公務員の職種・種類一覧|仕事内容をわかりやすく紹介
どこでどんな仕事をするにしても、公務員である以上、公共のために働くことが求められます。
この記事では、代表的な公務員の職種・種類をまとめ、それぞれの仕事内容についても紹介します。
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公務員の役割と仕事
まず、公務員とはどのような役割を持つ人を指すのかを説明します。
公務員とはどんな人?
ひとことで「公務員」といっても、その職種や仕事内容、活躍の場は多岐にわたります。
日本全国には300万人を超える公務員がおり、一人ひとりが国や地域のために、さまざまな業務に携わっています。
ここで、そもそも公務員とはどのような存在なのかを確認しておきましょう。
公務員は、「国や地方公共団体などの職員として、広く国民に対し平等に働くこと」を役割としています。
営利を目的とせず、国民が納めている税金を基に活動をし、国民がもっと生活しやすくなるように、地域での暮らしが豊かになるように、さまざまな活動を行います。
国民や社会と密に関わる仕事をする
公務員は国や地方の行政に関わり、国や地域をよりよくするために働きます。
一般の人と関わりが深いところでは市役所の窓口業務もそうですし、子どもの頃に誰もがお世話になった学校の先生、あるいは警察官や消防士のように地域の安全を守る仕事に就く人もいます。
一方、東京・霞が関の中央省庁で働き、国家レベルの大きな仕事をして、日本という国の政策や予算を考えていくような仕事もあります。
ほかにも、裁判に関わる仕事、脱税を取り締まる仕事、ごみ収集をする仕事、また医師や看護師、保育士など専門的な資格を生かして活躍する仕事など、さまざまな領域で活躍する公務員がいます。
公務員の種類
公務員は、「国家公務員」と「地方公務員」に分けることができます。
両者の違いを簡単にいえば、国家公務員が全国規模の業務に携わるのに対し、地方公務員は地域に密着した業務が中心となることです。
人数としては地方公務員のほうが何倍も多くいますが、国家公務員も地方公務員も大事な役割を担っています。
国家公務員とは
令和元年度末予算定員では、日本の国家公務員の数は約58.5万人と発表されています。
国家公務員の最大の特徴は、国の機関に所属し、国全体に関わる仕事をすることです。
国の組織は「三権分立」といわれるように「司法」「立法」「行政」の3つに分かれます。
国家公務員は、それぞれの場において、裁判に関わる仕事、国の政策や予算の決定にあたる仕事、あるいは担当部署における事務的な仕事などを担当します。
国家公務員の職場は、東京・霞が関の中央官庁が中心です。
また、各府省の地方出先機関が日本全国にあるため、霞が関以外で勤務することもあります。
国家公務員の特別職と一般職
国家公務員は、特別職と一般職に分類されます。
それぞれの特徴を紹介します。
特別職
国家公務員の「特別職」とは、内閣総理大臣、国務大臣、裁判官、国会職員、防衛省職員、行政執行法人役員など、政治的任用職や立法・司法の部門で働く人たちです。
そのなかで、特別職の多くを占めているのが自衛官(防衛省職員)です。
国家公務員の特別職には国家公務員法が適用されません。
一般職
特別職にあてはまらない国家公務員は、国家公務員法が適用される「一般職」の職員となります。
ちなみに、採用試験の種類としても「一般職」という言葉が出てきますが、特別職に対する一般職は、試験の種類とは別のものを指します。
地方公務員とは
地方公務員は280万1,596人(令和5年4月1日現在)おり、公務員の多くを占めています。
地方公務員の特徴は、自治体(都道府県・政令指定都市・市町村)ごとに採用され、地方公共団体で働くことです。
都道府県庁・市町村役場の職員ほか、警察や消防の組織で働く地方公務員も大勢います。
仕事内容は多岐にわたります。
たとえば、都道府県庁であれば、各地域における農林水産業の振興、公共施設の建設・管理、高校・博物館・研究所の建設・管理、各種試験・免許・検査などを行っています。
市町村の役場は、都道府県よりもさらに地域密着型の組織となることが特徴です。
都道府県と分業して地域の都市政策や公共施設の管理、環境保全、財政などの業務を手掛けると同時に、住民の声を聞きながら各種窓口サービスにあたります。
地方公務員の特別職と一般職
地方公務員も、特別職と一般職の職員がいます。
特別職
地方公務員の特別職とは、首長(知事、市町村長)、監査委員、議員、各種委員会の委員などとして働く人たちです。
地方公務員の特別職には、地方公務員法が適用されません。
一般職
特別職にあてはまらない地方公務員は、地方公務員法が適用される一般職の職員となります。
公務員の職種
ここからは、公務員の代表的な職種について、国家公務員と地方公務員それぞれに分けて紹介します。
国家公務員の場合
入国警備官
入国警備官は、法務省の外局である出入国在留管理庁の職員で、地方出入国在留管理局・同支局・同出張所、各入国者収容所に勤務します。
不法入国者や在留外国人の調査、摘発、収容した場合の処遇、送還などの業務に携わります。
刑務官
刑務官は、法務省の職員で、刑務所、少年刑務所、拘置所に勤務します。
具体的な仕事内容は施設の運営や警備のほか、刑務所や少年刑務所では受刑者への指導や社会復帰のための手助け、拘置所では拘留中の被疑者や被告人を収容します。
心理職
心理職とは、心理の専門知識を生かした仕事をしている人のことです。
具体的には、「国家総合職(人間科学)」「裁判所職員総合職(家庭裁判所調査官補)」「法務省専門職員(人間科学)」などの試験によって採用され、心理学の専門的な知識を生かして活躍します。
皇宮護衛官
皇宮護衛官とは、天皇や皇族をお護りするとともに、皇居・御所などの警備にあたる職種です。
警察庁の職員で、皇宮警察本部に勤務します。
地方公務員の場合
技術職
技術職は、理工系の知識・技術を生かした仕事に就く職員です。
試験区分は土木・建築・機械・電気電子・化学・農業など細かく分けられており、採用後は各専門分野で活躍することができます。
国家公務員であれば中央省庁(国土交通省、経済産業省、農林水産省など)や地方機関で、地方公務員であれば都道府県庁、市役所、関連施設などで働きます。
福祉職
福祉職は、福祉関連の専門的な知識や資格を持って働く職員です。
都道府県や政令市、特別区など、比較的大きな規模の自治体に所属するケースが多いです。
福祉関係の課で社会福祉や高齢者、子どもなどに関する業務に従事したり、社会福祉施設や児童相談所などで指導員や相談員として活躍したりします。
採用試験の受験にあたっては、「社会福祉主事」をはじめ、場合によっては「社会福祉士」「児童指導員(あるいは教員免許)」「保育士」などの資格が必要となることがあります。
公安職
公安職とは、警察官や消防官など、社会の安全と秩序を守る仕事に就く公務員です。
警察官のほとんどが地方公務員で、都道府県の職員として勤務します。
業務内容はパトロールや犯罪捜査、生活指導、警備、交通の取り締まりなど多岐にわたっており、こうした業務を通じて各都道府県内の地域住民を守ります。
消防官も地方公務員で、市町村(東京都は都全体で1単位)または広域組合等に所属します。
消火・救助・救急活動のほか、防災や予防に関する業務にも携わり、火事や災害から地域の暮らしと人々を守ります。
このほか、検察庁や公安調査庁、海上保安庁などで公安業務に従事する人もいます。
資格免許職
資格免許職とは、特定の資格・免許を取得していること、あるいは取得見込みであることを条件として採用される職員です。
資格免許職の採用試験は、各自治体で実施されています(実施されない場合もあります)。
代表的な職種として、公立学校の教員、医師、歯科医師、獣医師、看護師、薬剤師、保健師、助産師、栄養士、司書などがあります。
このほか、児童福祉施設や身体障害者援護施設などで保育や介護に携わる仕事もあります。
また、国が所有する船や飛行機などの操縦士や整備士として働く人もいます。
公務員試験の種類
公務員試験は、いくつかの区分に分けて実施されています。
国家公務員・地方公務員それぞれの代表的な試験について紹介します。
国家公務員の場合
国家公務員になるための試験は、いくつもの種類のものが実施されています。
三権分立の考え方に基づき、行政・立法・司法それぞれの機関で働く職員は、独自に採用することとなっています。
また、試験の難易度や職務の専門性・特殊性などでも、独自の試験が行われています。
以下では、代表的な公務員試験の種類について紹介します。
国家公務員総合職
行政府で働く職員のうち、政策の企画・立案や高度な知識、技術を必要とされる仕事をする職員を募集する試験です。
「院卒者試験」や「大卒程度試験」があり、いわゆる「キャリア」や「官僚」といわれる人たちは、この総合職試験を受けて国家公務員になっています。
内定先の府省の職員となり、基本的に霞が関で働きますが、省庁によっては2~3年ごとに地方への出向(転勤)もあります。
国家公務員一般職
行政府で働く職員のうち、事務処理などの定型的な業務を担当する職員を募集する試験です。
「大卒程度試験」や「高卒程度試験」があり、採用された管区内の本局または地方事務所での勤務が中心となります。
国家公務員専門職
国家公務員のなかでも、特殊で高度な専門性が求められる仕事に就くための試験です。
大卒程度レベルでは、主に以下の試験が専門職試験として実施されています。
資格免許職
資格免許職の採用試験とは、弁護士、医師、看護師のように、特別な資格・免許を持っていることが応募資格や採用の条件となる試験です。
その他の職員
国家公務員採用試験として、以下のような職種の試験も実施されています。
地方公務員の場合
地方公務員に関しては、都道府県、政令指定都市、市町村がそれぞれに採用試験を実施しています。
国家公務員と同様、試験の種類はたくさんありますが、仕事内容の違いで見た場合は以下のようなものが挙げられます。
行政職(事務職)
主に役所に勤務し、戸籍や健康など、地域住民の生活を支える各種サービスを提供します。
技術系
「土木」「建築」「電気」「機械」「化学」「農業」「農学」などの各区分で採用された職員で、採用後は専門分野に応じた仕事に就きます。
公安系
警察官や消防官など、地域の治安をつかさどる仕事に就くための採用試験です。
警察官の試験は都道府県ごとに、消防官の試験は地域によって東京消防庁や人事委員会、消防局、消防本部といった単位で行われます。
資格免許職
看護師、栄養士、保健師、学芸員、社会福祉士など、特別な資格・免許を持っていることが前提となる仕事に従事するための採用試験です。
公務員試験とは? 種類や難易度を解説
「公務員の職種・仕事内容」まとめ
公務員は、日本全国で300万人ほどがおり、その種類は国家公務員と地方公務員に大別されます。
さまざまな職種の職員がおり、活躍の場や仕事内容も多岐にわたることが特徴です。
公務員を目指す人は、公務員のさまざまな仕事について情報を集め、どのように働きたいのかをよくイメージしておきましょう。