ネイリストの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「ネイリスト」とは
お客さまの爪をきれいに整え、マニキュアやラインストーンで美しい装飾を施す。
ネイリストは、「ネイルケア」や「ネイルアート」などの施術を通して、お客さまの爪と手を美しくする仕事をします。
ネイルケアでは、爪の形を整えたり、爪磨き、甘皮処理などを行います。
ネイルアートは、つけ爪や爪にカラーやストーンなどの装飾をすることをいい、ジェルやスカルプチャなど、さまざまな手法があります。
ネイリストとして働くために必要の資格はありませんが、ネイリストの専門学校やスクールなどで知識や技術を習得し、ネイリストの資格試験に合格していれば、就職に有利になることが多いです。
おもな活躍の場はネイルサロンを中心に、一部の美容室やエステサロン、ブライダルサロンなどです。
こうしたサロンで正社員やアルバイトなどの形で働くほか、技術を身につけ、支持してくれるお客さまが増えれば独立することも可能です。
ただ、一人前になるまでには時間がかかり、未経験者の場合、見習いやアシスタントからのスタートになることも少なくありません。
「ネイリスト」の仕事紹介
ネイリストの仕事内容
お客さまの爪や手を美しく見せるための施術をする
ネイリストの仕事は、お客さまの爪の手入れをしたり、爪にデザインを施したりすることです。
ネイリストの施術内容は、甘皮処理などを行う「ネイルケア」、爪にマニュキュアを塗る「カラーリング」、爪にデザインを施す「ネイルアート」、傷んだ爪の補修や修復をする「リペアー」などがあります。
ブラシやニッパーなど専用の道具を使い、爪の形を整えたり甘皮の処理をしたりして、お客さまの爪を美しく仕上げます。
ネイルアートではカラーをするだけでなく、ラインストーンやアクリル樹脂などを用い、お客さまの好みに応じたデザインを創り上げるセンスが必要です。
サービス業としての側面も
ネイリストは、サービス業の一種といえる職業です。
そのため、お客さまに心地よい時間を提供するためのホスピタリティやサービスのスキルなども求められます。
また、お客さまの「こんなネイルにしたい!」という理想のイメージを、施術前のカウンセリングや、施術中のちょっとした会話の中からくみ取る力も大切です。
人気のあるネイリストは、単に技術力があるだけでなく、高いコミュニケーションスキルを備えています。
ネイリストになるには
ネイリスト養成学校やスクールで学習後に就職する人が多い
ネイリストは、美容師のように特別な免許が必要な職業ではありません。
なるための方法も決まりきっておらず、なかにはまったくの未経験から、アルバイトやアシスタントとしてネイルサロンで働き始める人もいます。
ただし、ネイリストとしてお客さまへ施術するためには、ネイルに関する知識や技術、衛生管理などに関する理解が不可欠です。
そのため、まずはネイリストとして確かな知識・スキルを身につけるために、ネイリスト養成学校やスクールへ進学し、卒業後にサロンへ就職するのが一般的なルートとなっています。
もし未経験でサロンに入る場合は、しばらくは雑用や先輩ネイリストの補佐から業務を覚え、自主的に練習を重ねていくことになるでしょう。
学歴は年齢は関係なく目指せる
ネイリストを目指すうえで、学歴や年齢はほとんど重視されません。
ネイリストの養成学校は10代や20代で通う人のほか、30代以上で入学する人もいます。
ネイリストは、実力があれば独立して働くこともできる仕事のため、社会人経験のある人が手に職をつけたいと、ネイリストへの転身を目指すケースも増えているといわれます。
もちろん、一人前になるまでには十分な勉強と練習が必要ですが、熱意さえあれば、いつからでもネイリストを目指すチャンスはあります。
ネイリストの学校・学費
専門学校から通信講座まで選択肢はさまざま
ネイリストになるために、必ずしもネイルの専門学校やスクールに通わなければいけないわけではありません。
ただ、ネイリスト養成を目的とした専門学校やスクールで学べば、効率的に知識・技術を習得できますし、就職時にも有利になると考えられます。
ネイリストの学校・スクールは、週に5日、2年ほどかけて通う美容系の専門学校から、週に2~3日程度の授業を短期間だけ受講する民間のスクールなどがあります。
専門学校の学費相場は年間で100万円ほど、スクールは数万円~数十万円ほどで、まちまちです。
通信教育で費用を抑えて学ぶこともできますが、自宅での勉強中心になるため、講師から対面で実技面の指導を受けにくいのはデメリットといえるでしょう。
ネイリストの資格・試験の難易度
有名な資格を取得すると就職で有利になる場合も
ネイリストとして働くために、必須の資格はありません。
したがって、未経験から現場で経験を積んで一人前のネイリストを目指せる可能性はありますが、現実的には、即戦力になれるネイリストを募集するサロンも多いです。
ネイリストの業務に関連する資格はいくつかあるので、それらを取得しておけば知識や技術力のアピールにつながります。
以下で紹介するのは、とくに有名なネイリストの資格です。
JNECネイリスト技能検定
ネイリストに関する資格で最も歴史が古く、認知度が高いといわれるものが「JNECネイリスト技能検定」です。
レベルのやさしいほうから「3級」「2級」「1級」の3段階に分かれており、1級や2級の合格率は50%以下です。
ネイルサロンで即戦力として働くためには「2級以上」の資格を求められるケースが多いため、ネイリストの養成学校に通って2級、できれば1級まで取得して、就職を目指すとよいでしょう。
ネイルスペシャリスト技能検定試験
ネイルスペシャリスト技能検定試験は、ネイリストとして一定以上の知識やスキルを習得していることを認定する資格です。
レベルは「A級」「SA級」「PA/AA/AAA級」に分かれており、A級やSA級は初心者や学生を対象にしているため、就職前に受験しておくのもよいでしょう。
ネイリストの給料・年収
勤務先によって収入に差が出やすい
ネイリストの年収は、300万円前後が平均的といわれています。
もちろん、実際の給料は勤務先や雇用形態、経験、実力などによっても異なります。
ベテランネイリストになり、副店長や店長へステップアップすれば年収500万円以上を得ている人がいる一方、新人ネイリストの収入は低くなりがちです。
とくにアシスタント時代は「下積み期間」とみなされることから、勤務先によってはアルバイトからのスタートになり、あまりよい給料がもらえない場合もあります。
また、ネイリストの勤務先は、企業が運営する大手サロンから、個人経営の小規模サロンまでさまざまです。
ボーナスの支給有無、福利厚生なども勤務先によって異なるため、人によって収入には大きな差が出ているのが実情です。
歩合給を採用しているサロンでは、指名数や施術数によって毎月の収入が変動します。
独立して収入アップする人も
ネイリストは、サロンなどに社員として勤務する人だけでなく、独立して働く人もいます。
未経験からいきなりフリーランスになるのは厳しいですが、サロンで何年か経験を積み、施術の流れを覚えて技術力を身につけると、独立する人も出てきます。
たくさんのお客さまがつけばサロン勤務の人よりも多くの収入を手にできる可能性がありますが、安定して高収入を得ていくのは簡単ではありません。
自らサロンを開業し、運営する場合には、経営者としての手腕も問われます。
関連記事ネイリストの年収・給料はいくら? 初任給や独立後の年収も解説
ネイリストの現状と将来性・今後の見通し
活躍の場は広がっているが、競争も厳しい
ネイルアートの人気は根強く、ネイルサロンの数もネイリストの求人も増えています。
一方、ネイル業界では競争が厳しくなっているため、今後は個々のネイリストの技術や個性がますます重視されるでしょう。
ネイリストのお客さまになるのは若い女性だけと思われがちですが、近年は男性でも身だしなみの一環として爪のお手入れをしたいと考える人が増えていますし、高齢者を相手にしたネイルケアのニーズも高まっています。
男性客向けのサロンで働いたり、高齢者施設に入所中の高齢者にボランティアでケアを実施したりするネイリストもおり、以前よりも活躍の場は広がっています。
「技術力」と「サービス力」の両方が求められる職業であるため、ネイリストになってからも努力を続け、自分を高め続けることができれば、多方面で活躍できるでしょう。
ネイリストの就職先・活躍の場
ネイルサロンや美容系サロンを中心に活躍
ネイリストのおもな活躍の場は、ネイルサロンです。
ネイルケアの専門サロンのほか、セレブが多く訪れる高級なサロン、若者をターゲットとしたカジュアルサロンなど、さまざまなサロンでネイリストが活躍しています。
また、すべての店舗ではありませんが、美容室やエステサロン、ブライダルサロンなどでもネイリストの需要があります。
近年はトータルサロンの人気も高まっており、ネイリストとしてのサービスに加え、エステやマッサージなどの施術をあわせて行う人もいます。
一方、サロンなどの店舗には所属せず、フリーランスとして個人で活動する人も少なくありません。
その場合には、芸能人などの専属ネイリストになったり、メディアの撮影やイベント時などに出張ネイルを行ったりすることもあります。
ネイリストとしての活動と、ネイルスクールの講師業を兼務しているような人もいます。
ネイリストの1日
勤務先や働き方によって1日の過ごし方は異なる
ネイリストは、ネイルサロン勤務、フリーランス、ネイルスクールの講師など、さまざまな活躍の仕方があります。
また、ネイルサロン勤務であっても、働くサロンや雇用形態により、1日のスケジュールは異なります。
ここでは大手ネイルサロンで働く正社員ネイリストの、早番シフトのある1日を紹介します。
関連記事ネイリストの1日のスケジュール・勤務時間や休日についても解説
ネイリストのやりがい、楽しさ
自分の技術でお客さまの手や爪を美しくできる
ネイリストが喜びを感じる瞬間は、やはりお客さまが喜んでくれたときです。
自分の技術で「もっとキレイになりたい」と願う女性の気持ちに応えていくのは、とてもやりがいがあります。
また、技術力のあるネイリストは、より多くの収入を手にできたり、独立してフリーランスになったり自分のサロンを出したりすることも可能です。
一方、アルバイトやパートなど、ライフスタイルに合わせて限られた時間だけ働くこともできます。
多様な働き方があり、頑張った分だけ活躍のチャンスが増えることも、この仕事の魅力といえるでしょう。
ネイリストのつらいこと、大変なこと
一人前になるまでは見習いとしての勉強や練習が必要
ネイリストは、一人前になるまでに時間がかかる仕事です。
サロンによっては見習い期間が存在することがあり、この時期は雑用中心の業務だったり、練習のために睡眠時間を削ったり、収入が低かったりと、厳しい側面もあるかもしれません。
華々しく活躍したいと思っていても、しっかりとした知識や技術を身につけることは一朝一夕ではできません。
また、いざ一人前のネイリストになってからも、すべてのお客さまに心から満足していただける施術を提供する難しさを感じることになるでしょう。
よいネイリストになるためには、日々努力と勉強を続けなくてはなりません。
ネイリストに向いている人・適性
ネイルが好きで、技術を磨き続けられる人
ネイリストは「手先が器用」であるに越したことはありません。
しかし、それ以上に大切なのは、ネイルのことが大好きで、新しいネイルの技術を突き詰めようとする気持ちです。
ネイルの技術は日々進化し、流行も変わり続けます。
そのため、トレンドや業界情報にアンテナを張って研究を重ねたり、より魅力的なデザインが施せるように練習し続けたりできる人は、ネイリストの適性があるといえます。
また、ネイリストは接客業の一種でもあり、仕事では高いコミュニケーション能力も求められるため、人と会話することが好きで、それを楽しめる人に向いています。
関連記事ネイリストに向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
ネイリスト志望動機・目指すきっかけ
ネイルを通じてお客さまに笑顔や感動を与えたい
ネイリストを目指す人は、自分自身が「ネイルが大好き」「よくネイルアートをしている」ことがほとんどです。
もともと美容やファッションへの興味関心が強く、それらに関連する職業をイメージしていくなかで、ネイリストになろうと決める人も多いです。
ただし、ネイリストは自分がネイルを楽しむだけではなく、お客さまにネイルのサービスを提供する仕事です。
この仕事を目指すときには、「ネイルを通じてお客さまをキレイにしたい」という強い思いを持てるかどうかが大切です。
憧れのネイリスト像を具体的にイメージできると、志望動機がよりリアルになっていくかもしれません。
関連記事ネイリストの志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?
ネイリストの雇用形態・働き方
正社員やアルバイト、フリーランス、独立開業など
ネイリストは、さまざまな働き方ができる職業です。
ネイルサロンに雇われて正社員や契約社員、アルバイト・パートとして働く人もいますし、派遣会社に登録して働く派遣のネイリストもいます。
また、ある程度の経験を積むと、独立してフリーランスとして活動する人や、自分のサロンを開業し、経営にまで携わる人もいます。
ネイルの施術には大きなスペースや高額な設備投資は必要ないため、独立して小さく事業をスタートすることもできます。
なかには他の仕事を持ちながら副業でネイリストとして働く人もおり、自身のライフスタイルに合わせて働き方の選択が可能です。
ネイリストの勤務時間・休日・生活
店舗の営業時間や定休日にあわせて働く
ネイルサロンで働くネイリストの勤務時間は、お店の営業時間によって決まります。
繁華街にあるサロンは夜遅い時間まで営業していることもあり、その場合には「早番」「遅番」というようなシフト制をとり、スタッフが交替で働くケースが多いです。
一方「完全予約制」を敷いている小さなサロンでは、お客さまの予約状況に合わせて勤務時間が変わることがあります。
ネイリスト休日はお店の定休日、また年中無休のサロンの場合は、曜日問わず週1~2日ほどの休みになるでしょう。
土日祝日は多くのお客さまが利用するため出勤となり、平日に休みをとるケースが多いです。
独立して働くネイリストであれば、勤務時間や休日は自分で決められます。
ネイリストの求人・就職状況・需要
自分のスキルや希望に合った求人を探しやすい
若者を中心にネイルアートに対する関心は高まっていることから、ネイルサロンの数は年々増加傾向です。
それにともなってネイリストの需要も拡大していますが、その分、競争は厳しくなっているのが実情です。
求人は多く出回っているものの、サロンによっては経験や実績があり、資格を持っているネイリストのみを募集するケースも増えています。
ただし、意欲的であれば、未経験者でも「アシスタント」として、アルバイトなどの形態で働ける求人は見つかるでしょう。
ネイルサロンは都市部に多く集まっていますが、スキルを身につければ日本全国どこでも働けます。
ネイリストの転職状況・未経験採用
未経験者はアシスタントからスタートすることも
ネイリストは、学校を出たばかりの新卒者だけではなく、異業種からの転職によって目指す人も多い職業です。
特別な資格は必要なく、また学歴や年齢もさほど重視されないため、誰でも熱意があればネイリストを目指せます。
また、努力次第で収入アップや独立開業を目指すことができるため、「手に職をつけたい」「いずれはフリーランスで働きたい」と考える人が、ネイリストへの転職を目指すケースも多いです。
未経験者でもすぐに採用される可能性はありますが、その場合の多くは、アシスタントからのスタートで、アルバイトとして雇用されます。
よりよい待遇で働きたいのであれば、先にネイリスト養成スクールで基礎的な技術を学んでおくとよいでしょう。
ネイリストになるために必要な費用
ネイリストになるために必要な費用は、どのような方法でネイルの勉強をするかによって大きく変わってきます。
必須の学歴や資格は存在しないため、ほとんどお金をかけず、見習いやアシスタントとしてサロンに勤め、現場で少しずつ知識と技術を身につけていくことも可能です。
しかし、よりよい条件での就職を目指したかったり、即戦力になれるスキルを身につけたかったりしたら、ネイリストを養成する専門学校やスクールへの進学を検討するほうがよいでしょう。
ネイリストの専門学校は2年制のところが多く、卒業までに200万円ほどは必要です。
学校によっては、実習費や道具代、資格受験費などが別途かかる場合もあります。
スクールや通信講座の学費はまちまちで、数万円から数十万円ほどのものが多いですが、専門学校よりは費用を抑えられるでしょう。
専門学校は高額な学費がかかる一方、理論から技術面まで丁寧に、効率的に指導してもらえるメリットがあります。
社会人として働きながらネイリストになれる?
社会人経験のある人が、働きながらネイリストへの転職を目指すケースは少なくありません。
ただし、その場合はネイリストになるための勉強をする時間をどう確保するかが重要です。
ネイリスト養成を目的とする専門学校やスクールには、夜間コースや休日コースを開講しているところがあります。
そうしたコースであれば平日の夕方以降や週末を使って勉強できますし、一定の知識・技術が身につくタイミングで、思い切ってネイリストとしての転職先を見つけていく方法をとれるでしょう。
ネイリストは、学校やスクールで基礎的な知識や技術を習得し、さらに意欲的であれば、年齢不問で採用するサロンも多いです。
30代以上での転職は体力的に少し厳しいと感じる人もいるようですが、歳を重ねてからも働き続けているネイリストは決して少なくありません。
努力を重ね、さらに社会人として身につけたビジネスマナーや人間性を強みとしてアピールできれば、働きながらでもネイリストとしての転職を成功させられるでしょう。