養護教諭の大変なこと、苦労

膨大な仕事量

ほとんどの学校では養護教諭が一人しか配置されていないため、全校生徒の健康診断に関わる事務処理を一手に担わなければなりません。

ちなみに、健康診断を行なう項目は「学校保健安全法施行規則」に定められている、身長・体重・座高の計測、視力・聴力検査、内科・歯科検診、尿・寄生虫検査などです。

特に検査の集中する一学期は、前年度から準備を始めても膨大な仕事量となります。

生徒だけでなく、教職員の健康診断の諸手配も養護教諭の仕事。よって、勤務終了時刻に帰宅できない日が続きます。扱う書類の多くが生徒・職員の個人情報を記載しているものなので、紛失・盗難などがないよう、持ち帰って自宅で仕事をすることもできません。

それに加えて、少しくらい自身の体調が優れなくても、出勤して保健室を開けなければなりません。

子育て中の養護教諭であれば、子どもの学校行事や病気などでも休むことがはばかられる時期も。「忙しい上に容易に休めない」というのが、養護教諭にとってのつらいところです。

「暇そうに」見せなければならない

前述の文章を読んで、「私の学校の保健室の先生は、暇そうだったけど?」と思う人もいることでしょう。それは、その養護教諭が優秀な先生だったという証です。

あなたが誰かに悩みを打ち明けようと思うとき、額に汗して立ち働いている、いかにも忙しそうな人を相談相手には選ばないことでしょう。

つまり、養護教諭とは児童・生徒が気軽に話しかけられるように、どんなに忙しくても表に出さず、ゆったりと構えていなければならないのです。

したがって、他の教員から「暇そうでいいね」と言われたり、職務ではない仕事が回ってきたりもします。

多くの学校では、養護教諭が一人しかいないために仕事の実情を理解してもらうのが難しいのです。また、指導方法についてもアドバイスしてくれる同じ立場の先生もいません。

ときに孤独と戦いながら、それでも笑顔で来室した児童・生徒たちを迎えるのが養護教諭なのです。

判断を誤れない

業務内容が、生徒の命に関わることもあるため、判断を誤れません。怪我による出血一つとっても、止血の手当てをしておしまいではなく、その背景に何か病気が潜んでいないかを心配します。

近年では、アレルギー症状を抱える児童・生徒も多く、発作が起きてしまったときには迅速かつ適切な応急処置と、医療機関との連携が求められますが、その判断を瞬時にくださなければならないのです。

そのため、研修会などに積極的に参加して、常に勉強する姿勢が求められます。

あるいは、子どもとの雑談にも実はSOSが隠れているかもしれないので、慎重にならざるを得ません。養護教諭とは、想像以上に責任の重い職業なのです。