税理士と公認会計士の違い
ただし、この2つの職業には、細かな点でさまざまな違いもあります。
この記事では、税理士と公認会計士の仕事内容や役割、資格取得方法、活躍の場などの違いについて詳しく紹介します。
税理士と公認会計士の仕事内容の違い
税理士も公認会計士も、会計や税務に関するプロフェッショナルであり、国家資格を必要とするという点は共通していますが、それぞれの役割は明確に異なっています。
税理士は、主に税務署に提出する書類を作成したり、納税者に代わって税務申告を行ったりする一方、公認会計士は、企業の会計処理が適切になされているかを監査する役割を担います。
このため、税理士が幅広い顧客を対象とし、主として中小企業や個人事業者を担当するのに対し、公認会計士の対象顧客は、監査業務を必要とする上場企業などの大規模な法人がほとんどです。
業務目的の違いが、そのまま対象顧客の違いに直結しているといえます。
ただし、公認会計士の資格保有者は、税理士会に登録するだけで、税理士としても働くことができます。
近年は、公認会計士の増加によって就職難に陥っている人もおり、税理士事務所で活躍する公認会計士も散見されます。
ただ、こうした制度は日本独自のものであり、今後は税理士と公認会計士の業務範囲が明確に区分される可能性もあります。
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税理士と公認会計士のなる方法・資格の違い
税理士になるには、税理士試験を受けて合格した後に、2年間の実務経験を経て資格取得する道が一般的です。
しかし、税務署などで23年以上働いた後で所定の研修を受ける、弁護士や公認会計士の資格を取得するという方法でも税理士資格を取得することが可能で、多様なルートが存在しています。
これに対し、公認会計士になるには公認会計士試験を受ける以外のルートはありません。
筆記試験をパスした後に2年間の現場経験を積み、修了考査と呼ばれる最終試験に合格すると、公認会計士の資格が得られます。
また、税理士試験を受けるには、大卒などの学歴、または一定年数の職歴などが必要になる一方、公認会計士試験には学歴などの要件は一切なく、誰でも受験することが可能です。
公認会計士のほうが制度がシンプルで、より実力重視の傾向が強いといえるでしょう。
税理士と公認会計士の資格の難易度の違い
税理士試験も公認会計士試験も、合格率は10%前後という狭き門です。
ただ、実際の試験自体の難易度については、公認会計士業務のなかに税理士業務があるという関係上、公認会計士のほうが難しいとされています。
また、税理士試験は全11科目のうち5科目に合格することが必要ですが、5科目すべてを同時に合格しなくてもよく、何年かに分けて受験することも可能です。
これに対して、公認会計士は同一年度中に短答式4科目、論文式6科目すべてに合格しなければなりません。
こうした試験制度の違いも、税理士より公認会計士のほうが難易度が高いとされる要因になっています。
しかし、あくまで公認会計士と比べると税理士のほうがやさしいというだけで、税理士試験も非常に難関であることに変わりはなく、合格までには数年間、長い人だと10年以上かかる場合もあります。
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税理士と公認会計士の学校・学費の違い
税理士になるのための学校としては、民間の専門学校・スクールや、会計関係の大学・大学院などが挙げられます。
とくに大学や大学院で税法や会計学についての学位を取得すると、試験科目のうちの一部が免除されるというメリットがあるため、非常に有効な選択肢といえます。
公認会計士を目指す人の進路としては、大学の経済学部や商学部などが一般的ですが、難関試験であるため、昼は大学、夜は民間の予備校に通うという「ダブルスクール」で勉強している人も大勢います。
学費については、さまざまな進路があるため一概にはいえませんが、民間予備校を例に取って比較すると、税理士がおよそ40万円~70万円、公認会計士がおよそ60万円~200万円とされています。
なお、公認会計士試験には受験資格がありませんが、税理士試験を受けるためには、大学や短大で社会科学に属する科目を履修するなどの条件を満たす必要があります。
税理士と公認会計士の給料・待遇の違い
企業や事務所などに勤務する場合、税理士の平均年収は700万円前後、公認会計士の平均年収は800万円前後とされており、資格取得難易度にあわせ、公認会計士のほうが高給を得やすいようです。
また、一般的に公認会計士のほうが、大手監査法人BIG4に代表されるような大企業に就職するケースが多いため、給与も待遇も手厚くなる傾向にあります。
ただ、どちらの職業についても、個人の実力による収入差が大きく、昇進したりコンサルティングスキルを高めることによって、年収1000万円以上を手にしている人も大勢います。
独立している場合は、さらに個々の差がつきやすく、開業税理士については、年収3000万円を超えている人がいる一方、年収300万円未満の人も珍しくなく、営業力などによってはっきりと明暗が分かれています。
公認会計士も同様に、会計事務所を経営している人の年収は1000万円~3000万円前後がひとつの目安とされていますが、クライアントの獲得力などによって実際の収入は差がつきやすいでしょう。
税理士と公認会計士はどっちがおすすめ?
公認会計士の資格保有者は、税理士会に登録することで税理士としても働くことができる一方、税理士の資格保有者は、公認会計士として働くことはできません。
このため、公認会計士のほうがつぶしが効くといえるかもしれませんが、両者の業務目的がはっきりと異なっている以上、自身の希望するキャリアに応じて目指す道を選ぶことが望ましいといえます。
おおまかにいえば、中小企業や個人を担当し、顧客と二人三脚で事業運営のサポートに携わっていきたい人は、税理士のほうが向いているでしょう。
大企業を担当して、国際案件やM&Aなどの専門的業務を手掛けたい人や、金額的に大きなプロジェクトを行ってビジネスシーンの最前線で活躍したい人などは、公認会計士のほうが向いているかもしれません。
いずれの職業を目指すにしても、資格取得のためには長期間にわたる努力が不可欠ですので、明確な動機をもって、勉強するモチベーションを保ち続けることが大切です。
「税理士と公認会計士の違い」まとめ
税理士と公認会計士は、どちらも難関資格を持って活躍する税務や会計のプロフェッショナルです。
しかしながら、両者は対象顧客や仕事内容、役割などが大きく異なるため、一概にどちらが良い・悪いを言うことはできません。
なお、より難しいとされている公認会計士の資格取得者は、税理士会に登録することで、税理士としても働くことが可能です。
仕事内容などをよく考えたうえで、どの職業を目指すかを決めていきましょう。