司書になるには
司書になるには
司書として働くうえで「司書」の資格が絶対必要というわけではありません。
ですが、図書館の募集要件として、司書の資格を取得していることが条件となっていることが多くあります。
そのため、司書として働く、第一歩としては資格を取得することが大切です。
この司書の資格を取るためには、次の三つの方法があります。
カリキュラムを勉強
一つ目は大学や短期大学在学中に「司書養成科目」の単位を修得して資格を取得する方法です。
このためには、図書館学に関連する科目を開講している学校に進学しなければなりません。
二つ目は、大学や短大、高等専門学校を卒業した後で、「司書講習」を受講して資格を取得する方法です。
「司書講習」とは、図書の専門業務に携わるために必要な知識・技術を身につける講習会のことです。
平成31年度の場合、司書講習は文部科学大臣の委嘱を受けた全国の大学7校で開講される予定です。
司書補からステップアップ
三つ目の司書資格取得方法は、「司書補」からステップアップすることです。
司書補とは、司書を補佐する役割の図書館専門職で、司書と同じように貸出・返却業務やレファレンスサービスなどの業務に携わります。
司書補は、高等学校を卒業している、または高等専門学校第3学年を修了している人であれば、「司書補講習」を受けることができます。
司書補の資格を取り、図書館で3年以上の勤務実績をあげれば、上級資格である司書になるために司書講習を受講できます。
そして、講習修了後に司書の資格が与えられるというわけです。
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司書の資格・難易度
司書の資格は、司書養成科目の単位を修得することや司書講習を受講する既定のカリキュラムを受けることで取得が可能です。
修了の際に筆記試験や面接などが行われるわけではないので、努力さえすれば誰もが手にすることができる資格といえるでしょう。
ただし、前述のカリキュラムは科目数が多いことで知られています。
大学生の場合は自分の専門である必修授業と平行して受講しなければいけないので、入学当初から履修している科目は確実に単位を取れるよう、日々の努力が求められます。
司書になるための学校の種類
司書になるための専門的な知識を学ぶことができる学校はたくさんあります。
文部科学省によると、平成30年度の4月1日現在「司書養成科目」を開講している大学・短大は全国に203校あるようです。
その内訳は、4年制大学が148校、短期大学(部)が55校となっており、さらに、4年制大学では国立大学が9校、公立大学が5校、私立大学が134校となっています。
12校の私立大学には通信課程も設置されています。
短期大学は、公立短期大学が3校、私立短期大学が52校となっています。
こうして見てみると、司書を目指せる学校は、短大から四年制大学、公立、国立、私立とさまざまなので、希望する学部や学費、住んでいる地域の事情を踏まえて選ぶとよいでしょう。
司書の資格を取るためにはどんな学校に行けばいい?(大学・専門学校・短大)
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司書に向いている人
司書に向いているのは、やはり「本が好き」な人でしょう。
小説や評論、科学や歴史に関する専門書、美術書など、さまざまな分野の本を偏りなく扱い、利用者のニーズに応じて貸出やレファレンスサービスをするためには、何よりも本を愛する気持ちが根底にあることが大切です。
同時に「人が好き」であることも求められます。
司書は利用者とコミュニケーションを取る機会が多く、本と読者の架け橋になる役割を果たすので。親身になって他人の相談を聞くことができるような思いやりのある人が最適です。
司書のキャリアプラン・キャリアパス
司書として働いている人は、非正規雇用であることが珍しくありません。
正規雇用の求人が少ないので、嘱託職員や臨時職員、アルバイトやパートなどでこの仕事に就く人が少なくないのです。
ですから、司書として働きながらまず目指すのは正規雇用というケースが多いようです。
地方公務員として公立の図書館に勤めることができれば雇用や待遇が安定するので、現場で経験を積みながら求人に応募し続けてキャリアアップできるように努力しています。
司書の雇用形態
司書の雇用形態や勤務先はさまざまです。
行政の採用試験に合格して地方公務員として正規雇用されている人もいれば、嘱託職員や臨時職員、あるいは契約社員として働いている人もいます。
また、学生や主婦をしながら、週に数回だけアルバイトやパートの司書として働いているという人も決して少なくありません。
一般的には司書の正規雇用は非常に狭き門だといわれているので、前の項でも述べたように、非正規雇用で働いている人が圧倒的に多いという現状があります。
ちなみに司書の主な勤務先としては、各地域にある公立の図書館以外にも、小学校や中学校、高校などの学校図書館があげられます。
この他にも、大学や民間企業に併設されている、専門的な資料を扱う図書館などもあります。
正規職員の司書
「行政職」としての採用
図書館で働く司書は、公務員という立場で働くことも可能な職業です。
公務員の司書になるにはいくつかの道が考えられますが、ひとつは地方公務員試験の「行政職」の試験を受けて合格し、自治体に採用され、各地域の公立図書館へ配置されるという形です。
この場合、地方公務員として働くことができますが、必ずしも図書館に配置されるわけではありませんし、異動によって図書館以外の場所で働くことになるかもしれません。
また、国立国会図書館では独自に採用試験を行っており、採用されれば「国会職員」という特別職の国家公務員の立場で働くことができます。
「司書職」としての採用
一部の自治体では、「司書職」区分での採用を行うことがあります。
ただし、この採用を行っているのは全国でもごく一部の地方自治体であり、さらに求人を出す場合も採用人数は若干名といったことがほとんどです。
倍率はおよそ数十倍程度と非常に高くなるようです。
いずれにしても公務員として正規雇用で働ける司書は、生活や待遇が最も安定しているといわれています。
非常勤の司書
司書として働いている人のなかには、非正規雇用や非常勤の人もたくさんいます。
ここでは、どのような働き方があるのか見てみましょう。
嘱託職員
市役所や公立図書館、公立病院等の公的機関には嘱託職員として勤務している人がいます。
嘱託職員の「嘱託」とは、正規に雇用しないで(いわゆる「正社員」としてではなく)、ある業務に従事するよう依頼する、という意味です。
司書の場合も、図書館で非正規雇用として働いている嘱託職員がいます。
臨時職員
臨時職員というのはその名の通り「臨時」で雇われた職員のことで、「地方公務員法」第22条に規定され、採用期間が6ヶ月未満(契約を更新しても最長1年未満)という短期就労となります。
公立図書館での司書のアルバイトは、「臨時職員」という呼称で募集がかけられる場合があるため注意が必要です。
ある都道府県の市立図書館における臨時職員募集の例を挙げると、採用人数は「若干名」、応募条件は「司書資格」を持っていること、勤務曜日は「土・日曜日を含む週5日」と書かれています。
勤務時間に関しては「8:30~17:15」あるいは「10:45~19:30」という2パターンで、時給は「860円」です。
このほか、年2回の期末手当の支給や、交通費も上限つきで請求できる場合があります。
派遣の職員
図書館で働く司書のなかには「派遣」の形で働いている人もいます。
派遣の司書の仕事内容は、派遣先となる図書館によって多少異なりますが、メインとなるのは本の貸出や返却といったカウンターでの受付業務です。
そのほか、返却された本を棚に戻して整理したり、指示された通りに新しい本を購入したり、館内の巡回や清掃、あるいはデータ入力や書類作成といった事務作業を行うこともあります。
また、司書としての経験豊富な人の場合、さらに専門的な業務を任されることもあります。
派遣の司書の勤務先は、さまざまな図書館のなかでも大学の図書館が中心です。
司書資格は司書として働くうえで絶対に必要なわけではありませんが、持っていると有利になることがあり、さらに案件によっては必須の場合もあります。
派遣として司書業務に携わりたい場合は、まず派遣会社に登録をするところからスタートします。
司書の経験の有無、希望の勤務条件、その他のスキル(語学力、PCスキル)などを派遣会社に伝え、司書として働きたいことを伝えておきます。
司書の求人募集が出た際に条件が合えば、案件を紹介してもらうことができます。
しかし、求人数自体が決して多くないため、もし求人が出た際にはかなりの高倍率になることを覚えておきましょう。
アルバイト・パートの司書
最近では、公立図書館でもサービスが多様化しており、夜遅くまで開館しているところが増えつつあるようです。
また、大学に併設されている図書館では、以前から学校の授業や部活動後に図書館で勉強する学生のニーズに応えるべく、夕方から夜にかけて図書サービスを提供するアルバイトやパートの司書を募集しています。
たとえば、東京のある私立大学では司書資格の有無を問わず、週に3日、17:00~22:15(休憩なし)の時間帯で勤務できる人を探していました。
時給1,000円に夜間手当がつき、交通費も上限はありますが実費支給です。
なお、これは大学図書館から業務委託を受けている企業が出した求人です。
もし、あなたが大学生、あるいはこれから大学に進学しようとしていて図書館の仕事に興味があるのであれば、所属している(または、入学予定の)大学でも司書のアルバイトを募集しているかもしれません。
学生課などに問い合わせてみるとよいでしょう。
フリーランスの司書
司書としての就職を目指す人のなかには「いずれは独立したい」とか「フリーランスとして働いてみたい」と考える人もいるかもしれません。
しかし、現実的には、司書はフリーランスで働くことが難しい仕事です。
世間には、ライターやデザイナー、編集者のようにフリーランスで活動することが珍しくない職業もたくさんありますが、どちらかというとクリエイティブな業種に集中しています。
組織に頼らずとも自分のセンスやアイディア、人脈などを武器に仕事ができるからこそ実現することなのかもしれません。
一方で、司書の場合は公立図書館や学校図書館などに所属して事務作業をするのがメインになるので、個人での活動は難しいのが現状です。
どこかに就職して働くことになるでしょう。
副業・在宅の司書
副業は可能
それでは、司書は副業や在宅で仕事をすることは可能なのでしょうか?
これに関しては、まず、副業として働くことはできるようです。
アルバイト・パートとしての司書の求人は一年中出ているわけではありませんが、図書館はさまざまな場所にありますから、こまめに情報をチェックしていれば見つかるはずです。
副業の場合、週に1~2日程度で短時間の勤務が中心になると考えられますが、どのような条件で働けるかは図書館によって異なります。
実際に家庭を持っている主婦が、パートとして司書業務に就いている姿もよく見られます。
司書は体力を要する仕事ではなく、正社員でなければさほど難しいことも普通は任されないため、副業にしやすいといえるのでしょう。
在宅は困難
在宅勤務で司書として働くのは現実的には難しいと言わざるを得ないでしょう。
図書館のIT化が進み、本の整理などの作業にコンピュータが導入されるようになったとはいえ、まだまだ現場での手作業が多いのが司書の仕事です。
本の貸出や返却業務はカウンターにいなければできませんし、新着本を整理したり傷んだ本を修繕したりする作業も実際に本を手に取らなければできないからです。
もちろん、これからの時代の進化とともに、いずれは司書が在宅でできる作業は増えていくかもしれません。
司書を目指せる年齢は?
司書を目指すうえで年齢制限はありません。
ただし、司書になるための司書講習を受けるうえでは
・「大学に2年以上在学(短大卒業者含む)し、62単位以上を修得しているか又は高等専門学校を卒業していること」
あるいは
・「2年以上司書補(国立国会図書館又は大学若しくは高等専門学校の附属図書館の職員で司書補に相当するものも含む)として勤務した経験があるもの」という条件があるので、高校生がこの資格を目指せるわけではありません。
また、基本的に年齢の上限もありませんが、資格自体は取得できたとしても、採用試験の際に年齢が問われることがあるので注意が必要です。