芸者には日本の伝統芸能の実行者としての誇りと苦悩がある

投稿者プロフィール

芸者(東京) えんかいなさん

20代後半(就労時) 女性経験:3年10ヶ月 東京都

退職済み / 業務委託

投稿者の仕事満足度

総合満足度
3.50
仕事内容
4.00
やりがい
3.50
働きやすさ
2.50
給料・年収
3.00
休日・待遇
3.00
成長・将来性
1.00
メッセージ

「日本の伝統芸能」「文化の継承者」と言えば聞こえはいいですが、つまるところは水商売であり最終的には人気商売です。

どんなに美貌や芸の才能を持っていても、「花柳界」という村社会で生きるには、心持ちや周りへの気遣い、目上の人に好かれることの方が大切です。

この世界の水に合う人になってこそ一人前です。

閉鎖的に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、普通の資本主義の社会とは真逆の世界なので、そこにどっぷり浸かれる覚悟と環境さえあれば生き残っていけることと思います。

とはいえ、頑張って一本立ちすることが出来れば、今まで見ることのできなかった世界をみることのできる、貴重な職業でもあります。

すべてはあなたの心次第です。

仕事内容

東京のとある花街に所属していました。

まずは「見習いさん」(京都でいう“仕込みさん”)として修行に入り、半年~一年程で一本立ち。

以後は「立方(たちかた 基本的に踊りを担う芸者のこと)」の芸者として、活躍させていただきました。

人によっては三味線が出来る人は「地方(じかた 三味線担当の芸者)」になる人もいますが、最近は地方も人数が少なく街によって兼任したりなどされているようです。

なるには

コネが無い場合は、新人を募集している置屋のHPや電話番号に問い合わせ、面談。

資格などは特に必要ありませんが、年齢や見た目が問われます。

最近は大卒の芸者・芸妓も増えていますが、親御さんの期待を裏切ってでも入ったという覚悟は必要です。

年齢は、最高でも25歳くらいまでが限界ですが、中には35歳ではいった人、50代に入ってから入ったお姐さんも知っています。

その場合、ある程度の品格や社会人経験、日本文化への理解度、伝統芸能の経験が問われます。

やりがい

「芸者」でなければ行けなかった場所、会えなかった人、できなかった経験をさせていただけたこと。

特別な場所に連れて行っていただけたり、世界のVIPとお会いする機会は、普通のOLになってしまえば絶対に出来なかった経験だと思います。

また、本当ならまだまだ人様にお見せできる芸やおもてなしが身についていないのに、新人の若い芸者としてたくさんの方に可愛がられ成長を期待されたのは本当に貴重な経験でした。

「やめないでね」「がんばってね」とお声がけ頂いた方々のお顔は、辞めた今でもよく思い返されます。

また内輪の者にしか触れられないようなディープな日本文化の当事者になれたことも、人生において大きな財産となりました。

つらいこと

日本の前時代的な人間社会に慣れない人は、かなり厳しいと思います。

特に新人で若い頃は、何を言われても笑顔で文句をいう事は絶対に許されません。

知っていることも知らないと言って、可愛がってもらわなくてはなりません。

あなたの個性は基本いっさい必要とされません。

とても厳しいお姑さんのいる家に嫁に入るイメージです。

気に入っていただければとんとん拍子に出世できるでしょうが、そうなれない方が9割で、そのなかで試行錯誤しながら毎日頑張っているのが現状です。

お客様もたいていの方が目上の方なので、価値観が違って話がかみ合わず接客が出来ないと悩む若い芸舞妓は多いです。

新聞や本を読んで勉強する必要があります。セクハラもありました。

街によっては同じ置屋の者は住み込みで寝起きを共にするところもあります。

上の人に追従していく姿勢がないと、かなり厳しいです。

またお酒が飲めない方は、うまいこと逃げる努力が必要です。

私は飲めないので体調的にかなりつらいところはありました。

飲めるお姐さんでも、帰宅後トイレに立てこもることは日常茶飯事です。

向いてる人

いい意味で鈍感な人。

心が疲れることなく人間関係に気を配れる器用な人。

容姿端麗な人。

伝統芸能の経験がある人。

人間関係で食べていくようなものなので、人間関係でストレスを感じがちな人がなるにはかなり厳しいです。

そのようにしてほとんどの方が一本立ちする前に辞めていかれます。

また、美貌や三味線などの経験があれば、ゲームのチート能力ではありませんが、かなり待遇は違ってくるでしょう。

志望理由

芸者さんは、美しく気配りが出来て頭が良くて、女性として最高の在り方だと思って、自分もそんな風になりたいと思ったから。

当時24歳で年齢としても未経験ではぎりぎりの年だったので、最後のチャンスだと思って飛び込みました。

働きやすさ

所属する置屋(芸者の事務所)との相性によって異なってくるかと思います。

置屋は株式会社化していないところも多く、中にはかなりずさんなマネジメント体制だったり、枕営業を強制してくる置屋もあります。

もしできるなら比較的名の通ったところで、体験をさせていただけたり知り合いのつてを頼って紹介していただく方が良いと思います。

給料・年収

京都、新橋などの副業禁止の街でしたら、入るお金・出ていくお金両方が高額なので、普通のOLよりも稼ぐことは出来るかと思います。

しかし出ていくお金(稽古代、着物代、化粧代など)も多いので、単に0が増えただけで実質手元に残るものは普通のOLより少し多いくらいかもしれません。

ちなみに京都の舞妓さんや半玉さんは基本住み込みでお世話になるので生活費は0円です。

副業OK(副業しないと仕事が十分に供給されない街)だと、恐らく見積もっても月に10万円前後(年収100万円超えるかどうかくらい)が良いところだと思います。

あとはご祝儀の占める割合も大きいです。またシーズンにもよってきますので桜、花火、年末年始は忙しくなります。

世間体では「旦那(パトロン)」文化は根絶えたと言われていますが、実際は健在です。

イメージとしてはパパ活と結婚の間という感じです。

ただし、やはり今の日本経済や現代の男女・夫婦関係の常識を鑑みると、旦那を持てるようになるにはかなり頑張らなくてはなりません。

旦那が持てるようになれば定期的にお座敷に呼んでいただけることはもちろん、旦那によって生活代を全部出していただけたり、稽古代や名取襲名披露にかかるお金を工面していただけるようになるので、かなり待遇が違ってきます。

なので収入としては「普段のお座敷への出勤分+旦那からの副収入」という感じです。

なので未だに芸者一本で食べていくには、はっきり申し上げると旦那ありきといってよいでしょう。

特に京都なんかは、それがいや(一人の男性に私生活共に束縛されることになるので)で舞妓でやめる、芸妓になっても途中でやめる方が多いようです。

休日・待遇

いわゆるフリーランスですので決まっていません。

京都の舞妓さんは月に二日、というのが有名ですね。

その休みも仕事が入ればもちろん断るわけにはいきません。

私の場合は、副業のアルバイトもしないと食べていけなかったので、だいたい月に4~8日ぐらいのお休みをいただいていました。

若いから出来ていたことですが、結構体としてはつらかったです。

お休みを入れていてもそこにお座敷が入れば出勤になるので、自分でスケジュール・体調管理が出来ないといけません。

またどの街も、基本的に年末年始とお盆はお休みに入ります。お客様側も家族サービスに入られる方が多いのもあるでしょう。

就職・転職

熱意も大切ですが、置屋との相性や人間関係の調整能力があるか、またその子がいかに水商売の世界で生きていくことが出来るか、健康であるかなどの適性を判断されると思います。

そこがなければ入れたとしても続きません。

恋愛・結婚

恋愛自体はどの街も自由ですが、特に年少の舞妓・半玉には、小さい町である京都にいてもほとんどその機会がないと言っていいでしょう。

実際地元に彼氏がいる舞妓さんはいるようです。

京都など格式の高いところは、結婚したら必ず辞めなくてはいけません。

その他の街でも、基本は寿退社が一般的ですが、昔の習慣のままだとどうしても人手不足になってしまうので、最近はゆるくなっているところが多いです。

地方の花街だとママさん芸者もいるようです。

私の置屋は、既婚で入ることは出来ませんが、入った後結婚するなら場合によっては芸者業の継続も許可しているようです。

なので時代の流れと共に変わってきているところはあるようです。

しかしその場合相手方の家族や結婚相手に、男性相手の商売であることは承知してもらわなくてはなりませんので、相手を選ぶことになると思います。

だいたい既婚で続けられているお姐さんは、お座敷で知り合った方と結婚していたり、鳴り物や日舞の師匠・名取さんなど、広義的な同業者と結婚していることがほとんどです。

また昔からの悪い慣習として、芸者は結婚をしてはいけないが子どもは産むことは自由というものがあります。

すなわち妾としての旦那(パトロン)の子どもか、または置屋の女将なら将来置屋を継ぐ女の子を産むための未婚の出産しか道はないということです。

実際に今活躍されている方でも花街生まれ花街育ちの方はいらっしゃいます。

今でこそ少なくなりましたが、これにこだわる年配のお姐さんがいらっしゃるのも事実です。

成長・将来性

将来的に完全に無くなることはないと思われますが、規模が小さくなっていくことは間違いないでしょう。

特にコロナ禍に入り、京都のように支援のない東京はたくさんの芸者衆が辞めていきました。

日本としても伝統芸能を守ろうという前向きな姿勢がないので、本当にやりたいのなら自助努力でしかないなと思います。

若い人を育てることも大事だとは言われていますが、はっきり申し上げますと、最終的に「本当にデキル人」だけ残って行けばいい世界なので、コネがある人や昔から伝統芸能をやっていた方に比べれば、中途で入った者には厳しい現実が待っています。

それでもやり抜くかはあなたの心意気次第です。

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