社会人から臨床心理士になるには
社会人から臨床心理士を目指すルートは?
学歴によって異なるルート
社会人として働いている人が「臨床心理士になりたい」と思った場合、学歴や職歴によってどうすればよいか異なります。
まずは学歴による違いについて。
臨床心理士として働くためには、資格試験に合格しなければいけません。
この資格は民間資格であるものの、誰でも受験できるものではありません。
受験資格を得るためには「日本臨床心理士資格認定協会」の指定大学院や専門職大学院を修了する必要があります。
ですから、高卒で社会人をしている人が臨床心理士を目指すなら、まずは大学に進学し、その後に大学院を修了して受験資格を得ましょう。
大卒で社会人をしている人が臨床心理士を目指すなら、大学院を修了して受験資格を得る必要があります。
すでに指定大学院や専門職大学院を修了している社会人の場合は、受験資格を持っています。
資格試験に合格すれば臨床心理士として働けるようになるでしょう。
職歴によって異なるルート
次に職歴による違いを見てみましょう。
臨床心理士は、クライエントの心の問題を解決に導くという責任重大な仕事をしています。
そのため、現場での経験や実績を重視して採用するのが一般的です。
たとえ臨床心理士の資格を所持している社会人でも、これまで別の業界・業種で働いていた場合は転職先を探すのは難しいでしょう。
まずはパートや契約社員などの非常勤勤務の求人に応募して、少しずつ地道に経験を積むことが大切です。
現場で働きながらスキルアップに励み、業界内での信用度を向上させていく必要があります。
20代で正社員への就職・転職
働きながら臨床心理士の資格は取れる?
社会人として働きながら臨床心理士を目指すとき、必ずしも仕事を辞めなければいけないわけではありません。
まず、大学院への受験ですが、近年では社会人経験のある人を対象とした「社会人入試」を実施する大学院があります。
そこでは一般入試よりも英語の比重が低くなっていたり、面接を重視する傾向があったりします。
現役の大学生と同じ基準で選ばれるのではなく、社会人ならではの経験や人間性を見たうえで選ぶというわけです。
社会人から大学院を目指すのであれば、このような入試を活用しましょう。
もちろん、大学院の入試なのですから難関であることは間違いありません。
心理学に関する基礎知識を問うテストもありますし、研究計画書の提出も求められます。
合格を目指そうとなれば専門的な受験勉強が必要でしょう。
働きながら独学で勉強することもできますが、仕事帰りや土日に予備校に通って受験対策をする人もいます。
社会人から臨床心理士になる人は多い?
社会人として働きながら大学院を目指す人におすすめなのが、通信制や夜間のコースがある大学院です。
通信では放送大学の指定大学院、夜間開講では日本福祉大学の指定大学院があります。
なお、指定大学院には1種と2種があり、2種の場合は2年間学んだのちに最低1年間の実務経験が必要となります。
その後、臨床心理士の資格試験を受験することが可能になります。
通信制や夜間コースのある大学院は数が少なく倍率が高いため、入学するためには入念な受験対策が必要です。
また、いざ勉強を始めてみると、仕事と勉強の両立が予想以上に難しかったという声も聞かれます。
臨床心理士の勉強では、用語や技法など、さまざまな専門知識を学んでいかなくてはなりません。
その時間が確保できるのかをよく考えておいたほうがよいでしょう。
社会人として働きながら臨床心理士を目指す人は少数派ですが、努力をすれば夢を実現させることができます。
20代で正社員への就職・転職
社会人経験が臨床心理士の仕事にプラスになることはある?
臨床心理士の資格試験を受けるにあたっては、指定大学院や専門職大学院を修了している必要があります。
しかし、例外として、社会人経験がそのまま受験資格につながるケースがあります。
それは「医師免許取得者で、取得後2年以上の心理臨床経験を有する」ケースです。
ここでいう「心理臨床経験」とは、教育相談機関や病院、心理相談機関などで心理臨床に携わった経験のことを指します。
つまり、すでに医師として2年以上患者の心のケアの仕事をしたことがある人は、臨床心理士の資格試験を受けることができるのです。
医師と臨床心理士は別の職業ではありますが、人間の心身の不調と向き合う仕事として通ずる部分があるのでしょう。
医師として働いている人は、その知識や経験を臨床心理士の仕事に生かして活躍することができます。