航空管制官の年収はいくら? 給料についてくわしく解説
仕事の責任が重く、専門性の高い業務に携わることから、給与水準は一般的な国家公務員よりもやや高めに設定されています。
このページでは、そんな航空管制官の給料・年収の特徴を、さまざまなデータをもとに解説しています。
初任給や手当の情報もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
航空管制官の平均年収・給料の統計データ
「航空管制官」は国土交通省に所属する国家公務員で、その給料は「専門行政職俸給表」に基づいて計算されます。
専門行政職俸給表は、国家公務員のなかでも専門性の高い仕事に就く人のためのもので、一般的な国家公務員(行政職)の俸給表と比較すると、やや高めの水準となっています。
航空管制官の平均年収・月収・ボーナス
人事院の「平成4年国家公務員給与等実態調査」によると、航空管制官を含む「専門行政職」の平均給与月額は444,865円です。
平均給与月額は、「俸給(基本給)」349,578円に、「諸手当」の95,287円(地域手当等53,579円、俸給の特別調整額12,017円、扶養手当9,192円、住居手当9,842円、その他10,657円)を加えたものです。
国家公務員全体の平均給与月額は413,064円なので、それと比較して31,000円ほど高いことが特徴です。
なお、国家公務員のボーナスは「期末手当」「勤勉手当」として6月・12月の年2回、合計して俸給等の4.3月分が支給されます。(令和4年4月13日現在)
そこから算出すると、航空管制官の平均ボーナス額は約1,912,919円、平均年収は約7,251,299円と想定されます。
平均年齢:42.5歳
平均経験年数:20.2年
平均給与月額:444,865円
俸給:349,578円
諸手当:95,287円
想定平均ボーナス:1,912,919円
想定平均年収:7,251,299円
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
航空管制官の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
国家公務員も民間企業と同じように、毎月「税金」と「社会保険」が給与から差し引かれます。
上記のデータから航空管制官のおよその手取り金額を算出すると、平均月収が約35万円、平均ボーナス額が153万円、平均年収が約580万円となります。
国税庁の「令和3年民間給与実態統計調査」から算出した民間の平均手取り年収は約350万円なので、一般的な会社員より高い水準といえます。
航空管制官(専門行政職)の経験年数階層別平均俸給額
航空管制官(専門行政職)の俸給額は、経験年数や学歴によっても異なります。
以下の表は、専門行政職の俸給を経験年数・学歴(高卒・大卒)別に表したものです。この俸給額に諸手当が年齢や条件によって2~12万円ほど付与されます。
航空管制官(専門行政職)の級別平均俸給と経験年数
国家公務員の俸給は、各人の「級」によっても異なります。
それぞれの級の平均俸給を示したのが以下の表です。
専門行政職俸給表の適用人数と男女比
専門行政職俸給表の適用人数と男女比をまとめたのが以下の図です。
20代から30代にかけては男女比はそこまで大きな差がありませんが、年代が上がるほど男性の比率が大きくなっています。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
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航空管制官の給料・年収の特徴
専門性の高さ・職務の難易度から俸給は高めに設定
航空管制官を含む国家公務員の給料は、法律に基づいて、人事院が作成する「俸給表」で明確に定められています。
給与水準は民間企業との差が大きくならないように少なくとも年に1回見直されますが、おおむね上場企業クラスの大企業群に近い水準となります。
そのなかでも航空管制官の給料には、一般の行政職職員より2割程度高い「専門行政職俸給表」が適用されます。
航空管制官の仕事は専門性が高く、飛行機の乗員の命に関わるなど大きな責任をともなうため、給与水準が高く設定されていると考えられます。
また、定年まで働いた場合の退職金は2000万円を超えます。
金銭面では余程のことがない限り、安定した生活を送りやすい職種といえるでしょう。
航空管制官の初任給は?研修中の給料はどれくらい?
航空管制官になるための試験「航空管制官採用試験」に合格した人は、そこから航空保安大学校で8か月の基礎研修を受ける必要があります。
「研修」とはいっても、その時点ではすでに国家公務員としての扱いになるため、給料が支払われます。
基礎研修時の初任給は「行政職俸給表(一)」に基づき、地域手当を含めて196,312円となります。(※行政職俸給表(一)1級25号俸(大卒程度)が適用された場合の2023年4月1日の給与例)
その他、住居手当や扶養手当などが別途支給されます。
研修を修了すると空港や航空交通管制部に配属され、正式に航空管制官として働きはじめます。
配属後の給料は「専門行政職俸給表」が適用され、職務の困難性、特殊性に基づき「俸給の調整額」も支給されます。
たとえば東京空港事務所に配属された場合の初任給は、地域手当と調整額を含めて243,000円程度(専門行政職1級)となります。
このほか、期末手当・勤勉手当に加え、業務の従事実績に応じた航空管制手当、夜間特殊業務手当、夜勤手当、休日給が支給されます。
航空管制官の福利厚生の特徴
国家公務員の手当に加えて航空管制官ならではの手当も
航空管制官は、国家公務員としての福利厚生が充実しています。
諸手当は、ほかの国家公務員と同様に、期末・勤勉手当(1年間で俸給等の約4.3月分 ※年度によって異なる)、住居手当(月額最高28,000円)、通勤手当(月額最高55,000円)、扶養手当、地域手当などがあります。
航空管制官にはさらに、業務の従事実績に応じた「航空管制手当」や、「夜間特殊業務手当」なども支給されます。
なお、航空管制官は転勤になることも多いですが、転勤時には「特地勤務手当」「寒冷地手当」「広域異動手当」などの手当が出ます。
家庭生活・プライベートと仕事の両立を助ける制度が充実
休暇制度も充実しており、年次有給休暇は年に20日、そのほかに病気休暇、介護休暇、特別休暇(夏季・結婚・出産・忌引・ボランティアなど)があります。
またワークライフバランス支援制度として、育児休業制度や職場復帰サポート制度などもあり、仕事と家庭生活の両立がしやすい環境となっています。
さらに航空管制官は国土交通省の共済組合が実施する各種制度の利用もできます。
具体的には、病気や負傷時などに給付される健康保険、厚生年金、人間ドックや宿泊施設がお得に利用できる保険制度、緊急に資金が必要になった際の貸付制度、貯金制度などがあります。
20代で正社員への就職・転職
航空管制官が収入を上げるためには?
航空管制官は国家公務員であるため、基本的には勤続年数に比例して給料は上がっていきます。
公務員の給料を定める俸給表は「級」と「号」で構成され、それが上がるにつれて俸給額も上がるしくみになっています。
「級」は一定の期間や勤務成績によって、「号」は基本的には1年に4号ずつ、それぞれ上がります
公務員は長く働き続けるほど収入を上げることができ、航空管制官の場合、20代新卒時の年収は350万円程度ですが、30代に入るころには約450万円にまで増加します。
さらに40代で約700万円、50代後半には約850万円を超える年収となります。
また役職がつけば管理職手当なども支給されるため、年収が1000万円を越えることもあります。