臨床心理士の需要・現状と将来性
臨床心理士の現状
いじめや不登校、家庭内暴力や児童虐待、うつ病や自殺、事故や災害のトラウマ。
学校、職場、家庭、地域など、さまざまな場所で「心の問題」を抱える人が多いのが現代社会です。
ときとして、そのことが自殺や犯罪に繋がることさえあります。
こうした時代の流れを受けて、だんだんと世間からのニーズが高まっているのが臨床心理士という職業です。
ひと昔前までは病院や児童相談所などの限られた現場しか求人がありませんでしたが、近年は事情が異なります。
学校にスクールカウンセラーを配置したり、職場におけるメンタルケアに力を入れる企業が増えたりしているのです。
きちんと心理学の勉強をし、専門的知識やコミュニケーション能力があれば、幅広い勤務先で働くことができる職業です。
20代で正社員への就職・転職
臨床心理士の需要
活躍のチャンスが増えている反面、臨床心理士の就職状況はあまりよいとはいえないのが実情です。
臨床心理士は心理系の資格のなかで非常に信頼が高い民間資格ですが、社会的地位がきちんと確立されていない面もあります。
正規雇用が少ないので、契約社員やパートという不安定な立場で働かなければならない人も多くいるのです。
非常勤の場合は収入もあまり高くはないので、生活のために複数の職場を掛け持ちしているという人もいます。
その一方で、安定した収入と待遇が期待できる公務員の心理職として働いている臨床心理士もいます。
地方公務員、国家公務員ともに需要はありますが、どちらも採用は非常に狭き門となっています。
就職試験に向けてしっかりと対策を練る必要があります。
臨床心理士の将来性
臨床心理の分野において、近年、大きな変化がありました。
それは2017年9月15日に施行された「公認心理師法」に基づく国家資格「公認心理師」の誕生です。
これによって、長く議論されてきた心理系の国家資格がようやくできあがりました。
その一方、臨床心理士は国家資格となったわけではなく、これまでと同様に民間資格のままです。
臨床心理士でありながら新たに公認心理師の資格を取得し、ダブルで資格を所持する人も少なくありません。
いずれにしても、心理職の存在が世間に広く認知されるきっかけができたことは間違いないでしょう。
これからますます幅広い職場で活躍することが期待されています。
20代で正社員への就職・転職
臨床心理士の今後の活躍の場
人が抱える心の悩みがより複雑なものとなっているのが現代社会。
さまざまな領域において、心の問題に関する専門知識を有する臨床心理士の需要が高まってきています。
最近では産婦人科やレディスクリニックで、不妊治療や妊娠中の不安についてカウンセリングを行う病院もあります。
この先は他の領域においても、徐々に臨床心理士の求人が増えていくかもしれません。
臨床心理士の資格を得るためには時間がかかります。
しかし、きちんと勉強をして資格を持っておけば、その高い専門性を生かして働くことができるでしょう。
実力があればいずれは独立して、自分のカウンセリングルームを開くことも夢ではありません。
臨床心理士は将来の選択肢を増やすことができる資格です。