税理士と行政書士の違い

税理士と行政書士は、どちらも国家資格を持ち、士業としてさまざまなお客さまの困り事を解決します。

ただし、この2つの職業は仕事内容や役割が異なり、身につける知識やスキルにも違いがあります。

この記事では、税理士と公認会計士の仕事内容や役割、資格取得方法、活躍の場などの違いについて詳しく紹介します。

税理士と行政書士の仕事内容の違い

税理士も行政書士も、クライアントからの依頼を受けて事務手続きなどを代行したり、相談に応じたりする専門的な職業です。

ただ、両者の違いとして、税理士が税務申告手続きや所得税の計算など「税」を専門とするのに対し、行政書士は官公庁関係の事務手続きや契約書類の代理作成など「書類作成」を専門的に取り扱います。

得意分野の違いに職業の特徴が表れており、求められる知識やスキルも異なります。

留意しなければならないのは、税理士は行政書士の業務も行うことができる一方、行政書士は税理士の業務を行うことはできないことです。

税理士にも行政書士にも、それぞれの資格保有者しか行えない「独占業務」が定められていますが、税理士は、行政書士会に登録するだけで行政書士の独占業務も手掛けることが可能です。

反対に、行政書士が税理士業務を行うためには、国家試験を受けるなどして税理士資格を取得するところからスタートしなければなりません。

仕事内容は違いますが、資格制度上は、税理士資格のなかに行政書士資格が含まれているとみなすことができるでしょう。

行政書士の仕事

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税理士と行政書士のなる方法・資格の違い

税理士になるには、税理士試験を受けて合格した後に2年間の実務経験を積むルートが一般的です。

このほか、税務署などで一定年数以上勤務したり、公認会計士や弁護士資格を取得すると、試験を受けることなく資格を得ることが可能です。

行政書士になる方法も、税理士と同様、行政書士試験に合格する以外に複数のルートが存在します。

たとえば国や地方の公務員として一定年数以上行政事務に携わったり、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士などの資格を取得すると無試験で資格が取得できます。

なお、税理士試験を受けるためには、大学などで社会科学に属する科目を履修するなど一定の条件を満たす必要がありますが、行政書士試験には受験資格がなく、誰でも受けられる点も、双方の違いの一つです。

税理士と行政書士の資格の難易度の違い

税理士試験は、税務や会計に関する11科目のうち5科目に合格することが必要ですが、1科目合格するだけでも数百時間の勉強をこなさねばならないため、合格までには数年間を要するケースがほとんどです。

これに対し、行政書士試験に必要な勉強時間は500時間が目安とされており、半年~1年ほどの準備期間で十分合格が可能で、人によってはさらに短期間で合格することも不可能ではありません。

試験の難易度としては、税理士試験のほうが行政書士試験よりはるかに難関といえます。

なお、行政書士試験の合格率は近年10%前後で推移しており、数字だけみれば税理士試験と大差ありません。

しかし、行政書士試験の受験者は大半が仕事に忙しい社会人であり、十分に勉強できていないことが合格率を下げている要因として挙げられます。

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税理士と行政書士の学校・学費の違い

税理士になるための学校としては、大学や大学院などの教育機関、民間の資格専門スクール、予備校、通院講座など幅広い選択肢があります。

ただ、受験資格を得るためにも大学に通って基礎学力を高めつつ、税理士の勉強をすることが望ましいでしょう。

博士課程まで進み、会計学や税法の学位を取得できれば、税理士試験で課される全11科目のうちの一部が免除されるため、大学や大学院に通うメリットも大きいといえます。

これに対し、行政書士試験には、とくに学歴などの受験要件もないため、必ずしも学校に通わなくても資格取得を目指すことが可能です。

もちろん民間の専門学校に通って勉強することも有効ですが、たとえば通学せずに通信講座などで学習するという選択肢もあります。

勉強の得意・不得意や生活スタイル、経済事情などによって、最適な学習方法を選ぶとよいでしょう。

税理士と行政書士の給料・待遇の違い

税理士の給与は、勤めている企業の事業規模や個人のスキル、また独立しているかどうかによっても差がありますが、難関国家資格を必要とする専門職である分、給与水準は高めです。

中小企業に勤める税理士で年収600万円、大手企業で働く税理士の年収は900万円前後とされており、1000万円以上を稼いでいる人も珍しくありません。

独立開業している税理士の平均年収は3000万円前後に達しているという統計もあります。

これに対し、行政書士の年収は多くの人が500万円以下といわれており、税理士と比べると低めといわざるを得ません。

独立することも可能な資格ですが、取得難易度から考えても行政書士資格単体で十分に生計を立てることは容易ではなく、多くの開業行政書士は、社労士などほかの資格と組み合わせて業務を行っています。

税理士と行政書士はどっちがおすすめ?

税理士は、資格を取得するまでに多大な努力が必要で、年数も費用もかかりますが、合格したあとの待遇は手厚く、安定して働けるといえます。

また、独立してさらに高収入を目指すことも可能です。

ただ、試験の難易度を考えれば、志願者全員が資格取得までたどり着けるわけではなく、かけた労力や時間が無駄になるリスクは拭いきれません。

一方、行政書士は税理士よりも資格を得るハードルは低く、学費も期間もそれほどかからないため、コストパフォーマンスに優れているといえるかもしれません。

とはいえ、そこまでの高収入は期待できないため、働きだしてから追加でほかの資格を取得するなどの努力が必要になる場合が多いでしょう。

どちらの職業も異なるやりがい・魅力、大変なことがあるため、自身の適性や希望を踏まえたうえで目指す道を選ぶことをおすすめします。

強いていうなら、一つのことを突き詰めるのが好きなスペシャリスト志向の人は税理士が、特定の分野に捉われず幅広い業務を手掛けたいゼネラリスト志向の人は行政書士が、それぞれ向いているでしょう。

「税理士と行政書士の違い」まとめ

税理士と行政書士は、どちらも士業といわれる専門職ですが、それぞれの仕事内容・役割は異なります。

どちらにも独占業務があり、資格上は、税理士資格を持っている人は行政書士の業務に携わることができる一方、その逆は認められていない点に注意が必要です。

どちらが良い・悪いというわけではないため、この2つの職業に興味を持っている人は、仕事の特徴や活躍の場などをよく把握したうえで、どの道に進むかを考えることをおすすめします。