「芸者」の仕事とは

芸者の仕事内容

江戸時代から続く歴史のある職業

芸者の仕事は、宴席の余興で舞踊や音曲、鳴物などを披露し、お客さまをもてなすことです。

芸者は江戸時代中期ごろから盛んになった歴史のある職業で、地方によって芸子や芸妓などとも呼ばれています。

余興以外の間はお酌をしながらお客さまとコミュニケーションをとり、さりげなく宴席を進行します。

人前で芸事を披露する以上、毎日の稽古を欠かしません。

また客層は幅広く、海外のお客さまをもてなす機会も多いため、語学力向上のための努力や話題作りのための情報収集も仕事のうちです。

宴席以外にも、日本文化の継承者として各種イベントや小中学校などの教育現場で講師をしたり、観光地を拠点にしている場合は観光大使として各種PR活動を行ったりします。

芸者の就職先・活躍の場

芸者は必ず置屋に所属する

芸者は置屋に所属する必要があります。

置屋とは芸者を抱える家のことで、お座敷に所属している芸者を派遣する役割を担っており、いわば芸能プロダクションのようなものです。

置屋の経営者は女将さんで、芸者は女将さんをお母さんと呼び、さまざまなことを教わるのです。

芸者は出勤の際にまず置屋に立ち寄り、そこで諸連絡を受けると宴席の会場へ向かいます。

また宴席での仕事が終わると再度置屋に立ち寄ってから帰宅します。

置屋は芸者の活動拠点でもあるのです。

芸者1日

稽古から始まり、夜遅くまで働く

芸者の一日は、その日の宴席で披露する演目の稽古を行うことから始まります。

10:00 稽古場に到着
演目は日によってさまざまで、適宜休憩をはさみながら稽古に励みます。

15:00稽古修了・美容院へ出発
稽古を終えると、宴席前に美容院へ髪結いに出かけます。

16:30置屋へ出勤・座敷着に着替え
その日の宴席に関する事項を再確認します。

18:00料亭に出勤
依頼のあった料亭へ出向き、宴席に参加します。お酌や会話などで場を盛り上げます。

20:00余興
舞踊や音曲等でお客さまをもてなします。

20:45休憩
しばし宴席を離れ、休息をとります。

21:00再度、宴席へ
再び宴席でお客さまのお相手をします。

22:00宴席終了・二次会へ
一旦宴席がお開きになると、そのまま二次会の会場へ移動します。

0:00 置屋へ・帰宅
一日の仕事を終えると、置屋へ帰って報告をします。

芸者になるには

第一歩は置屋に所属すること

芸者になるには、まず宴席に芸者を派遣し衣食住の世話などもしてくれる置屋に所属します。

自分で希望の置屋に問い合わせをして面接の機会を作ってもらうのが原則です。

芸者を目指すにあたって特別な学歴は必要ありませんが、年齢制限には注意が必要で、未成年の場合は保護者も面接を行います。

置屋に所属したら、まずは見習いとしてふさわしい所作や言葉遣い、着付けや化粧などを身に付けます。

芸者として良いスタートを切るためには、日本舞踊、三味線や長唄などを積極的に習うと良いでしょう。

芸者の資格・試験の難易度

一人前になっても稽古の日々

芸者になるのに必要な学歴や資格はありませんが、芸者の第一歩である置屋の女将との面接は突破しなければいけない試験といえます。

芸者の仕事は信頼関係で成り立つため、面接のアポイントをとるところから態度をみられ、面接でも厳しい修業期間を乗り越えられるかをチェックされます。

また芸者になっても資格や試験に追われることはありませんが、一人前になった後も稽古の毎日で、芸の道に進んだ以上は日々スキルを磨き続けることになるでしょう。

芸者の給料・年収

歩合制で玉代は2~3千円以上

置屋の中には歩合制をとっているところが多いです。

一回の宴席でお客さまは一人の芸者に5万円ほど払い、そこから置屋がマージンとして看板料と諸費用を差し引くので、実際に芸者が手にする収入は時給で2~3千円以上になります。

ちなみに芸者の時給のことを玉代といい、中には玉代6000円という芸者もいるようで、スキルを積めば月収20~30万円ほどになるといわれています。

また宴席でお客さまから直接チップをもらうこともあり、玉代よりも高い額になることもあるようです。

芸者のやりがい、楽しさ

芸の道に邁進できる喜び

芸者のほとんどが日本の伝統芸能を担う立場であることに誇りを持っています。

日本舞踊をはじめ、琴や三味線などの鳴物や長唄といった芸事を極めることを目的に精進すること自体がやりがいといえます。

またお客さまの前で演目を披露する時の高揚感や、あらゆる人と関われることも魅力です。

日本独自の各種礼節を熟知していることも現代においては貴重なことであり、着付けや髪結いなどの身支度を素早く行うことができ、和服での姿勢や所作、言葉遣いも美しくなります。

芸者のつらいこと、大変なこと

一人前になるための修行の厳しさ

芸者は一人前になるまでの修行が厳しいことで知られ、見習い期間には慣れない環境で身に付けなければならないことも多く、つらいと感じる人は多いでしょう。

一人前になる前にこの道を諦めてしまう人もいます。

また一人前になった後も芸の道に終わりはないので、不得意な演目は稽古を続けなければいけません。

宴席ではお酌なども大切な仕事であり、多少のお酒はたしなみ、その時々で相手に合わせて気の利いた会話をすることが必要とされます。

芸者に向いている人・適性

日本文化の継承者となれる人

芸者は江戸時代中期から続く日本の伝統的な職業であるため、文化の継承者であるという意識を持っていることが望まれます。

また日本文化の象徴であることから海外でも人気があり、国際交流の懸け橋として語学や海外の文化に興味を持てる人にも適性があるといえます。

宴席ではたくさんのお客さまの前で芸事を披露したり、座敷をまわってお酌をしたりするので、人前に出ることや人と関わることの好きな人が向いているでしょう。

芸者志望動機・目指すきっかけ

女将との面接でしっかりと動機をアピール

芸者の志望動機には、テレビや映画で芸者が踊る姿を観て憧れた、小さい頃から日本舞踊を習っていた、などといったものがあります。

また面接は置屋の管理者である女将と行います。

女将は芸者にとって母親のような存在なので、事前に誠意ある態度でアポイントを取りましょう。

置屋は一人前の芸者になるまで金銭面でもかなりの面倒を見ることになるので、この子は修業期間を乗り越えらえると思ってもらえるように、自分の志望動機をしっかりとアピールしてください。

芸者の雇用形態・働き方

置屋を起点にした働き方

芸者にとって置屋は家、女将さんは母であり、稽古や宴席の会場に行く際にも、まずは置屋に顔を出すのが基本です。

また宴席後もよほどのことがない時は置屋に一度戻ってから帰宅します。

見習いの間は置屋に住み込んで生活することも多いため、芸者にとって文字通りの家であるといえます。

実際に宴席で仕事をする以外には、稽古をして自分の芸を磨くのも重要な仕事の一つであり、ひとり立ちをしたあとも日々稽古を続けていくことになります。

芸者の勤務時間・休日・生活

夜型の生活スタイルとなる

芸者の活躍の場である宴席は夜間に行われるため、生活は夜型になってしまいます。

たとえば夕刻に置屋に出勤し、諸連絡を受け、宴席が行われる場所に出向いて勤務開始、という流れで帰宅は深夜になることがほとんどです。

朝は比較的ゆっくりできますが、日中は稽古を欠かすことができません。

芸の道に生きる以上、稽古は生活の中心といっても過言ではないのです。

また宴席での仕事である以上、普通以上に飲酒の機会があるでしょう。

芸者の求人・就職状況・需要

需要は減り、後継者不足が深刻

現在、最盛期に比べて芸者の需要は減ってきています。

芸者を呼べるお座敷のある料亭が少なくなってきているためで、芸者の数も減少傾向にあり、どの置屋でも後継者の確保に奔走しています。

ですが裏を返すと、志願すれば目指しやすい職業になってきたともいえるでしょう。

入りたい置屋があれば直接問い合わせをして面接の機会を得るのが王道ですが、最近では置屋の求人情報もWeb上で閲覧することが可能になり、ハローワークに求人が出ていることもあります。

芸者の転職状況・未経験採用

年齢制限に気を付けることが必要

芸者への転身を考える際に、一番気を付けたいのが年齢制限です。

かつては中学卒業と同時に置屋へ入門し、見習い期間を経て、成人した時に一人前の芸者として認められるのが一般的でした。

芸者になるには学歴、経験は不問であることがほとんどで、現在は後継者不足もあるため対象年齢を引き上げている置屋もありますが、25歳を超えると経験がない限り選択肢は狭まります。

また芸者は結婚したら引退しなくてはいけないともいわれています。

なるべく早い段階で芸者の道を志した方が良いでしょう。

芸者の現状と将来性・今後の見通し

これからも、多くの人に必要とされ続ける存在

かつての最盛期には各花街に数百人、数千人単位の芸者がいましたが、現在全国にいる芸者の数は五百数十名と、年々その数は減少しています。

一方で活躍の場は多様化しており、料亭の宴席以外でも各種のイベントで着付けやメイク、伝統芸能といった技能指導の講師を務める機会も増えています。

また海外で開催されるイベントで芸事を披露したり、観光に訪れた外国人をもてなしたりするなど、語学力も必要とされるようになってきました。

芸者は今後も需要がまったくなくなることは考えにくく、時代に合わせて多くの人に必要とされる存在であり続けるでしょう。