生産技術のキャリアプラン・キャリアアップするためには?

生産技術に配属されたら

配属後は工場実習で現場を覚える

メーカーに入社すると、入社後数か月程度は新人教育(新人研修)を受け、ビジネスマナーやその業界の基本的な業務知識を学ぶことになります。

その後、生産技術部門に配属されると、「工場実習」を数か月程度行うのが一般的です。

会社によっては半年以上の長い期間、工場実習となることもあります。

工場実習というのは、工場の生産ラインに立ち、製品の加工や組み立てなどを行い、実際に生産現場がどのようなものかを学ぶ現場研修のようなものです。

期間従業員(期間工)や派遣スタッフなどと一緒に、身体をうごかし、流れ作業のような仕事を続けるため、体力も求められます。

工場実習は、大卒や大学院卒、将来の管理職候補であっても関係なく、新人全員が経験することになり、現場での仕事を経験し、生産とはなにかを学ぶことになります。

ただし、工場実習を実施するメーカーは多いもの、すべての会社で工場実習があるというわけではありません。

OJTで少しずつ成長していく

工場実習がおわったら、生産技術としての業務がスタートしますが、最初から新人ひとりで仕事をすすめるわけではありません。

まずは入社5~6年目程度の年齢の近い先輩社員の下につき、OJT(職場内訓練)を受けながら、仕事を一歩ずつ覚えていくのが一般的です。

最初は小さな生産ラインの担当となり、先輩から雑務的な仕事をまかされるます。

その後、少しずつ設備のテストや設計など専門的な業務と担当し、経験を磨いていくことになります。

なお入社後1~2年の早い段階から、若い新人社員に海外工場を経験させようとするメーカーもあり、海外勤務となることもあります。

新人時代のつらいこと

新人時代には、とにかく覚えることがたくさんあり、勉強の毎日です。

生産技術というのは、機械工学電子工学など理系の知識が求められますが、知識だけあればいいというわけではありません。

実際はそれ以上に現場で覚える実務経験やスキルなどが重要になり、どれほど大学などで専門性を深めていたとしても、配属後も率先して学ぶ意欲がないと技術者としての成長は見込めなくなります。

生産現場には職人気質の上司や先輩も少なくなく、難しい指示をうけることもありますが、ゼロから学ぶつもりで貪欲に取り組んでいく姿勢が求められます。

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生産技術としてスキルアップするには

技術者としてのスキルアップ

生産技術は、やや特殊なポジションでもありますが、技術系の職種であることには違いなく、技術力がものをいう仕事でもあります。

そのため技術者として、設計スキル、生産や加工に関する技術知識、コスト管理スキル、工程管理能力など、さまざまなスキルを高めていく必要があります。

また、既存の技術だけでなく、最新の生産テクノロジーなどの知識を身に付けていくことも重要であり、技術者としてつねに知識をアップデートしていくことも求められます。

仕事を通して身に付けられることも多いですが、それだけでなく、自主的に技術書などをよみスキルアップを図ることも大切になります。

ヒューマンスキルも磨く

生産技術職は、ゆくゆくは主任、係長、課長などの「管理職」に昇進し、部下の生産技術者を管理したり、生産現場の作業スタッフ達を纏め、技術指導などをする立場に置かされることもあります。

そのため、「マネジメントスキル」や「リーダーシップ力」など、上に立つ者としてのヒューマンスキルも磨いてく必要があります。

また大手メーカーなどでは、海外工場に転勤となり、現地スタッフのマネジメントを任される機会も少なくはなく、そうなった時のために英語をはじめとした「語学力」を身に付けておくことも重要になります。

若いうちから濃い経験を積むためには、会社側から指示をうけなくともみずからリーダーポジションや海外勤務に立候補していく姿勢も大切になります。

生産技術のキャリアパス・キャリアアップの考え方

社内でのキャリアパス

生産技術のキャリアは「年功序列」となることが多く、勤続年数や年齢が高くなると、上のポジションに昇進していくのが一般的です。

会社によっても異なることもありますが、キャリアパスの大まかな考え方としては次のようになります。

<生産技術の社内でのキャリアパスイメージ>
・入社1~5年:新人や若手社員として扱われ、担当として業務にあたる
・入社5年~10年:後輩社員の指導役やチームリーダーなど、徐々にマネジメントの経験をつんでいく、ジョブローテーションで他部門に異動することなどもある
・入社10年~20年:主任、係長、課長などの管理職にシフトしていく
・入社20年~:工場長、事業部長、経営陣、社長などその上のポジションを目指せることもある

目安として入社10年目、30代前半~中盤あたりにさしかかると、主任や係長などの管理職に選ばれることが増えてきます。

会社によっては、工場長や事業部長などさらに上の役職に、生産技術出身の社員がつくこともあります。

ただし上にいくほど席は少なくなるため、全員が昇進できるわけではなく、過去の実績、周囲からの期待、技術力やマネジメント力など、さまざまな面の評価が必要になります。

ジョブローテーションについて

「技術系総合職コース」で採用となった社員の場合、製品開発、生産技術、品質管理、製造などのさまざまな技術系職種をジョブローテーションで渡りあるくことも可能です。

たとえば、「入社後は適性や本人の希望をくんで生産技術部門に配属、生産技術部門で数年程度働き、その後はジョブローテーションで製品開発部門に異動する」というキャリアを歩むこともできます。

一般的に大手メーカーの場合、生産技術職としての採用ではなく、技術系総合職としての採用となることが多いです。

なおジョブローテーションは必ず希望通り行えるわけではなく、各部門の人員状況や本人の適性なども考慮した上で決定されます。

転職でのキャリアアップ

生産技術は、技術力や経験がものをいう仕事でもあるため、技術者として十分なキャリアを積めば、より大きなメーカーや外資系メーカーなどに転職し、収入アップを目指すこともできます。

また、業界が異なっても生産技術としての経験やノウハウは流用できる部分もあるため、たとえば「自動車メーカーから電機メーカーの生産技術へ転職」といった形で、これまでとは異なる業界の生産技術職に転職することも不可能ではありません。

その他、生産技術や生産設備のコンサルタント職、アドバイザー職などとして活躍する道もあります。

製造業は業界全体で人手不足が深刻化しており、生産技術においても少子高齢化や若者の理系離れも影響し、働き手は減ってきています。

そのため十分な経験のある人材は歓迎されやすく、売り手有利に転職活動を進めやすい状況です。