回路設計になるには? 必要な資格は?

回路設計になるまでの道のり

一般的な進路

回路設計の仕事をするには、電子工学電気工学の理解、数学や物理などの理系知識も求められます。

そのため、大学や専門学校に進学して、必要な知識を身につけてから就職するのが一般的です。

以下、中学卒業後の一般的な進路を示します。

<中学卒業からの進路の例>
1、普通高校の理系コースや工業高校の電子科に進学、理系の基礎を学ぶ
2、大学・専門学校・高等専門学校(高専)に進学し、電子工学を専攻
3、より深く学びたい場合は大学院に進学
4、新卒で機械メーカーや部品メーカーの回路設計職に採用される

必ずしもこのような進路を歩まなければならないわけではありませんが、回路設計として働く人の大半は、大学や大学院を卒業しています。

大手就職エージェント「マイナビエージェント」の調査よれば、回路設計職につく人の最終学歴は、大学院35%、大学52%、高専5%、短大0%、専門学校2%、高校6%という結果が出ています。

未経験から目指すルートもある

回路設計の仕事をするうえで、特定の学校を卒業していなければならないという法律の定めはありません。

中小企業や設計事務所などでは「未経験採用」も積極的に行われています。

そのため、大学や専門学校には進まず、高校卒業後に就職する人もいます。

ただし、未経験採用でも「学生時代に電気・電子系を専攻していること」を条件としている求人も目立つため、文系の未経験からの就職は簡単ではありません。

なお、未経験から目指す場合は、職業訓練校の電子回路コースで回路について学んだうえで、就職する方法もあります。

職業訓練校の訓練は無料で受講できるのがメリットです。

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回路設計の資格・難易度

資格は必要か?

たとえば住宅やビルを設計するには建築士免許が必要です。

同じ設計の仕事でも、回路設計の仕事には必須の資格はありません。

現場で働いているプロの設計エンジニアの中にも、資格がなくても活躍している人が大勢います。

資格の意味や価値

資格の勉強を通じて、回路設計における基礎知識・スキルを身につけることができ、回路設計に関して一定の理解があることを相手に示す証にもなります。

自主的に資格を取るというのは関心や熱意の表れともいえ、採用面接ではそれだけ真剣な人物として見てもらえるのもメリットです。

志望動機や自己PRのネタとしても活用できるでしょう。

学生や未経験者であればその恩恵は大きく、仕事につく前の土台固めとして役立つます。

おすすめの資格

回路設計の分野でおすすめの資格としては、主に次のようなものがあります。

<回路設計におすすめの資格>
・CAD利用技術者試験:民間資格、難易度 易しい
・ディジタル技術検定:公的資格、難易度 易しい
・EMC設計技術者資格:民間資格、難易度 やや難しい
・情報処理技術者試験:国家資格、民間資格、難易度 やや難しい

「CAD利用技術者試験」は、コンピュータ上で設計図を描くのに用いるCAD(Computer-Aided-Design)ツールの知識や技量を問う試験です。

現在はCADを使っての設計が当たり前で、難易度も高くありません。

そのため、学生や、回路設計職は未経験で受験する人もいます。

参考:CAD利用技術者試験

「ディジタル技術検定」は、電子回路の技術的な知識を問う資格試験で、1級の難易度は高めですが、2級~4級であれば独学でも挑戦できます。

参考:公益財団法人 ディジタル技術検定

「EMC設計技術者資格」は、電気機器や電子回路、プリント基板を設計する技術者向けの資格です。

受験条件として「学士以上または本分野実務経験5年以上(学生時受験可、卒業後登録)」の制限があるため受験のハードルは高めです。

大学で電子工学を専攻している学生などでないと合格は難しいでしょう。

参考:KEC関西電子工業振興センター EMC設計技術者資格

「情報処理技術者試験」は少々ジャンルが異なり、回路・機械分野の資格というよりも、IT・ソフトウェア分野の資格となります。

最近の電子機器にはIT関連の技術もたくさん盛り込まれているので、「情報処理技術者試験」を通じてIT技術を学ぶことにより、エンジニアとしての可能性が広がるでしょう。

参考:情報処理推進機構 情報処理技術者試験

回路設計になるための学校の種類

学校の種類

回路設計を目指すために進学する学校には主に4タイプがあります。

「大学」「専門学校」「高等専門学校(高専)」「職業訓練校」です。

<学校別の特徴>
大学:電子工学や物理学などの専門知識を、「学問」としてアカデミックに追求できる
専門学校:大学に比べ実習形式の授業が多く、実務的なスキルを身につけやすい
高等専門学校(高専):中学卒業後、5年間の一貫教育で、4年制大学卒業とほぼ同等の知識を学べる
職業訓練校:国や各自治体が用意する就職支援のための教育施設、就職に必要となる技能を「無料」で学べる
なお、回路設計として働く人の多くは、大学または大学院を卒業しています。

学費の違い

それぞれの学校に通った場合の学費の目安は次のようになります。

<学費の目安(年間)>
・大学:国公立大学は約53万円、私立大学は約130万円~160万円
・専門学校:約100万円~110万円
・高等専門学校(高専):約23万円
・職業訓練校:受講料は基本的に無料(テキスト代などは発生)

私立大学の理工学部は、文系学部よりも学費が一回り高く、約130万円~160万円の学費が発生する学校が多めです。

たとえば、都内の有名私立大学の理工学部・電気電子工学科に通うと、年間約160万円の学費が発生します。

一方で国公立大学の理工学部や高等専門学校(高専)の学費は、私立大学に比べ大幅に安くなります。

職業訓練校の学費は無料です。

職業訓練校の訓練を受けると「失業手当の延長」や「受講手当の支給(10万円/月)」の支援を受けることもできます。

ただし職業訓練校を利用できるのは、基本的に現在離職中で仕事を探している人に限定されます。

有利な学部・学科

回路設計で必要とされるのは、理系の知識です。

電流、電圧、抵抗などの電気系の知識にはじまり、数学や物理学などの知識も必要になります。

高校の段階から「理系コース」に進み基礎を固めておくと、その後もスムーズに知識を伸ばしやすいでしょう

大学に進学する場合は、理工学部の「電子工学科」、「電気電子工学科」などが適しており、回路設計について深い知識を追求できます。

回路設計の採用では「学生時代に電気・電子系を専攻していること」を条件としている会社もあるので、できるかぎり大学の電気・電子系の学科に進学しておくのが望ましいでしょう。

学歴について

一部上場の大手メーカーや有名メーカーの場合、新卒採用の募集要項に「4年制大学卒以上」を条件としている会社があります。

大手企業志望の人や就職先の選択肢を広げたい人は、できるだけ4年制大学を卒業しておくことが望ましいでしょう。

一方で中小メーカーや設計事務所などであれば、学歴はあまり厳しく制限されないことが多く、「学歴不問」で募集している求人も目立ちます。

中小メーカーは学歴よりも専攻分野を重視する傾向です。

「大卒でなくてもいいので、専門学校や高専で電子系を学んだ人が欲しい」という中小メーカーもあります。

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回路設計に向いている人

回路設計の仕事は、次のような性格の人が向いています。

<回路設計に向いている人の性格的特徴>
・電子回路に興味がある
・集団で取り組むことが嫌いではない
・細かい作業が得意
・勉強が嫌いではない
・机に向っての仕事が苦にならない
・論理的思考ができる

この中で特に重要になるのが、一つ目の「電子回路に興味がある」です。

「電子回路や機械が好き」、「こういう電子回路を作ってみたい」という人は、エンジニアとして仕事を続ける原動力にあふれています。

電子回路やモノづくりに対して情熱を抱いている人は、回路設計の仕事に向いています。

回路設計に向いている人・適性・必要なスキル

回路設計のキャリアプラン・キャリアパス

一人前になるまでのキャリアパス

回路設計の仕事をするうえでは、たとえ大学で電子工学を専攻した人であっても、新たに学ぶべきことはたくさんあります。

新入社員として入社後、数年の間はOJT(職場内教育)を通じた修行期間となるのが基本であり、勉強の毎日です。

最初から設計が行えるわけではなく、まずは上司や先輩エンジニアの補助的業務をしながら、少しずつ経験を重ねていくことになります。

経験が問われる「アナログ回路設計」の分野では、一人前になるには10年以上もの長い年月が必要ともいわれています。

一人前になった後の努力

回路設計はスペシャリストな技術職であるため、成長に終わりはなく、つねに自分の腕を磨いていく必要があります。

一人前となったあとも、さまざまな機器の回路設計を経験し、エンジニアとしての引き出しを増やしていかなければなりません。

回路設計を取り巻くテクノロジーも時代と共に進化していきますので、最新の技術論文などを読み、知識をアップデートしていく努力も大切になります。

経験年数が増えるとチームリーダーやプロジェクトマネージャーに任命される機会も増えるため、リーダーシップやマネジメント力をみがくことも求められます。

その先のキャリアプラン

大手メーカーの場合は、ある程度の年齢になると管理職に昇進するのが一般的であり、将来は現場での設計業務から離れなければならない場合もあります。

一方、中小メーカーや設計事務所の場合であれば、年長者になっても現場のスペシャリストとして設計作業を続けるケースも多いです。

その他、次のようなキャリアを歩む人もいます。

・より自分のやりたい設計ができる企業に転職する
・本場海外の機械メーカーなどに転職する
・回路設計事務所を自分で立ち上げる

回路設計の仕事は専門性が高いため、異業種への転身は難しく、回路設計の業界内でキャリアをつんでいきます。

回路設計を目指せる年齢は?

中小メーカーの場合

中小メーカーや設計事務所であれば、「年齢不問」で未経験採用を行っている会社もあるため、何歳からでも目指すことは可能です。

ただし、一人前の回路設計に育て上げるには何年もの育成期間とコストがかかります。

たとえ人手不足の中小メーカーであっても、年齢の若い人が欲しいというのが本音です。

まったくの未経験者であれば、できるだけ若い20代のうちに就職するのが望ましく、30代40代から目指す場合には、夜間の大学で学んだり、資格を取得したり、なんらかの対策が必要です。

大手メーカーの場合

大手メーカーの場合、既卒者の未経験採用というのはあまり行われていません。

そのため「新卒」や「第二新卒」のうちに採用されないと、年齢を重ねてから未経験で入社するのは難しいでしょう。

ただしスキルのある経験者であれば年齢に関係なく採用される場合が多いため、中小メーカーで経験を積んだあと、大手に転職することも可能です。

回路設計は女性でもなれる?

回路設計として働く人の大半は男性が占めています。

大手転職エージェント「マイナビエージェント」のデータによると、男女比率は、男性93%、女性7%です。

回路設計は男女のかたりの大きい職種ではありますが、設計エンジニアとして現場の第一線で活躍している女性もいます。

女性ならではの「丁寧さ」、「気配りの良さ」、「コミュニケーション力」などがいきる職種でもあり、むしろ女性の方が良い仕事が行える場合もあります。

経験をつめば、歳をかさねても女性が長く働きやすい職種といえるでしょう。