キャビンアテンダント(CA)の年収・給料はいくら? JAL、ANAや外資系エアラインの平均年収も解説

キャビンアテンダント(CA・客室乗務員)は華やかなイメージがある人気職種ですが、収入面でいえば、他の多くの職業と比較しても飛びぬけて多くのお金を手にできるわけではありません。

ただし、雇用形態や役職の有無などによって、待遇や実際の収入には差が出ます。

本記事では、キャビンアテンダントの平均年収や初任給をはじめ、代表的な企業の年収、収入アップを実現するための方法などについてまとめて紹介しています。

キャビンアテンダントの平均年収・給料の統計データ

キャビンアテンダント(CA・客室乗務員)は、かつては高収入の代表格といわれていた職業です。

しかしながら、最近は航空業界の競争激化により、給与水準は決して高いとはいえない状況になっています。

航空会社によっては、必ずしも正社員としして働けるわけではなく、契約社員からのスタートになる場合もあります。

ただし、ANAやJALといった大手航空会社では新卒社員を正規雇用するケースが増えているため、一時期よりも給料・待遇の改善につながっています。

キャビンアテンダントの平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

キャビンアテンダントの平均年収_2023

厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、キャビンアテンダントの平均年収は、34.1歳で534万円ほどとなっています。

また、月額給与は約39万円、年間のボーナスは約70万円です。

・平均年齢: 34.1歳
・勤続年数: 10年
・労働時間/月: 148時間/月
・超過労働: 2時間/月
・月額給与:  386,400円
・年間賞与: 702,700円
・平均年収: 5,339,500円

出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」

キャビンアテンダントの年収の推移_r5

※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

各社の統計データ

職業・出典 平均年収 年収詳細
キャビンアテンダント(転職ステーション) 434万円 31歳530万円
29歳477万円
24歳293万円
キャビンアテンダント(給料バンク) 490〜645万円 20代の給料:29万円
30代の給料:33万円
40代の給料:43万円
初任給:20~万円

各社のデータより、キャビンアテンダントの年収は430〜650万円の間であると考えられます。

一方で、一般的に時給制で働く契約社員は、正社員と比べると年収が低めになる傾向があることがわかります。

キャビンアテンダントの手取りの平均月収・年収・ボーナスは

統計データをもとに算出すると、キャビンアテンダントの平均年収は500万円前後です。

東京都で勤務するキャビンアテンダントで、独身の場合、交通費などを除外して考えると月の手取り額は25〜26万円ほどが見込まれます。

日本人全体の平均年収である約458万円(※令和4年分民間給与実態統計調査より)と比較すると、一般的な職業よりも給与水準は高めです。

近年、キャビンアテンダントの待遇は改善傾向にあることが、こうした実態からも見えてきます。

キャビンアテンダントの初任給はどれくらい?学歴によって違いはある?

キャビンアテンダントの初任給は、大手航空会社(JAL・ANA)の新卒採用では以下のように公表されています。(※2024年6月時点)

基本給211,000円 乗務手当 約50,000円(乗務時間70時間/月の場合)
※乗務手当は乗務時間により変動する
2024年度予定(2024年3月12日更新)
院卒 月額213,521円(職務調整手当30,000円を含む、別途諸手当あり)
大卒・高等専門学校(専攻科)卒 月額210,221円(職務調整手当30,000円を含む、別途諸手当あり)
短大卒 月額202,319円(職務調整手当30,000円を含む、別途諸手当あり)

LCC(格安航空会社)などで契約社員として採用する航空会社では、初年度の年収が200万円台となる場合もあります。

なお、キャビンアテンダントは学歴によって初任給が数千円〜1万円程度変わる企業はありますが、金額にほぼ差はありません。

大卒の方が初任給は若干高いことはあっても、短大卒や専門学校卒の場合は、大卒よりも早い段階から給料をもらえるため、生涯にわたる年収はほとんど変わらないと考えてよいでしょう。

キャビンアテンダントの勤務先の年齢別の年収(令和5年度)

キャビンアテンダントの年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の900万円です。

全年代の平均年収は534万円となっています。

キャビンアテンダントの年収(年齢別)_r5

キャビンアテンダントの勤務先の規模別の年収(令和5年度)

キャビンアテンダントの年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。

100〜999人規模の事業所に勤めるキャビンアテンダントの平均年収は395万円、1,000人以上の規模では584万円、10人以上規模の事業所平均は534万円となっています。

キャビンアテンダントの年収(規模別)_r5

賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

キャビンアテンダントの福利厚生の特徴は?

働きやすい制度が整えられている

キャビンアテンダントの福利厚生には、以下のようなものがあります。

  • 各種社会保険
  • 有給休暇
  • 懐妊・育児休職制度
  • 各種休職・休暇制度

正社員はもちろん、契約社員でも、これらの制度は利用できる場合がほとんどです。

キャビンアテンダントが活躍する場は女性が中心であることから、女性が働きやすい制度を整えている企業も目立ちます。

ただし、職務の性質上、時短勤務は実現しづらいため、家庭の事情などで不規則な勤務が難しい人のために、国内線中心のフライトに変更するといったの制度も導入されています。

そのほか、キャビンアテンダントにおける待遇面の特徴を挙げるとすれば、基本給に加えて乗務時間中は1時間につき700円程度(会社によって異なる)の「乗務付加手当」が出ることです。

乗務している時間が長ければ長いほど、手当が増えて給料もアップします。

優待航空券「Employee Free Ticket」とは

航空会社に入社すると、本人やその家族向けの優待航空券Emploee Free Ticket(エンプロイー・フリーチケット)がもらえます。

自社エアラインが就航する区間で当日座席に空席があれば、無料で搭乗することができます。

航空会社によってさまざまな違いや利用制限がありますが、就航路線が多い航空会社の場合、国内だけでなく海外へも行くことができます。

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キャビンアテンダントの給料・年収の特徴

ここからは、キャビンアテンダントの給料・年収の特徴を紹介します。

給料・年収は年々減少傾向にある

キャビンアテンダントの給料・年収は、年々減り続けているといわれています。

たしかに、令和5年度の平均年収は534万円程度です。

平成13年には679万円だったことを考えると、かなりダウンしていることになります。

これは、近年ローコストの航空会社(LCC)が増え、経費削減の流れが加速していることが原因です。

正社員になっても各航空会社の経営状況が厳しいのは変わらず、この先も急激に年収が増えることを期待するのは難しいといえるでしょう。

しかし、国際線であれば、仕事でさまざまな国に行くことができるなど、給与以外の面でキャビンアテンダントならではの恩恵を受けることもできます。

採用後、数年間は正社員?契約社員?

キャビンアテンダントは、かつて「新卒から数年間は契約社員」が前提だった時代があります。

当時の大手航空会社のキャビンアテンダントはまず契約社員として雇用され、3年間働いたのち、本人の意向などによって正社員へとステップアップする形が一般的だったのです。

しかし、2014年にANAが新卒の正社員採用を開始したことを皮切りに、JALやスターフライヤーといった航空会社が相次いで正社員化に踏み切りました。

大きな目的のひとつは、人材のさらなる早期育成を目指し、若手が伸びるチャンスをいっそう広げるためだとされています。

LCCの登場によって航空会社間の競争が厳しくなっている今、早い段階から活躍できる人材を育てていくことが、自社の経営状態をより向上させるためには不可欠だと考えたようです。

契約社員採用が20年近く続いていたことを考えれば、これは大きなターニングポイントになるといえるでしょう。

正社員雇用となれば給与体系も変わりますし、自らの努力によってはより早く昇進することも期待できます。

現在でも、LCCなど一部の航空会社では契約社員からスタートの場合がありますが、「キャビンアテンダントは契約社員からキャリアをスタート」というかつての業界の常識は崩れつつあるといえるでしょう。

国際線と国内線での給料・手当などの待遇の差は?

国際線は国内線と比べてフライトが長時間にわたる傾向があるため、勤務時間が長くなりやすいのが特徴です。

そのため、乗務手当が支給される時間が国内線よりも長くなりがちなことから、その分が給料に反映されるケースはあります。

また、国際線の場合は3日~4日といったロングフライトが必要になることもあります。

こうした勤務のあとには最短でも2日以上の連休を取得する制度があるなど、国際線ならではの労働条件が整備されています。

男性と女性での年収差は?

キャビンアテンダントは男性と女性で年収に違いはありません。

男性キャビンアテンダントは近年増加傾向にありますが、基本的に性別による仕事の差はありません。

今後は、女性のように管理職となってキャリアを重ねていく男性のキャビンアテンダントも増えてくると考えられます。

キャビンアテンダントの代表的な企業の年収

会社名 平均年収 平均年齢
日本航空(JAL) 847万円 40.8歳
ANAホールディングス 691万円 45.5歳
スターフライヤー 500万円 38.2歳

出典:2024年現在(各社有価証券報告書より)

日本航空(JAL)の平均年収

JALの平均年収は847万円です。

大手航空会社の中でも人気があり、新卒採用での競争率も高くなる航空会社です。

ANA(全日本空輸)の平均年収

ANAホールディングスの平均年収は691万円です。

ただし、持株会社のためあくまでも参考値となります。

正社員前提でのキャビンアテンダント新卒採用を業界に先駆けてスタートさせるなど、女性の働きやすさに配慮する航空会社として知られています。

スターフライヤーの平均年収

スターフライヤーの平均年収は500万円です。

福岡に本社を置く航空会社で、北九州空港を本拠地としています。

JALやANAと比べると小規模ですが、独自のサービスによる高い顧客満足度で知られ、新卒採用においても人気企業のひとつとなっています。

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外資系CAの年収はどのくらい?

エミレーツ航空の平均年収

採用情報などによると、ドバイにあるエミレーツ航空で採用された場合、日本円にすると初任給は30~40万円、年収にすると500万円ほどになるのが一般的なようです。

エミレーツ航空はアラブ首長国連邦のドバイを拠点とする中東最大級の航空会社で、世界各国85か国150以上の都市に就航しています。

また全路線が国際線であるため、国内線常務が無く他の航空会社と比べると手当が多く、大きく稼げるのが特徴です。

採用されるとドバイに移り住み、トレーニング期間中は基本給のみ支給されるため、月収は少し下がりますが、滞在中に必要な住居費や光熱費は会社負担であるため、生活費はほとんどかかりません。

また、ドバイに居住する場合は所得税と住民税がかからないため、支給された金額がそのまま手取りの給料となります。

シンガポール航空の平均年収

採用情報などによると、シンガポール航空にキャビンアテンダントとして契約社員で採用された場合、平均月給は日本円にすると約40万〜45万円です。

会社の業績によっては年に3回賞与が支給されるなど、給料は業界トップクラスです。

東南アジアのハブ空港「チャンギ国際空港」を拠点とする世界最大手の航空会社の一つで、多くのキャビンアテンダントが憧れる航空会社として長年人気を集めています。

採用されるとシンガポールに移り住み、トレーニング期間中は会社から家賃補助が支給されます。

シンガポールに居住する場合は、外国人の住民税は無料かつ所得税は格安のため、額面の支給額がほぼそのまま手取りの給料となり日本の初任給の約2倍の額を手にすることができます。

キャビンアテンダントが収入を上げるためには?

キャビンアテンダントは、かつては採用条件として身長が一定以上の高さであることなどの要件が入っていた時代もありましたが、現在では能力を公平に評価する仕組みが整えられています。

キャビンアテンダントが収入を上げるためには、大きくわけて「社内でのキャリアアップ」と「転職」の2通りの方法があります。

社内でのキャリアアップを目指す

社内での勤務経験を積むことで、国内線乗務から国際線乗務、さらにファーストクラスの担当を目指します。

また、「リードキャビンアテンダント」「チーフキャビンアテンダント」といったキャリアを経て、将来的に管理職を目指す方法もあります。

役職に就けば役職手当がつくため、これは年収アップに着実につながるルートといえます。

管理職になる方法としては、会社から任命されるほかに、自ら立候補して指定条件と試験をクリアする制度を活用する方法もあります。

こういった制度は企業にもよるものの、すべてのキャビンアテンダントにチャンスが与えられています。

転職をする

もうひとつ、現在の勤務先と比べてさらに待遇のよい航空会社へ移ることで収入アップを目指す方法が考えられます。

近年、各航空会社は発着回数を増やすことで顧客の利便性を高めるなどの試みをしていることから、キャビンアテンダントは人手不足の傾向があります。

そのため、新卒採用だけでなく中途採用も積極的に行う航空会社が増えているのです。

また、外国語が堪能である場合は、外資系の企業に転職することで、年収の大幅なアップが実現できるかもしれません。

キャビンアテンダントは年収1000万円を目指せる?

現在、キャビンアテンダントの仕事だけで年収1000万円に到達するのは、かなり難しいといえます。

バブル時代にはキャビンアテンダントは年収1000万円以上を手にできるチャンスがある職業でした。

しかし、今はその時代に比べると平均年収は急激に下がってきています。

ただし、早くから出世を目指してコツコツと努力をする、外資系企業に転職するなどで、収入を大きく上げられるチャンスを掴むことは可能です。

グランドスタッフとキャビンアテンダントの年収はどちらが高い?

キャビンアテンダントの平均年収は534万円前後であるのに対し、航空会社の地上職であるグランドスタッフの年収は200万円~350万円ほどとされています。

グランドスタッフは、キャビンアテンダントに比べると正社員の採用もあまり多くなく、契約社員として働く人が中心であるため、収入はあまり高いとはいえません。

初任給は月収16万円から19万円ほどで、契約社員の場合は平均時給1,200円ほどです。

同じ航空関係でも、キャビンアテンダントとの給料とは差があるといえるでしょう。

グランドスタッフの給料・年収

「キャビンアテンダントの給料・年収」のまとめ

キャビンアテンダントの平均年収は534万円前後です。ただし、勤める企業の規模、乗務する路線が国際線・国内線か、また役職の有無などによって大きく変わります。

飛びぬけて高収入が得られる職業とは言い難いですが、最近では正社員雇用を積極的に実施する航空会社が増えており、給料・待遇の向上にいっそう力を入れていく会社が増えることも期待できます。

収入を伸ばしたい場合は、経験を重ねて将来的に管理職を目指したり、よりよい待遇の航空会社への転職を検討するとよいでしょう。