旅行代理店社員に必要な資格・スキル
旅行代理店で働くのに必要な資格やスキルは?
資格
旅行代理店に就職する際に、必要とされる資格があるわけではありません。
ただし、旅行代理店の業務に就くうえで「旅行業務取扱管理者」を取得すると、かなり有利になることがあります。
この資格は、各旅行代理店の営業所において必ず一人は持っている必要があるため、取得しておくと就職や転職時にも役立ちます。
また、旅行代理店といっても営業、企画、カウンターセールスなど多様な職種に就いている人がおり、なかでも企画旅行の「添乗(ツアーコンダクター)」業務に就きたい場合は「旅程管理主任者」の資格が必要とされます。
店舗に来店されたお客さまを迎える、いわゆる「カウンターセールス」の仕事であれば、とくに資格が必要とされないケースも多いです。
しかし上記のような資格を取得すれば、手当が付いたり業務の幅が広がったりすることもあるため、余裕が出てきたら挑戦するのもよいでしょう。
語学力
旅行業界で働くうえで一番の強みとなるのは、やはり英語力です。
日常会話、ビジネス会話ができる人であれば、かなりプラスに評価されるようです。
グローバル事業に力を入れる大手旅行代理店では、採用枠のひとつとして、「TOEIC750点以上」といったスコアを求めるところもあります。
なお、最近は中国人観光客も増加していることから、中国語ができる人を求める企業も増えているようです。
おもてなしの心と相手のニーズを捉える力
旅行代理店での仕事は接客業になります。
そこではお客さまのことを思いやり、満足いただくためのホスピタリティ精神が必要とされるほか、お客さまが何を求めているのかしっかりとくみ取る力が欠かせません。
その原点となるのが「人のために何かをしたい」という気持ちです。
最初はそこまでコミュニケーション能力に自信がないという人でも、お客さまのことをよく考えて行動するうちに、次第に身についていくものです。
できれば学生時代から旅行業界でのアルバイトを経験しておくと、この業界で必要とされるホスピタリティとは何かを理解しやすいでしょう。
20代で正社員への就職・転職
旅行業全般に有利な資格
旅行業務取扱管理者
「旅行業務取扱管理者」は、旅行代理店において旅行取引に関する責任者となる場合に必要な、旅行業界で唯一の国家資格です。
旅行業務取扱管理者は、以下の3種類に分けられます。
・国内の旅行業務のみ取り扱える「国内旅行業務取扱管理者」
・国内と海外両方の旅行業務を取り扱える「総合旅行業務取扱管理者」
・営業所の拠点区域内に限定した旅行業務を取り扱える「地域限定旅行業務取扱管理者」
この資格があれば、営業支店の責任者として、旅行取引における「管理・監督」「クレームへの適切な対処」「約款の掲示」などが行えるようになります。
旅行会社や旅行代理店には、営業所ごとに「旅行業務取扱管理者」の資格保有者を必ず1名以上配置することが、旅行業法で義務付けられています。
そのためこの資格を取得しておくと、就職や転職をする際に有利になり、就職後も資格手当がつく場合があります。
資格試験は年に1回行われ、基本的に年齢・学歴等に関係なく、誰でも受験することが可能ですが、難易度は高めです。
インターネット旅行情報士検定
「インターネット旅行情報士検定」は、旅行代理店社員、旅行業界を目指す学生、また旅行好きの一般人を対象とし、インターネットの知識度・活用能力度を判定する検定です。
受験区分は1級と2級に分かれており、インターネットの仕組みを理解し、ネット上の旅行情報を効率的に検索・活用できる能力(1・2 級共通)、さらにネットワーク管理やセキュリティに関する実務能力(1級のみ)を有しているかが問われます。
オンライン試験のため、インターネットに接続できるパソコンがあれば自宅でも受験が可能です。
旅行代理店のカウンターセールスに有利な資格
トラベルコーディネーター(TC)
「トラベルコーディネーター」は、トラベル・カウンセラー制度における技能資格の一つで、旅行販売業務のあらゆる場面に対応できる知識・技能を持った「販売・接客のプロ」を養成・認定する資格です。
養成講座は、旅行商品を販売する知識とスキルを習得する「販売実務」、旅行計画の提案に役立つ地理の知識を習得する「旅行地理」、接客対応のスキルなどを身につける「コミュニケーション・スキル」の3つのプログラムで構成されています。
養成講座と修了試験はオンラインで行われ、試験に合格し、旅行会社等で実務経験1年以上などの要件を満たせば、認定申請ができます。
旅行商品の販売に携わる人や、接客のスキルを磨きたい人には役立つ資格です。
サービス接遇検定
「サービス接遇検定」とは、サービスに対する心構えや顧客心理の理解、応対の技術、言葉遣い、立ち居振る舞いなどを学ぶ、接客マナー系検定です。
公益財団法人実務技能検定協会が試験を実施する民間資格で、年間5万人近くが受験する人気の試験です。
受験資格の制限は一切なく、年齢・性別・学歴・職歴などに関わらず誰でも受験できます。
昨今では、接客・サービス業において、顧客満足やサービスの質が重要視され
ています。
就職・転職時に必須となる資格ではありませんが、この検定を通して身につけたことは、実際にカウンターセールスとして接客をする際に有意義に生かすことができるでしょう。
20代で正社員への就職・転職
旅行代理店のツアーコンダクターに有利な資格
旅程管理主任者
「旅程管理主任者」は、ツアーコンダクターとして仕事をするうえで持っておくべき資格です。
この資格がなければ添乗業務ができないというわけではありませんが、旅行会社が企画するパッケージツアーや団体旅行の添乗業務を行う際は、「旅程管理主任者」の資格保有者が必ず1名以上同行していなければならないと、旅行業法で定められています。
「旅程管理主任者」には、国内旅行のみ添乗できる「国内旅程管理主任者」と、国内に加え海外旅行の添乗も可能な「総合旅程管理主任者」の2種類があります。
資格を取得するためには、観光庁長官の登録を受けた機関による「旅程管理研修」の修了と、一定の添乗実務経験が必要です。
そのため、働きながら資格取得を目指す人が多いです。
観光英語検定
「観光英語検定」とは、観光分野に特化した英語力をはかる試験です。
受験区分は1級から3級までの3段階に分かれており、試験は年に2回実施されています。
出題は空港、交通、ホテル、観光、ショッピング等の実際場面を想定したものが中心で、観光に必須の文化(国内外・異文化)、地理、歴史の知識も問われる実用本位の内容となっています。
一般的な英語の語学検定と異なり、観光の場面に特化した専門用語や実践的な言い回しに根ざしているところが大きな特徴です。
近年、日本の国際化が急速に進行する中で、海外から来日する外国人の数が飛躍的に増えており、旅行業界でも英語が使える人材の需要が高まっています。
将来、旅行業界の仕事に就き、英語を使った仕事を希望している人や自身のスキルをアップさせたい人にとっては取得しておきたい資格です。
旅行代理店のツアープランナ―に有利な資格
旅行地理検定
「旅行地理検定」とは、旅先の地理や観光情報の知識を評価する全国統一試験です。
JTB総合研究所の運営により1995年にスタートしたもので、旅行愛好家や旅行会社への就職を目指す人、旅行・観光業界の人からは「地理検」という愛称で親しまれています。
受験区分は国内・海外それぞれに1級~4級まであり、1級以外はインターネット受験も可能です。
試験勉強を通して世界の有名な観光名所や、観光の見どころなどが学べるため、ツアープランナーとして仕事をする際に役立つでしょう。
エリア・スペシャリスト(AS)
「エリア・スペシャリスト」は、トラベル・カウンセラー制度における技能資格の一つで、特定の国や地域のスペシャリストを養成・認定する資格です。
海外旅行で人気の国や地域を8つのエリアに分け、地理・文化・歴史・自然など海外旅行販売に欠かせない知識を各エリア毎に習得できます。
資格を取得するには、「トラベルコーディネーター」と同様に、オンラインで行われる養成講座を受講し、修了試験合格後、認定申請を行う必要があります。
この資格を取得することで、旅行者のニーズにより的確に対応した旅行企画、また地域に特化した旅行企画ができるようになります。