる前に挫折する人も多く、入れ替わりが激しいのが和菓子職人の世界です。

和菓子職人の転職状況・未経験採用

道半ばで転職する人が多い

まったくの未経験から和菓子職人を目指すという人は、専門学校で勉強するところからはじめるぐらいの意気込みが必要でしょう。

料理の世界では多いことですが、和菓子職人も一人前になるまでに時間がかかるため、途中で挫折し転職する人も少なくありません。

製菓の専門学校を卒業し、あらかじめ調理師免許や製菓衛生士免許を取得している人は、きつい和菓子職人の仕事を続けなくても、別な調理の道も選ぶこともできるわけです。

特に近年は女性の和菓子職人も増えていますが、結婚や出産による環境の変化がネックになり、退職する人が多いようです。

和菓子職人の現状と将来性・今後の見通し

時代に沿った新しい商品づくり

スイーツといえば洋菓子を思い浮かべる人も多いですが、近年、そのヘルシーさや芸術性の高さから、和菓子の価値が見直されつつあります。


特に和菓子に込められた豊かな芸術性や繊細な技術は、国内外問わず注目を集めていて、外国人観光客からのニーズも増えています。

最近は、抹茶などの和の食材を使ったスイーツやドリンクを提供する「和カフェ」も増えて人気を集めています。

こうした新しい営業形態は、伝統的な和菓子の道とは異なりますが、これからの新しい時代に沿った柔軟な商品を模索し作り出していくことも求められるでしょう。