司書になるには?年齢制限や働きながら目指せるかどうかも解説
図書館では司書資格がなくても働くことができますが、司書の資格を取ることで、より専門的な業務ができるようになります。
ここでは、司書になるための方法を中心に、司書の年齢制限、働きながら目指せるかどうかといった点についても紹介します。
司書になるには
図書館職員として働くうえで「司書」の資格が絶対必要というわけではありません。
ですが、実際には図書館の職員募集では「司書の資格を取得していること」が条件のひとつに掲げられているケースが非常に多いです。
そのため、図書館で働きたいと考える人は、司書の資格取得を目指すことを考えるとよいでしょう。
司書の資格を取るためには3つの方法があります。
資格取得方法1.大学などで司書養成科目を履修する
司書資格を取るひとつめの方法は、大学や短期大学在学中に「司書養成科目」の単位を修得して資格を取得する方法です。
大学や短大卒の学歴(学士号)を取得したうえで、司書の資格取得もできるだけ早く取りたいと考えている人におすすめです。
このルートで司書を目指す場合は、「図書館学」に関連する科目を開講している学校に進学するようにしましょう。
資格取得方法2.学校卒業後に「司書講習」を受ける
次に、大学や短大、高等専門学校を卒業した後で、「司書講習」を受講して資格を取得する方法があります。
「司書講習」とは、図書の専門業務に携わるために必要な知識・技術を身につける講習会のことです。
ただ、司書講習は文部科学大臣の委嘱を受けた大学でしか行われておらず、全国的にも数が限られています。
講習は、だいたい毎年7月~9月にかけて実施されるため、文部科学省のページなどで詳細を確認しておきましょう。
資格取得方法3.司書補からステップアップ
3つめの司書資格の取得方法は「司書補」からステップアップすることです。
司書補とは、司書を補佐する役割の図書館専門職で、司書と同じように貸出・返却業務やレファレンスサービスなどの業務に携わります。
司書補になるためには「司書補講習」を受ける必要があります。
この講習を受けられるのは「大学に入学することのできる者」となっているため、高校卒業と同等の学歴がある人が対象となります。
司書補の資格を取り、図書館で3年以上の勤務実績を積めば司書講習を受講できます。
司書講習修了後には、司書の資格を得ることが可能です。
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司書の資格・難易度
司書の資格は、司書養成科目の単位を修得することや、司書講習を受講する既定のカリキュラムを受けることで取得が可能です。
修了の際に筆記試験や面接などが行われるわけではないため、努力さえすれば誰もが手にすることができる資格といえるでしょう。
ただし、司書の養成カリキュラムは科目数が多いことで知られています。
大学生の場合は自分の専門である必修授業と平行して受講しなければいけないため、入学当初から履修している科目は確実に単位を取れるよう、日々の努力が求められます。
司書になるための学校の種類
司書になるための専門的な知識を学ぶことができる学校はたくさんあります。
文部科学省によると、令和6年度4月1日現在「司書養成科目」を開講している大学・短大は全国に192大学あります。
4年制大学が152校で、内訳は国立大学が8校、公立大学が5校、私立大学が138校となっています。
短期大学(部)は40校となっており、内訳は公立短期大学が2校、私立短期大学が38校です。
一部の大学では通信課程も設置されています。
司書を目指せる学校は数が多いため、希望する学部や学費、住んでいる地域の事情を踏まえて選ぶとよいでしょう。
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司書に向いている人
司書に向いているのは、やはり「本が好き」な人といえます。
図書館では、小説や評論、科学や歴史に関する専門書、美術書など、さまざまな分野の本を偏りなく扱います。
蔵書を大切に扱い、利用者のニーズに応じて貸出や、レファレンスサービスをするためには、本を愛する気持ちが根底にあることが大切です。
同時に「人が好き」であることも求められます。
司書は利用者とコミュニケーションを取る機会が多く、本と読者の架け橋になる役割を果たすため、親身になって他人の相談を聞くことができるような思いやりのある人が最適です。
司書のキャリアプラン・キャリアパス
司書として働いている人は、非正規雇用であることが珍しくありません。
そもそも正規雇用の求人が少ないため、嘱託職員や臨時職員、アルバイトやパートなどでこの仕事に就く人が少なくないのです。
ですから、非正規で採用された場合にまず目指すのは、正規雇用というケースが多いようです。
正規の地方公務員として公立の図書館に勤めることができれば雇用や待遇が安定します。
司書の雇用形態
司書の雇用形態や勤務先はさまざまです。
行政の採用試験に合格して地方公務員として正規雇用されている人もいれば、嘱託職員や臨時職員、あるいは民間企業が運営する図書館の契約社員として働いている人もいます。
また、学生や主婦をしながら、週に数回だけアルバイトやパートの司書として働くという人も決して少なくありません。
ここでは、雇用形態別の司書の働き方の特徴を紹介します。
正規職員の司書
「行政職」としての採用
司書は、地方公務員として働く人が多いです。
公務員の司書になるにはいくつかの道が考えられますが、ひとつは地方公務員試験の「行政職」の試験を受けて合格し、自治体に採用され、各地域の公立図書館へ配置される形です。
この場合、地方公務員として働くことができますが、行政職である以上、必ずしも図書館に配置されるわけではありません。
異動によって、図書館以外の場所で働くことになる可能性もあります。
なお、国立国会図書館では独自に採用試験を行っており、採用されれば「国会職員」という特別職の国家公務員の立場で働くことができます。
「司書職」としての採用
一部の自治体では、行政職ではなく、「司書職」区分での採用を行うことがあります。
ただし、この採用を行っているのは全国でもごく一部の地方自治体で、さらに求人を出す場合も採用人数は「若干名」といったことがほとんどです。
そのため、倍率はおよそ数十倍程度と非常に高くなることが多いです。
非常勤の司書
嘱託職員
市役所や公立図書館、公立病院等の公的機関には、嘱託職員として勤務している司書がいます。
嘱託職員の「嘱託」とは、正規に雇用しないで(いわゆる「正社員」としてではなく)、ある業務に従事するよう依頼するという意味があります。
嘱託職員としての求人が出るかどうかは、図書館によって異なります。
臨時職員
臨時職員というのはその名の通り「臨時」で雇われた職員のことで、「地方公務員法」第22条に規定され、採用期間が6ヶ月未満(契約を更新しても最長1年未満)という短期就労となります。
公立図書館での司書のアルバイトは、「臨時職員」という呼称で募集がかけられることがあります。
ある都道府県の市立図書館における臨時職員募集の例を挙げると、採用人数は「若干名」、応募条件は「司書資格」を持っていること、勤務曜日は「土・日曜日を含む週5日」とあります。
勤務時間に関しては「8:30~17:15」あるいは「10:45~19:30」という2パターンです。
時給は、地域にもよりますが900円~1,100円程度で、このほか年2回の期末手当の支給や、交通費も上限つきで請求できる場合があります。
派遣の職員
図書館で働く司書のなかには「派遣」の形で働いている人もいます。
派遣の司書の仕事内容は、派遣先となる図書館によって多少異なりますが、メインとなるのは本の貸出や返却といったカウンターでの受付業務です。
そのほか、返却された本を棚に戻して整理したり、指示された通りに新しい本を購入したり、館内の巡回や清掃、あるいはデータ入力や書類作成といった事務作業を行うこともあります。
また、司書としての経験豊富な人の場合、さらに専門的な業務を任されることもあります。
派遣の司書の勤務先は、さまざまな図書館のなかでも大学の図書館が中心です。
ただ、求人数自体が決して多くないため、もし求人が出た際にはかなりの高倍率になることを覚えておきましょう。
アルバイト・パートの司書
最近では、公立図書館でもサービスが多様化しており、夜遅くまで開館しているところが増えつつあるようです。
また、大学に併設されている図書館では、以前から学校の授業や部活動後に図書館で勉強する学生のニーズに応えるべく、夕方から夜にかけて図書サービスを提供するアルバイトやパートの司書を募集しています。
たとえば、東京のある私立大学では司書資格の有無を問わず、週に3日、17:00~22:15(休憩なし)の時間帯で勤務できる人を募集していました。
なお、これは大学図書館から業務委託を受けている企業が出した求人です。
もし、あなたが大学生、あるいはこれから大学に進学しようとしていて図書館の仕事に興味があるのであれば、所属している(または、入学予定の)大学でも司書のアルバイトを募集しているかもしれません。
学生課などに問い合わせてみるとよいでしょう。
司書を目指せる年齢は?働きながらも目指せる?
司書を目指すうえで年齢制限はありません。
ただし、司書になるための司書講習を受けるうえでは、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 大学に2年以上在学(短大卒業者含む)し、62単位以上を修得しているか又は高等専門学校を卒業していること
- 2年以上司書補(国立国会図書館又は大学若しくは高等専門学校の附属図書館の職員で司書補に相当するものも含む)として勤務した経験があること
上記のことから、高校生がこの資格を目指せるわけではありません。
また、基本的に年齢の上限もなく、社会人が働きながらでも司書を目指すことは可能です。
ただし、資格自体は取得できたとしても、採用試験の際に年齢が問われることがあるため、注意が必要です。
「司書になるには」まとめ
図書館の職員として働くために、資格は必須ではありません。
ただし、司書は求人が非常に少なく、司書資格がある人が優先的に採用されることも多いため、どうしても図書館で働きたい場合は資格取得を目指すに越したことはないでしょう。
司書資格を取る方法は複数あるため、進学先とあわせて、自分にとって最適なルートを決定してください。