女性の特別支援学校教諭のキャリアパス・結婚後の生活
女性の特別支援学校教諭の現状
特別支援学校教諭では、女性が多く働いています。
たとえば東京都教育委員会が発表している「平成30年度 公立学校統計調査報告書調査」では、東京都の特別支援学校教諭のうち、男性は2,328人(構成比39.8%)、女性は3,520人(構成比60.2%)と発表されており、女性の割合のほうが大きいことがわかります。
全国的に見ても、特別支援学校教諭では女性が多く活躍しているケースが多いようです。
ただし、ひとことで特別支援学校といっても、その種別はさまざまであり、学校によって教諭の男女比のバランスには違いも出てくるでしょう。
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女性の特別支援学校教諭の強み・弱み
子どもたちの変化に気付きやすい面も
特別支援学校教諭に関わらず、「学校の先生」といわれる職業は、男性も女性も同じように活躍できます。
また、学校には男の子も女の子も、さまざまな個性や特徴を持つ子どもたちが通っているため、先生もさまざまなタイプの人がいるほうが好ましいとされます。
たとえば、女性教諭は男性教諭が見落としていることに気付いたり、児童・生徒のちょっとした変化に敏感な場合があります。
子どもたちも、物腰柔らかい女の先生がいることで安心できる面もありますし、同じ職場に男性と女性がどちらもいることで、それぞれの苦手なことを補い合いながら、子どもたちに良い状態で接していきやすくなります。
通常の学校とは異なる苦労はたくさん
特別支援学校では、障害があっても肉体的には通常に発育している児童・生徒が多数います。
とくに中学部・高等部の男子生徒は体重が80キログラムを超えることもあり、男性教諭だけでは人手が足りないとなれば、女性教諭であっても体を張って仕事をしなければいけません。
また、教室でじっとしていられない子どもを走って連れ戻したり、パニックを起こしている子どもを抑えたりといったこともあります。
特別支援学校では、通常の学校以上に子どもと密に関わることになりますので、先生にもそれなりの気力・体力が求められます。
特別支援学校教諭の結婚後の働き方・雇用形態
特別支援学校教諭は、正規採用されて働く人が多くいますが、それ以外にも臨時職員(臨時的任用職員)や非常勤講師として働くこともできます。
結婚後もそれまでと同様の形で働き続ける人がいる一方、雇用形態を変えて働くケースも考えられます。
ただし、臨時的任用職員は、産前産後休暇、育児休業、療養休暇等の教員の補充のために、一般の職員と同様の勤務時間で働くことになるため、結婚したからといってあえてこの形に変更することはあまりないでしょう。
非常勤講師は、非常勤の種類によって勤務時間などが異なり、フルタイムで働くのが難しい場合にこの形をとる人もいるようです。
基本的に、公立の特別支援学校教諭は公務員としての身分となるため、待遇面は充実しています。
休暇制度もいろいろなものがありますし、家族の理解を得て、仕事と家庭を両立させていくことは十分に可能だといえるでしょう。
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特別支援学校教諭は子育てしながら働ける?
特別支援学校にも産休・育休制度はあるので、子育てをしながら特別支援学校教諭として働いている人はいます。
しかし、特別支援学校に通う子どもの障害の重度重複化が進んできているという現状から、教員の専門性に対する要求水準も上がってきています。
障害が重い子どもほど、小学部から高等部まで持ちあがりで同じ学校に通います。
もし学校内で「自分以外には担当しにくい」子どもがいた時に自分自身のライフ・ワークバランスをどうするかは、正解がないだけに悩みが尽きない問題です。
また、これは学校教諭全般に共通するのですが、学校には宿泊学習がつきものです。
さらに、寄宿舎が併設されている特別支援学校では、定期的に寄宿舎の宿直業務を行うことも特別支援学校教諭の仕事です。
そのような、夜中家に帰れない仕事のときに、子どもを預ける場所や相手をあらかじめ見つけておくことも必要です。
特別支援学校教諭は女性が一生働ける仕事?
学校の教諭として定年まで働き続ける人は、男女問わずたくさんいます。
公立の学校では異動がありますので、特別支援教諭として働く人も、キャリアの途中で一時的に通常の小学校や中学校などで勤務したり、また特別支援学校へ異動となったりするケースもあります。
さまざまな学校での経験を積み重ねながら、教諭としての幅を広げていくことができるでしょう。
また、もし結婚・出産などで一度は現場を離れることになっても、教諭の免許状やそれまでの経験を生かし、再就職を目指すことも可能です。