小説家と脚本家の違い

昔、中世の頃は小説家と脚本家のくくりもありませんでした。まだ小説家というのが職業として一般に認められてなく、脚本家(当時は戯曲家)が小説を書く場合もあり、その逆の=も然りでした。

近年も似たような形が見受けられます。小説がアニメやドラマ、映画化されたりと。しかし、本来テレビメディアのシナリオを作るのは脚本家です。小説家はテレビで実写化されるのを目的として書いているのではなく、また書くものでもありません。

小説だから許される物語があり、小説だから許される独特の表現方法、会話調などがあります。これを活字ではなく演技としてやると、どうしてもその作品の良さが鈍ってしまいます。脚本家は実写を想定して書いているので、言わばその道のプロフェッショナルです。

小説家に筒井康隆という大御所作家がいます。「七瀬ふたたび」や「時をかける少女」などのSFチックな小説が話題を呼んでいます。彼の作品は実写化やアニメ化されていますが、以前テレビでこう発言しています。

「アニメ化はいいと思う。なぜなら、アニメの登場人物は自分の思い描いた演技を100パーセント完璧にこなしてくれるからだ」

つまり、小説を実写化すると、必ずひずみがわいてしまうということです。人が空を飛ぶシーンがあったら、ワイヤーアクションだったり、CGを駆使したりすることでしょう。しかし、それではわずかに不自然さが残ります。しかし、アニメならば表情や演技は完璧にこなしてくれるのです。

小説で読むとおもしろいけれど、実写化されると普通のドラマだ。そう感じる人も少なくないはずです。それは小説だからこその持ち味を感じ取っている証拠です。