税理士の働き方の種類とその特徴

税理士の雇用形態

税理士は、その難易度から資格を取得できる人が限られており、また税理士にしか行えない独占業務が法律で定められているため、働き方としては非常に独立する人が多い職業といえます。

税理士会の取りまとめた統計をみても、資格保有者の7割以上が開業しており、企業などの組織に勤めている税理士は少数派です。

しかし、個人の考え方や生活事情はさまざまですので、正社員として勤務したほうが望んだ働き方ができる場合や、出産や育児などの都合で、派遣社員、パート・アルバイトのほうが働きやすいケースもあります。

非常に専門性の高い職業ではありますが、ほかの職業と同じように、税理士も多様な働き方が可能です。

以下では、それぞれの働き方の特徴や待遇などについてご紹介します。

正社員の税理士

正社員の特徴

税理士試験は、通常、合格までに数年間という長い期間を必要とする難関ですので、正社員として就職する場合であっても、入社時点で試験に合格していることが必須というわけでありません。

このため、熱意次第では、多くの人に正社員として働くチャンスがあるでしょう。

ただ、ほかの雇用形態と比較すると、身分としては安定しており、給料や福利厚生面も手厚い一方で、勤務時間も業務量も多くなり、背負うべき責任も重いことが特徴といえます。

資格未取得の場合、働きながら試験勉強に励むことになりますが、フルタイムで働きつつ試験対策もこなすのは、並大抵の苦労ではないでしょう。

学習の進捗状況によっては、できる限り資格取得の支援体制が充実している就職先を選んだほうがよいかもしれません。

資格取得を優先させるために、派遣社員などを選択する人も見受けられますので、たとえ雇用形態として安定しているとしても、正社員という選択肢がベストでない可能性もあります。

正社員の待遇

企業に正社員として勤める場合の税理士は、勤務先や勤続年数によって差があるものの、平均年収は700万円前後とされています。

資格が未取得の場合、そこまでの高給は期待できませんが、税理士資格を得られた時点で月額5万円前後の資格手当が加算され、大きく昇給するケースが一般的です。

なお、税理士事務所は比較的規模の小さいところが多いため、より安定した環境で働きたいのなら、メーカーなどの大手一般企業に就職し、経理部や財務部で資格を生かすという選択肢もあります。

派遣社員の税理士

派遣社員の特徴

ある程度契約期間を区切って、派遣社員として税理士が募集されるケースも珍しくありません。

派遣社員として働くには、税理士や公認会計士の派遣を専門的に取り扱っている人材派遣サービス会社に登録する方法が代表的です。

税理士資格を保有していなくても、試験のうち一部科目に合格していれば、派遣社員として登録できる場合もあります。

派遣先としては、時期によって業務量の上下する一般企業が多く、とくに決算期前後の企業や上場を準備している企業は、派遣税理士の需要が高まります。

正社員と比較すると、残業時間などがない分、業務後の資格勉強に充てられる時間が長いことが特徴ですので、目先の収入よりも資格取得を優先するなら、派遣社員という働き方は有効といえます。

派遣社員の待遇

派遣社員の場合、給与は月給制よりも時給制のほうが多いといえますが、一般的な事務職の派遣社員と比較すると、専門知識を必要とする分、かなり高時給です。

ほとんど未経験の場合でも時給1500円前後、ある程度の経理経験や税務知識があれば時給3000円~5000円となることも珍しくなく、なかには時給10000円を超えている人もいるようです。

働きながら資格を取りたい人や、そこまでの高収入はいらないから自分のペースで働きたいという人、独立するための準備にまとまった時間が必要な人などにとって、派遣税理士という働き方はかなり魅力的といえます。

アルバイト・パートの税理士

アルバイト・パートの特徴

税理士事務所や会計事務所などでは、税理士をサポートする補助スタッフとしてアルバイトやパートの求人が募集されていることもよくあります。

基本的には、会計ソフトを用いた仕訳の入力作業や税務申告書類のチェック作業など、事務作業をおもに手掛けることになりますので、そこまで詳しい税務知識やスキルなどは必要ありません。

税理士資格も求められないことが一般的ですが、経理経験があったり、簿記2級、3級の資格を持っていることが望ましいでしょう。

アルバイト・パートの待遇

待遇は勤務先や個人のスキルによって若干の幅がありますが、おおむね時給1000円~2000円前後と、一般的なアルバイトよりやや高い程度で、そこまで高単価というわけではないようです。

事務所によっては、将来的に税理士・公認会計士を目指している学生に対し、インターンシップ形式でアルバイト採用を実施しているところもあります。

実務経験を積みつつ給料がもらえるうえ、実際の税理士の働きぶりを間近で見られるというメリットもありますので、学生の間にアルバイトとして税理士事務所で働いておくことも非常に有効といえます。

フリーランスの税理士

フリーランスの特徴

独立開業する税理士の最大の特徴は、働き方を自分で自由に選べるということです。

納税者や法人企業は全国いたるところに点在していますので、税理士は都市部でも地方でも仕事を見つけることが可能です。

また、手掛ける仕事内容も自分次第で、中小企業を主要顧客として、決算整理などをおもに取り扱う人もいれば、個人顧客を相手に相続や資産運用の相談に乗る人もいます。

さらに、事業形態もさまざまで、個人でフリーランスとして働く人もいれば、法人を組織して手広く事業展開する経営者もいます。

フリーランスの待遇

働き方が自由である以上、収入面も人によって大きく差があり、年収3000万円を超えている人もいれば、サラリーマンの平均年収程度かそれ以下という人もいます。

ただ、年収1000万円を超えている人も珍しくなく、独立には相応のリスクが伴う分、勤務時よりも高収入を期待できるといえそうです。

しかし、誰もがお金を求めて独立するわけではなく、仕事のやりがい、私生活とのバランスなど、働き方に何を求めるかは人それぞれです。

副業・在宅の税理士

電子申告に代表されるように、近年は税理士業界においてもIT化が進展しており、インターネットを利用して在宅でできる税理士の仕事も増えています。

副業程度に収入を得る手段として最も一般的なのは、クラウドソーシングを用いて会計や給与計算、記帳代行など一部の業務を受注する方法です。

発注する税理士事務所・会計事務所側からしても、繁忙期と閑散期に分かれやすい税理士の仕事は、人件費を減らすために外部委託するメリットが大きいといえます。

また、一部の税理士事務所では、スタッフに対し在宅勤務(テレワーク)を認めているところもあり、今後さらに通信技術などが進化すれば、より多くの税理士が在宅で勤務する時代になるかもしれません。