損害保険会社の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

損害保険会社社員の仕事とは

損害保険会社社員は「損害保険商品」を作り、個人や法人のお客さまに販売する仕事です。

この損害保険商品とは、事故・災害・盗難など毎日の生活や仕事のなかで起こりうるさまざまなトラブルやリスクに対して、日頃から備えておくことを目的として作られたものです。

保障内容や保険料は損害保険商品によってそれぞれ異なります。

しかし、「あらかじめ保障の対象や範囲を決めて保険料を支払い、契約期間内に起きた損害に対して保険金が支払われる」という基本的な仕組みはどれも同じです。

損害保険とよく似たものに「生命保険」がありますが、こちらは人が亡くなったり、病気になったりといった「人の生命や傷病に関わるリスク」に備えるためのものです。

一方、損害保険は家が火事になったり、車が壊れたりといった「物の損害に関わるリスク」に備えるためのものであり、両者の役割は明確に異なります。

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損害保険会社の種類・分類

「マリン分野」と「ノンマリン分野」

現在、国内にはたくさんの損害保険会社がありますが、それらは大きく2種類に分別できます。

貨物保険や船舶保険などの海上に関わる分野を扱う「マリン分野」と、自動車保険や火災保険、傷害保険などの海上とは関係のない分野を扱う「ノンマリン分野」です。

マリン分野とノンマリン分野のどちらに力を入れているかは各企業によって異なります。

たとえば「三井住友海上火災保険」や「東京海上日動火災保険」などの会社では、マリン分野である海上保険分野がよく知られています。

海上保険の具体的な内容としては、貿易や物流の際に起きたトラブルに対する貨物保険や、船・船員を対象とした船舶保険などです。

一方「ソニー損害保険」や「アクサ損害保険」などの会社では、ノンマリン分野である自動車保険やバイク保険に力を入れています。

損害保険会社への就職をめざす人は、マリン分野・ノンマリン分野のどちらにたずさわりたいのかを考えたうえで企業を選ぶとよいでしょう。

「店舗型」と「通販型」

損害保険会社は「店舗型(代理店型)」と「通販型」の2種類に分けることもできます。

店舗型は代理店を通して保険商品の対面販売を行う、従来からあるスタイルです。

通販型はインターネットや電話を使って保険商品の販売を行うスタイルで、安く・手軽に加入できることから人気を集めています。

しかし、通販型は重要事項の内容をよく理解しないまま加入してしまったり、いざ事故や災害にあったときにどうやって保険を申請すればよいのかわからなかったりするケースも少なくありません。

店舗型と通販型それぞれにメリット・デメリットがあるため、今後しばらくは両方の販売体制が続いていくと考えられます。

損害保険会社社員の業務内容

営業部門

損害保険会社社員の仕事として多くの人がイメージしやすいのは「営業部門」ではないでしょうか。

損害保険会社における営業の仕事は幅広く、企業や団体への法人営業から個人営業、さらには保険商品の販売を行う代理店に対する教育やサポートも担当します。

自社商品に関する深い知識や、顧客のニーズを聞き出すコミュニケーション能力がなければ務まらない仕事であり、損害保険会社の存在を支える非常に重要な役割をになっています。

業務部門

営業部門に対して、お客さまがいざ保険商品を使おうとした際の大切なサポート役となるのが「業務部門」です。

仕事内容は多岐にわたり、顧客が事故や災害などで保険の請求をしてきた際の損害調査、交通事故を起こした相手との交渉サポート、保険金支払いの手続きなどさまざまな業務をおこないます。

業務部門は営業部門を後方から支援する、「縁の下の力持ち」といえる存在です。

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損害保険会社の役割

わたしたちが日々の生活を送っていくなかで、いつなんどき事故や災害に遭遇するかはわかりません。

とくに台風や地震などの自然災害は突如発生するものであり、万が一被害に見舞われれば精神的にも経済的にも大きな損失を被ります。

そうしたいつ起こるかわからない、潜在的なリスクに対する備えとして損害保険が存在します。

損害保険に加入しておけば万が一のときには保険金を受け取ることができ、たとえなにも起こらなかったとしても「損害保険に入っている」ことが安心感につながるでしょう。

人々が安心した生活を送るうえで損害保険は欠かせないものであり、それを個々のお客さまに適切に提供していくのが損害保険会社の役割です。

損害保険会社に特有の職種

総合職と一般職

損害保険会社の職種は各企業によってさまざまな区分けがありますが、なかでも「総合職」と「一般職」の区分で採用を行う企業が多くみられます。

総合職は全国転勤やときには海外勤務をしながらキャリアを積み、将来的には会社の中枢をになう存在をめざしていく職種です。

これに対して、一般職は基本的には転居をともなう転勤はなく、ひとつのエリアにとどまって地域に根ざした働き方をする職種となります。

「一般職」という名称を使わずに「エリア限定型社員」「地域型コース」などの呼び方をしている企業も少なくありません。

総合職と一般職では、転勤の有無や業務範囲などが異なる分給料などの待遇にも差があり、基本的には総合職のほうが給料は高くなります。

商品企画部門

損害保険会社には、新たな保険商品を開発する「商品企画部門」もあります。

顧客のニーズを調査・分析しながら新しい商品を考案したり、すでにある商品の内容を見直す改定業務を行ったりするのが商品企画部門の仕事です。

損害保険は時代の流れとともに求められる内容が変わります。

たとえば、流通する自動車の性能が変われば事故の発生率やパターンも変動します。

そのほか自然災害の発生状況によっても、地震や津波などに対する世間の危機感は常に変化していくものです。

その時代のニーズを適切にキャッチし、お客さまの求める保険商品を世の中に迅速に提供していくうえで商品企画部門は重要な役割をになっています。

損害調査部門

損害保険会社の職種のなかでも、この業界特有の仕事といえるのは「損害調査部門」でしょう。

損害調査部門は事故や災害などが起きたときに、保険加入者の被害の程度を調べたり査定をしたりするのがおもな任務です。

船舶事故や自動車事故、火災、地震など、担当する事故や災害の種別はさまざまですが、現場に入って丹念に調査をし、ルールに従って保険金の金額を正確に算出する点はどこの会社でも同じです。

東日本大震災や熊本地震のような大災害が起これば被害を受ける加入者も相当な数にのぼり、保険に関する相談や請求が朝から晩までひっきりなしに続きます。

災害発生時には、損害調査部門で働く人たちは現地に入って寝泊まりしながら連日仕事をこなさなければなりません。

被災地では断水や停電、余震が続いていたり、期待通りの査定額にならなかった保険加入者から罵声を浴びされたりする場合もあります。

このように損害調査部門の社員は過酷な環境下での勤務もあり得ますが、そういった場合にも誠心誠意の対応をすることが、被災者の生活再建への大きな一歩となるのです。

アジャスター

損害調査を行う社員のなかでも、とくに専門的知識が必要とされる職種が「アジャスター」です。

アジャスターは自動車の物損事故の際に、事故の原因や状況、損害額の調査などを行います。

この職種は自動車に関する幅広い知識が求められるのはもちろん、事故を多角的に分析する推察力や賠償交渉を行うための交渉術など、さまざまなスキルが必要です。

アジャスターを外部から雇い入れている企業もありますが、社員として採用しているケースもあります。

非常に専門性の高い仕事であり、一生をかけて追求していく、やりがいのある職種といえるでしょう。

技術アジャスターの仕事

損害保険会社の有名な企業

東京海上日動火災保険

1879年創業、保険料等収入2兆2,475億円、従業員数17,077名(2019年度)。

「東京海上火災保険」と「日動火災海上保険」が合併して発足した、日本の大手損害保険会社です。

グローバル企業としての強みもあり、現在は40か国以上で現地に根ざしたローカルビジネスに取り組んでいます。

参考:東京海上日動火災保険

AIG損害保険

1946年創業、正味保険料収入1,768億円(2020年3月期)、従業員数7,719名(2019年3月時点)。

「AIU損害保険」と「富士火災海上保険」が合併して誕生した、外資系の大手損害保険会社です。

損害保険だけでなく、生命保険や退職給付など幅広い金融サービスを提供しています。

ソニー損害保険

1998年設立、正味保険料収入1,193億円、従業員数1,351名(2020年3月期)。

「ソニー損保」の名称で知られる、ソニーグループの損害保険会社です。

通販型自動車保険では業界トップであり、現在もリーディングカンパニーとしての地位を堅持しています。

損害保険会社の仕事の流れ

自社の損害保険を多くのお客さまに販売するところから損害保険会社の仕事は始まります。

個人であれば自動車保険や火災・地震保険など、法人であれば海上保険や賠償責任保険などがあり、営業担当はそれぞれのお客さまのニーズに適したものを提供しなければなりません。

そして実際に事故や災害が起こった際には、損害調査部門を中心に加入者の被害状況を調査・査定し、保険金を支払うまでの一連の手続きを行います。

場合によっては保険の対象にならないケースもあるため、その見極めは慎重に進めなければなりません。

とくに個人のお客さまからの問い合わせが多い自動車事故に関して、どの補償内容が該当するか見極めが難しいときに活躍するのが「アジャスター」です。

アジャスターは自動車事故に関する高い専門知識を持ち、そのスキルを生かして損害額や事故入院の治療費などが妥当であるかを調べます。