特別支援学校教諭になるには 免許取得方法とは? 資格なしでも働ける?
ただし、特別支援学校ならではの資格や免許状があり、一般の学校教諭になるための道のりとは違う点もあります。
この記事では、特別支援学校教諭になるための道のりや、免許の取得方法などをご紹介します。
特別支援学校教諭になるまでの道のり
まずは、特別支援学校教諭になるまでの道のりを紹介します。
教員免許状を取得し教員採用試験を受ける
特別支援学校の教諭になるには、小学校・中学校・高等学校または幼稚園の教諭の免許状が必要です。
それに加えて、特別支援学校教諭の免許状を取得することが原則となっています。
大学等で必要な免許状を取得したら、公立学校での勤務を希望する場合は、各自治体の教育委員会が実施する教員採用試験を受けます。
一方、私立学校での勤務を希望する場合は、学校法人等が実施する採用試験を受け、採用されることで、特別支援学校教諭として働けます。
特別支援学校教諭の免許状取得について
特別支援学校教諭の免許状の取得については「原則」です。
現状では、小学校・中学校・高等学校または幼稚園の教諭の免許状があれば、特別支援学校の相当する部の教諭になることができると認められています。
そのため、自治体によっては特別支援学校教諭免許状がなくても特別支援学校教諭の試験を受けることができたり、最初は普通学校で勤務し、その後、特別支援学校に異動したりすることもあります。
しかし、特別支援学校教諭には、障害のある幼児・児童・生徒の自立と社会参加に向けた指導や支援方法の深い理解が求められます。
そのため、特別支援学校教諭の免許状を取得しておくに越したことはありませんし、取得すると採用時にも有利になることが多いです。
自治体によっては、特別支援学校教諭の免許状を持たずに採用された場合、採用後の一定期間中に免許状取得を義務付けているところもあります。
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特別支援学校教諭の資格・難易度
特別支援学校関係の資格には以下の3つがあり、さらに、それぞれに対して領域や教科が分かれています。
特別支援学校で働きたいと考えている場合は、特別な事情がない限り「特別支援学校教諭免許状」の取得を目指すことをおすすめします。
特別支援学校教諭免許状を取得するには、まず基礎免許状(幼稚園、小学校、中学校又は高等学校いずれかの教諭免許状)を取得します。
それに加え、特別支援教育に関する必要な単位を修得して学校を卒業し、学位を有する必要があります。
通常の学校教員を目指す場合のように、教育等に関する勉強をし、教育実習も行って免許状を取得します。
全国で特別支援学校教諭の免許状を取得できる大学・短大はそこまで多くありませんが、特別支援学校での勤務を目指すのであれば、学生時代に取得しておくと有利になるでしょう。
→参考:文部科学省 令和5年4月1日現在の教員免許状を取得できる大学
特別支援学校教諭免許状は、以下の5つがあり、各障害種別の領域ごとに交付されます。
- 視覚障害
- 聴覚障害
- 知的障害
- 肢体不自由
- 病弱
総合支援学校のように障害種別をとくに定めていない学校が存在したり、子どもの障害が重度重複化・多様化したりしている現状からも、複数の領域で免状を取得しておくことをおすすめします。
なお、大学等で特別支援学校教諭免許状を取得しなかった場合でも、他校種で採用され一定の経験年数と所定単位を修得することで、特別支援学校教諭免許状を取得することができます。
特別支援学校教諭免許状を持っていると、採用試験で他校種を受験する時に加点される自治体もあるため、取得しておいて損はない資格といえます。
特別支援学校教諭になるための学校の種類
特別支援学校教諭免許状を取得するための学校について紹介します。
特別支援学校教諭免許状は障害種ごとに定められているため、自分が取得したい領域の免許状に対応する勉強ができる学校を選ぶ必要があります。
通学課程
一種免許状(大卒程度)
一種免許状の取得を目指せる大学は、各都道府県で最低1か所はあります。
肢体不自由・知的障害・病弱領域を取得できる学校が比較的多くなっており、聴覚障害と視覚障害の領域を取得できる大学は限られています。
なかには1領域のみを開講している学校もあるため、受験を検討する前によく確認する必要があります。
二種免許状(短大卒程度)
二種免許状の取得を目指せる短大は、全国で2校のみです(2023年4月現在)。
2校とも、肢体不自由・知的障害・病弱の領域を開講しています。現段階では、通信課程で視覚障害、聴覚障害に関する領域は取得できません。
専修免許状(大学院卒程度)
一種免許状を基礎とし、大学院で所定の単位を修得し、修士の学位を修めることによって専修免許状が取得できます。
より専門性を磨きたい場合、大学院まで進んで専修免許状を取得する人もいます。
通信課程
数は多くありませんが、特別支援学校教諭免許状取得を目指せる大学のうち、通信課程を開講している学校もあります。
一種免許状の取得を目指せる学校では肢体不自由・知的障害・病弱の領域が開講されていますが、専修免許状の取得を目指せる学校は知的障害領域のみの開講となっています。
現段階では、通信課程で視覚障害、聴覚障害に関する領域は取得できません。
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特別支援学校教諭に向いている人
特別支援学校教諭は、障害を抱える子どもと向き合うことになるため、一般の教諭とは異なる資質やスキルも求められてきます。
ここでは、特別支援学校教諭に向いている人の特徴を紹介します。
気長に待つことができる
特別支援学校にいる子どもたちは、一般の学校の子どものように、教えたことがすぐに理解できるということはありません。
毎日毎日、同じことを繰り返し指導していきますが、すぐに結果が出ないことも多いです。
そんなときにイライラしたり怒鳴ったりせず、子どもの成長を信じて気長に待てるタイプの人に向いている仕事です。
人の可能性を信じられること
特別支援学校に通う子たちは、さまざまな障害を抱えています。
しかし、どのような子であっても、必ず個性や得意なことを持っているものです。
日ごろから障害を抱える子たちと接する特別支援学校教諭だからこそ、一人ひとりの可能性を誰よりも信じて、その子の良いところをどんどん伸ばしていこうという姿勢が大事になりきます。
子どもに自信をつけさせてあげたいという強い思いを持てる人が、向いているといえます。
人とコミュニケーションをとるのが好き
特別支援学校では、児童・生徒が抱える障害に対して適切な支援や指導ができるようにしなくてはなりません。
保護者はもちろん、医療機関や地域の関連機関などとも連携していく場面が多くあります。
いろいろな立場の人と接することになりますので、老若男女問わず、円滑にコミュニケーションをとっていける人が向いているでしょう。
特別支援学校教諭のキャリアプラン・キャリアパス
特別支援学校教諭は、各自治体で教員採用試験を受けて合格し、採用されることで、実際に特別支援学校で働けるようになります。
そこからは通常学校の新人教員と同様、現場で先輩の先生たちに仕事を教わりながら、自分でもいろいろと学んだり考えたりしていきます。
公立学校の教員の場合、何年かに一度は異動があります。
別の学校に移ることで職場の雰囲気も変わり、また新しく覚えなくてはならないこともありますが、それらを乗り越えて一人前の教員に成長していくことができます。
自分の頑張りによっては、将来的には教頭や校長へステップアップすることも可能です。
なお、特別支援学校教諭は正規採用されて働く人が多くいますが、それ以外にも臨時職員(臨時的任用職員)や非常勤講師として働くこともできます。
非常勤であればフルタイムで働くことが難しくなっても仕事を続けやすいため、なかには結婚・出産後にこの形を選択する人もいます。
特別支援学校教諭を目指せる年齢は?
特別支援学校教諭採用試験は、自治体ごとに行われており、年齢制限などの応募資格もそれぞれで異なります。
全国的に年齢制限が緩和されてきており、年齢制限を設けない(採用時に定年に達していない者が対象)自治体もあります。
ただし、年齢以外にも条件が掲げられている場合があるため、詳しくは受験予定の自治体の募集要項を確認してみるとよいでしょう。
特別支援学校教諭は高卒から目指せる?
特別支援学校教諭は、高卒の人が、そのままなることはできません。
特別支援学校教諭になるには教員免許の取得が不可欠であり、これを取得するためには「学位」を有することが要件になるからです。
特別支援学校教諭を目指す場合は、高校卒業後に大学や短大へ進学し、教員免許を取って教員採用試験の合格を目指す必要があります。
教員の免許状が取れる学校は全国にあり、カリキュラムや学費は各校で違いがあるため、自分に合う学校選びをしてください。
「特別支援学校教諭になるには?」のまとめ
特別支援学校教諭になるには、大学や短大へ進学し、教員免許を取得して採用試験に合格しなくてはなりません。
一般の学校教諭を目指す場合とほぼ同様ですが、資格や試験の区分はさまざまあるため、そういった意味では、より目指しやすい職種といえます。
自分がどのようなルートで特別支援学校教諭を目指すか、ねらいをしっかりと定め、取得したい領域の免許状に対応する勉強ができる学校を選ぶとよいでしょう。