司法書士への転職・未経験採用はある?
司法書士試験は難易度が高いため学生時代に合格できるとは限らず、多くの人がいったんは仕事に就き、働きながら勉強を続けています。
そのため、司法書士試験に合格したときには「転職」という形で仕事を見つける人も少なくありません。
この記事では、司法書士への転職・未経験採用について解説します。
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司法書士の転職状況
司法書士試験は難関であり、合格するためには相当量の時間をかけて法律を学ぶ必要があり、必ずしも学生時代のうちに合格できるとは限りません。
実際の試験合格者をみても、その平均年齢は30代後半であり、社会人経験のない新卒者だけに限らず、なんらかの前職をもった「転職組」である司法書士も決して珍しくないのが実情です。
ほかの職業と比べると、司法書士はやや遅咲きでも活躍することが可能で、資格さえ取得できれば、多少年齢が高くても転職しやすいといえます。
また、司法書士は一般的な会社員よりも実力主義の傾向が強いため、司法書士に転職した後も、よりよい待遇を求めて事務所から別の事務所に移る人も少なくありません。
司法書士の仕事は、組織よりも個人の能力に依る面が大きいため、他業界からの転職・同業界内での転職ともに活発です。
20代で正社員への就職・転職
司法書士の求人状況
司法書士は、資格保有者数が限られるうえに、ある程度のキャリアを積んだ後には事務所を退職して独立する人も少なくありません。
このため、各事務所は定期的にスタッフを補充する必要性がありますので、転職者の採用に積極的な事務所も多数見受けられます。
事務所によっては、就職時点で司法書士資格がなくても「資格を取得したい」という意思さえあれば転職者を歓迎するところもあります。
とくに、法学部出身者や、前職が法律関係の仕事であった人などある程度の法律知識を備えた人については、「司法書士補助者」として、待遇面などより好条件で就職できるチャンスもあります。
就職先の選び方
司法書士事務所は、登記を中心に扱っているところや、裁判業務を中心に扱っているところもあり、大手の司法書士法人などでは両方の業務を取り扱っています。
また、少人数で運営し一連の業務をほとんど一人でこなすところもあれば、複数の有資格者を雇用して明確に役割分担がなされているところもあり、得られる知識やスキルは就職先によって異なります。
転職者は、新卒者よりも司法書士としての実働可能年数が短い分、キャリアの歩み方は非常に重要になるため、自身のキャリアプランを具体的に思い描き、それに合致した就職先を選ぶことが望ましいでしょう。
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求人情報の探し方
司法書士の求人を探す方法としては、
- 各都道府県の司法書士会に問い合わせる
- 事務所のホームページから直接応募する
- ハローワークを利用する
といった方法が挙げられます。
また、資格取得スクールが実施する合同説明会に参加したり、一般的な転職サイトや転職エージェントを利用するといった方法も考えられるでしょう。
なかでも、大手転職エージェントは、司法書士資格保有者向けの求人も多く見られます。
希望にあった求人をまとめて担当者から紹介してもらうことも可能であり、おすすめといえる探し方です。
司法書士への転職の志望動機で多いもの
司法書士へ転職する動機はさまざまですが、学生時代に法律を学んでいた経験があって、法曹業界以外の企業に就職した人が、法律知識を生かせる仕事に就きたいと司法書士を目指すケースが目立ちます。
「弁護士」や「検事」など、司法試験の合格が必要な法曹資格に比べると、ロースクールに通うといった前段階の準備が必要ない司法書士は、働きながらでも資格取得を目指しやすくなっています。
また、企業などに勤めるなかで、組織のルールや人間関係に馴染めなかったり、さらに自由に働きたいという気持ちが強くなった人が、独立開業するために司法書士を目指すケースもあります。
未経験・社会人から司法書士になるには
- 資格の専門学校に通う
- 通信教育を利用する
- 司法書士事務所で事務職として働く
司法書士として働くためには、まず司法書士試験を受けて資格を取得しなければなりません。
資格の専門学校に通ってほぼ一日中勉強する人もいれば、社会人として働きながら通信教育などを利用して夜間や休日に勉強する人もいます。
試験は難関ですので、大学などで法律を勉強したことのない、まったくの未経験者の場合、数年間におよぶ勉強期間が必要かもしれません。
なお、資格取得後に就職する以外にも、司法書士事務所で事務職として働き、実務経験を積みながら試験勉強に励む選択肢もあります。
ただし、資格未取得で就職する場合、事務所によって資格取得を奨励するケースとそうでないケースの双方があるため、事務所の意向などは求人情報や面接などで確認することが必要です。
司法書士への転職に必要な資格・有利な資格
- 必要な資格=司法書士資格
- 有利な資格=行政書士資格・宅地建物取引士資格・ファイナンシャルプランナー資格・税理士資格
司法書士に転職するために司法書士資格は必要ですが、それ以外にも有利となる資格は複数あります。
代表的なのは行政書士資格で、同じ書類作成を得意とする「士業」であり、司法書士業務との関連も深いため、資格を持っていれば非常に有利です。
取得難易度も司法書士ほどではなく、また試験の出題範囲も一部重複していることから、司法書士試験の前に行政書士試験を受けるという選択肢も考えられます。
また、不動産関係の仕事が多い事務所に就職するなら宅地建物取引士資格・債務整理、個人関係の仕事が多い事務所ならファイナンシャルプランナー資格などが役に立つでしょう。
このほか、一気に難易度は高くなりますが、税理士資格を持っていれば、税額計算など複数の「独占業務」を手掛けることが可能であるため、どの事務所からも歓迎されやすいでしょう。
司法書士への転職に役立つ職務経験
司法書士への転職に役立つキャリアとして代表的なのは、弁護士事務所や行政書士事務所など、ほかの士業事務所での職務経験です。
仕事の流れや必要となる法律知識など、重複している部分も多々あるため、そのような事務所で一定年数勤めた経歴があれば、司法書士事務所での仕事もスムーズに進められるでしょう。
また、一般企業に勤めていたサラリーマンの場合は、法務部や総務部などに所属していた職歴があれば、積極的にアピールするべきです。
そのような部署では、顧問弁護士との打ち合わせや商業登記など、法律知識が必要となる業務も多いため、転職時にプラス評価されやすいでしょう。
さらに、不動産会社での営業経験や、銀行などの金融機関で不動産融資を担当した経験があると、土地や建物に関する知識や接客スキルなどが生きるケースもあります。
司法書士への転職面接で気をつけるべきこと
- 実務スキルのレベルを正確に伝える
- 独立を踏まえたキャリアプランを明示する
- 前職の退職理由を準備しておく
実務スキルのレベルを正確に伝える
司法書士の業務は専門性が高いため、どの程度の質・量の業務をこなせるかは、個人差が大きいといえます。
転職者についてはある程度即戦力として見込まれて採用されるケースも少なくありませんので、面接においては、前職での実務経験などを踏まえ、できる限り正しく自身の実務レベルを伝える必要があります。
法律が絡む手続きなどにあまり自信がなくても、過度に偽ることは得策とはいえません。
事務所側の期待と実際の実力が大きく乖離していると、早期離職につながりかねず、お互いにとって不利益しかありません。
資格は取得したけれども実務経験がないという場合は、前職で培った事務処理能力やコミュニケーション能力・接客スキル・協調性などをアピールすることで、実務スキルに代替できるでしょう。
独立を踏まえたキャリアプランを明示する
司法書士は、やがて独立することを前提にした職業であるともいえます。
とくに転職者については、年齢的にそれほど若くないために、そう遠くない将来の独立開業を視野に入れているケースも珍しくありません。
後々のトラブルを避けるためにも転職面接においては、どのような業務に関心があり、中長期的にどのようなキャリアプランを描いているのか明確に面接官に伝え、齟齬をなくしておくことが大切です。
前職の退職理由を準備しておく
転職者の場合、前職を辞めた理由についてはほぼ間違いなく面接で問われることになります。
「仕事がきつかった」「思っていた業務と違った」というようなネガティブな内容でなく、「思い描くキャリアのためにより望ましい環境を選択したかった」というような、前向きな内容にすることを心がけるべきです。
とくに異業種から転職するなら、司法書士を目指すことになった理由まで踏まえて、順序だてて、説得力あるストーリーを語れるよう、しっかりと準備しましょう。
司法書士に転職可能な年齢
未経験から司法書士を目指す場合、ほかの職業と同じように、35歳という年齢がひとつの節目になると考えられます。
実際の求人情報をみても、未経験者については35歳以下を条件とするケースが目立ちます。
このため、30代前半までに司法書士試験に合格することが望ましいのは間違いありませんが、前職の経験やスキルなどによっては、それ以上の年齢でも司法書士になれるチャンスはあります。
実際に、司法書士事務所や法律事務所などで長年働きながら、40代や50代、あるいは60代で資格を取得した人もいます。
年齢的にあまり余裕がない場合は、事務スタッフとして司法書士事務所に就職し、実務経験を積みながら試験勉強に励むほうが、転職が成功する確率は高いかもしれません。
未経験から司法書士に転職する際の志望動機
司法書士は、市民に対する無料相談を実施するなど、暮らしに身近な法律家としての側面も持っています。
このため、相談者や依頼者としての立場で司法書士に接し、その業務内容を知ったことが、未経験から転職を志すきっかけになった人もいます。
また、就職先の代表者が執筆した著作を読んだり、企業理念に賛同したことが動機となるケースもあります。
どんなきっかけから転職を目指すとしても業界研究はもちろん、それぞれの事務所が行っている業務、得意分野などを入念に調べ、志望動機についてはそれらを踏まえた内容にすることが大切です。
司法書士への転職・未経験採用はある? のまとめ
司法書士試験の合格者平均年齢は30代後半であり、社会人経験のない新卒者だけに限らず、なんらかの前職をもった「転職組」である司法書士も決して珍しくはありません。
また、司法書士は実力主義の傾向が強いため、司法書士に転職した後も、よりよい待遇を求めて事務所から別の事務所に移る人います。
転職で司法書士になることも十分に可能といえます。
司法書士の転職面接では、実務スキルのレベルを正確に伝えること、独立を踏まえたキャリアプランを明示すること、前職の退職理由を準備しておくことを意識しましょう。
年齢は35歳がひとつの目安になり、年齢的にあまり余裕がない場合は、事務スタッフとして司法書士事務所に就職し、実務経験を積みながら試験勉強に励むことも視野に入れるとよいでしょう。