グランドスタッフの年収はいくら? JALとANAの初任給の違いは?
ここでは、グランドスタッフの平均年収や初任給、代表的な企業の年収、収入の上げ方などを詳しく紹介します。
グランドスタッフの平均年収・給料の統計データ
グランドスタッフの雇用形態は以前は契約社員・派遣社員が中心でしたが、近年は比較的規模の大きな航空会社を中心に、正社員の採用も少し増えつつあります。
しかしながら、航空会社間の競争が厳しいため、コスト削減に力を入れているLCCなどでは、いまだ非正規雇用も少なくありません。
求人サービス各社の統計データをみると、グランドスタッフの年収は260〜420万円ほどとなっています。
なお、契約社員の時給は、地域にもよりますが1,000円~1,600円ほどとされ、他業種のアルバイトとさほど変わりはありません。
グランドスタッフの手取りの平均月収・年収は
グランドスタッフの手取り年収は、経験年数や勤務先の会社によって異なるものの、年収200万〜350万円程度と考えられます。
東京都で勤務するグランドスタッフで、独身の人の場合、交通費などを除外して考えると月の手取り額は20万円前後、手取りは17~8万円ほどになると見込まれます。
現在、日本人全体の平均年収が約458万円(※令和4年分民間給与実態統計調査より)といわれていることから考えると、一般的な職業よりも給与水準は低めとなっています。
基本給以外では、賞与に加えて、シフト勤務手当・年末年始就労手当(年末年始のシフトで働く場合)・早朝深夜出退勤手当などがつきます。
グランドスタッフの初任給はどれくらい? 高卒と大卒で違いはある?
グランドスタッフとして正社員で採用された場合、正社員の初任給は17万〜20万円ほどが相場です。
たとえば、ANAグループの一員である南国交通株式会社の総合職グランドスタッフの初任給(2025年3月入社予定)は、以下の通りです。
航空会社によって、学歴別で初任給に差をつけていることもあれば、学歴問わず一律となっていることもあります。
グランドスタッフの福利厚生の特徴は?
グランドスタッフの勤務先には、主に以下のような待遇があります。
- 通勤費(会社の規定に沿って定期代相当額を支給)
- 住宅手当
また、以下のような福利厚生が適用されます。
- 各種社会保険
- 有給休暇
- 懐妊・育児休職制度
- 各種休暇制度
- 社宅・寮
- 搭乗優待制度
グランドスタッフには早朝や深夜勤務があるため、社宅・単身寮などを用意する会社が多いです。
搭乗優待制度は自社の航空券を社割で購入できる制度です。
すべての会社にある制度ではありませんが、うまく利用すれば格安で飛行機に乗ることができるため、休暇ではこの制度で旅行を楽しむ人もいます。
このほか、グループ会社の旅行ツアーが割引きになったり、ホテルが安く泊まれたりといった優待を利用できる会社もあります。
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グランドスタッフの給料・年収の特徴
ここからは、グランドスタッフの給料・年収の特徴を説明します。
コストカットの流れで給与水準が上がりづらい
LCC(格安航空会社)の参入などもあり、近年航空業界は企業同士の競争が激しくなっています。
運賃をできるだけ安く抑えるために、経費削減の流れが加速し、グランドスタッフにかかる人件費を抑えるため機械化・自動化を進める企業も多いのが現状です。
この先も、グランドスタッフの年収が増えることを期待するのは難しいでしょう。
ただし、一部の航空会社では、待遇をよくして長く働いてもらうために、グランドスタッフを正社員を中心で採用したり、待遇を向上させたりするところも出ています。
航空会社ごとのグランドスタッフの給料の違いは?
ANAエアサポートサービス、株式会社JALグランドサービスや株式会社JALスカイなどをみると、給料にさほど差はないようです。
初任給は大卒で18万円前後、280万~300万円ほどで、勤続すると300万円~400万円ほどになると考えられます。
旅客部業務責任者資格、国際線発券業務資格などの資格を取得してキャリアアップしていくことで年収は徐々に上がっていきます。
なお、自社でハンドリング業務を行う航空会社と、航空会社からハンドリング業務を委託して行っている会社では、航空会社のほうが給料が高い傾向にあります。
航空会社が自社でハンドリング業務を行い、グランドスタッフを採用している航空会社は、スカイマーク、AIRDO、ジェットスターなどがあります。
なお、航空会社からハンドリング業務を請け負っている委託会社としては、スイスポートジャパン、羽田タートルサービス、FMGなどがあります。
グランドスタッフは男性と女性で年収に違いはある?
グランドスタッフは女性の職業であるというイメージがいまだ根強いですが、近年では男性グランドスタッフも活躍しています。
男性グランドスタッフは、全体の1割程度といわれており、割合としてはまだ少ないものの、外資系航空会社を中心に男性グランドスタッフが活躍しています。
グランドスタッフは、男性と女性で、年収に大幅な違いはありません。
ただし、妊娠や出産などで一時現場を離れなくてはならない女性に比べると、男性の方が生涯賃金が増えると考えられます。
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勤務地による年収に違いは?
羽田空港で働く場合、国内線グランドスタッフの給料は約18万円~21万円で、国際線グランドスタッフの給料は約18万~23万円前後になるといわれています。
地方の空港に比べると、羽田や成田などのハブ空港(中核空港)では、利用客の数や仕事の多さから、年収がやや高めに設定されていることが多いです。
同じ業務をしていたとしても、地方空港のグランドスタッフでは15~16万円程度になることは珍しくありません。
とくに契約社員などとして働く場合は、勤務する空港によって給料に差があることもあるため、あらかじめ確認しておくことが必要です。
なお羽田空港と成田空港では、羽田空港の方が圧倒的に利用客が多いものの、仕事内容にあまり差がないことから給料の差はほぼ無いようです。
キャビンアテンダントとグランドスタッフの年収の違い
勤務先が大手航空会社かLCCか、国内企業か外資系企業かによって差はありますが、キャビンアテンダントの平均年収は、400万円~650万円程度が相場となっています。
グランドスタッフの年収に比べると、キャビンアテンダントのほうが大幅に高いことが特徴です。
キャビンアテンダントとグランドスタッフの大きな違いは、雇用される会社にあります。
キャビンアテンダントはANAやJALといった航空会社の社員ですが、グランドスタッフはこうした航空会社のグループ会社や空港サービス会社に雇用されるため、給料に大きな差があるのです。
またキャビンアテンダントは飛行機に登場すると手当てが上乗せされますが、グランドスタッフは地上職で手当てがつかないため、この差も大きいと考えられます。
グランドスタッフの給料は高い?低いともいわれる理由は?
グランドスタッフの年収は低めといわれることが多いです。
実際、グランドスタッフの給与水準があまり高くない理由として、航空業界で働きたいというグランドスタッフの志望者が絶えないことが挙げられます。
もし極端な人材不足で困ってしまうようであれば、航空会社は給料アップを考えるでしょうが、グランドスタッフは志望者が多いため、たとえ年収が低めであっても企業はあまり困ることはないのです。
また、航空業界は苦しい経営状態になっているところが多く、できるだけ人件費を抑えたいという思いがあります。
企業としては給料をアップさせ優秀な人材を確保するよりも、機械化・自動化を進めグランドスタッフの人数をしぼり、人件費を抑えようという傾向になりつつあります。
とはいえ、少子化が進むなどそもそもの働き手が少なくなっていく中で、できるだけ長期間働いてもらうために、待遇を向上させている企業も出てきています。
今後も大幅にグランドスタッフの年収が上がるとは考えにいですが、現状をしっかりと理解したうえで、給料以外のやりがいも見つけていくことが大切になっていくでしょう。
グランドスタッフが収入を上げるためには?
グランドスタッフが収入を上げるためには、「キャリアアップ」と「転職」の2通りの方法があります。
まずは、経験を積み、リーダー職やチーフとなる方法です。
経験を積むと、アシスタントマネージャーとして空港の運営全般に関わることができるだけでなく、空港運営の基幹となって働くことができ給料もアップしていきます。
グランドスタッフは女性が多いため、産休や育休から職場復帰しキャリアを重ねていく人も非常に多いのが特徴です。
転職で収入をアップさせる方法としては、地方空港勤務からハブ空港勤務へ、国内の航空会社から外資系航空会社などさらに規模が大きく待遇のよい会社へと移る方法が考えられます。
とくに外資系航空会社ではキャリアを重視し、中途採用も積極的に行っています。
語学力に自信がある場合は、こうした転職にチャレンジするとさらに給料がアップする可能性があります。
「グランドスタッフの給料・年収」まとめ
キャビンアテンダントの平均年収は260〜420万円の間ですが、勤める企業の規模、雇用形態、役職の有無などによって大きく変わります。
もともと非正規雇用で働く人が多い職業でしたが、最近は大手航空会社を中心に、正社員採用を行うケースも増えつつあります。
収入をのばしたい場合は、経験を重ねて将来的に管理職を目指したり、よりよい待遇の航空会社への転職を検討するとよいでしょう。