航空管制官になるには
航空管制官になるには
まずは航空管制官採用試験への合格を目指す
国家公務員である航空管制官になるには、いくつかのステップを踏まなければなりません。
まず、大学・短大・高等専門学校などの卒業後、人事院が実施する「航空管制官採用試験」を受け、その試験に合格する必要があります。
最終合格者は、採用候補者名簿に得点順に記載され、その後、採用されることで国家公務員である国土交通省の職員になります。
航空管制官採用試験は人気が高い試験で、平成30年度の倍率は7.6倍となっています。
また、過去には10倍を超えている年もあります。
試験は英語での聞き取りや面接があるため、語学力が必要になるほか、「空間認識力」と「記憶力」も試されます。
採用後は研修を受け、一人前の航空管制官へ
航空管制官として採用されてもすぐに現場で働けるわけではなく、関西国際空港の近くにある「航空保安大学校」で8ヵ月の基礎研修を受ける必要があります。
研修期間中も国家公務員としての採用になるため、行政職俸給表に基づき、月額19万円ほど(大学新卒・職歴がない場合)の給料が支払われるほか、諸手当の支給もあります。
航空保安大学校での研修を終えると、国土交通省の割り当てによって、全国各地の空港や航空交通管制部に配属され、勤務することになります。
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航空管制官の資格・難易度
「航空管制官」という資格はありませんが、航空管制官として採用され、空港などの現場で業務を遂行していくには、さまざまな技能証明が必要になります。
ここでいう技能証明とは、航空管制官が取得しなければならない資格証明のことです。
たとえば「航空無線通信士」の資格は必須となります。
また、空港では大きく分けて飛行場管制とターミナルレーダー管制の2種類の業務がありますが、どちらに配属されてもそれぞれ必要な資格を取得しなくてはなりません。
このような業務上必須となる資格は、航空管制官として採用された後に訓練を受けて取得できるため、事前に何かとっておかなくてはならないものではありません。
このほか、取得必須ではありませんが、航空管制官を目指すうえで役立つ資格としてはTOEICが挙げられます。
航空管制官には英語力が求められるため、TOEIC700点程度を持っていることが望ましいとされています。
航空管制官採用試験でも英語の試験が行われるため、早いうちからTOEICの勉強をしておき、英語力アップに努めておくとよいでしょう。
航空管制官になるための学校の種類
航空管制官採用試験は、21歳未満で大学・短大・高等専門学校を卒業しているか(見込み者含む)、21歳以上30歳未満という年齢の要件を満たしていれば、誰でも受けられるものとなっています。
試験そのものの出来で合否が判断されるため、たとえば短大卒だから不利になるなど、学歴による有利・不利はありません。
しかし、この試験自体が「大学卒業程度レベル」となっており、決して難易度のやさしい試験ではありません。
全体としては4年制大学を卒業し、航空管制官になっている人が多いようです。
受験にあたって学部・学科などの制限はなく、理系・文系どちらの人でも受けることが可能です。
航空管制官が身につけるべき知識・技術は、航空起床や無線工学といった理数系科目に関連するものも、法令や英語などの文系科目に関連するものもあるため、理系・文系のどちらが向いているということも一概にはいえません。
ただし、高校や大学などでどのような勉強をしていくにしても、英語力は必須となります。
航空管制官に向いている人
責任感が強い人
航空管制官は、大勢のお客さまの命を預かるという責任ある役割を担います。
自分が間違った判断をしてしまうことによって大事故になってしまう恐れもあり、ミスが許されない仕事です。
責任感が強く、自分の仕事に使命感を持てる人に向いている仕事だといえます。
「縁の下の力持ち」になれる人
航空管制官は、客室乗務員(CA)やグランドホステスなどと異なり、普段お客さまと直接コミュニケーションをとる機会がほとんどありません。
また、実際に航空機を動かすパイロットを裏でしっかりと支えていくのが航空管制官です。
航空管制官なくして空の安全・安心は守れません。
目立つ存在ではなくても、「縁の下の力持ち」として、自分に任されている仕事をしっかりとやり遂げていけるタイプの人に向いています。
チームワークを大事にできる人
航空管制官は、自分一人だけですべての航空機を管制するわけではありません。
何かトラブルがあった際には、他の管制官と一致団結して解決しなければならないこともありますし、普段から積極的に声かけをすることはトラブルを防ぐことにもつながります。
チームワークを大事に、協調性をもって行動できる人に適しているといえます。
航空管制官のキャリアプラン・キャリアパス
多数の乗客を乗せた航空機を誘導する航空管制官の仕事では、絶対にミスが許されません。
そのため、基礎研修を終えて空港などの現場へ配属された後は、まず「訓練生」として取り扱う機械の扱い方や専門知識を身につけるとともに、的確な判断力と仕事に必要な精神力などを養っていきます。
この実地訓練は数ヵ月から数年にもおよぶこともあり、これを乗り越えてようやく一人前の航空管制官として任命されます。
また、国家公務員である航空管制官は全国各地への転勤があります。
早ければ2~3年程度で転勤になることもあり、勤務地が変わるたびに、必要な業務資格を新たに取得しなくてはなりません。
したがって、別の勤務地に移ればどんなに経験を積んだベテラン航空管制官でも、一定期間の訓練を受け、内部試験に合格する必要があります。
航空管制官は、働き続ける限りずっとスキルアップが必要な仕事です。
航空管制官を目指せる年齢は?
航空管制官採用試験では、「21歳以上30歳未満」の年齢制限があります。
したがって、30歳を迎えてしまうと航空管制官になることはできません。
上記の年齢要件を満たしていれば何歳でも受験が可能ですし、合否はあくまでも航空管制官採用試験の出来によって決定されるため、年齢が30歳に近づくほど不利になるといったこともありません。
実際、一度は不合格になった人が、年齢制限いっぱいまで再チャレンジを繰り返して合格になったケースもあるようです。
なお、航空管制官採用試験では第2次試験後に身体検査が行われ、健康状態の確認が行われます。
採用されるためには、日頃から健康状態にも気を付けておく必要があります。
航空管制官は高卒から目指せる?
航空管制官採用試験は、21歳以上30歳未満の人か、21歳未満で大学・短大・高等専門学校を卒業した人が受験できるものとなっています。
このほか、日本国籍を有していることなどの要件がありますが、それらを満たしていれば基本的に学歴関係なく受けることができます。
ただし、航空管制官採用試験は大学卒業レベルの難易度となっており、公務員として基礎的な能力試験(文章理解、数的推理など)や外国語(英語)の試験なども行われます。
誰もが簡単に合格できるような試験とはいえません。
大学で学びながら、公務員試験を受験する人向けの民間の資格スクールなどにダブルスクールで通い、航空管制官採用試験の対策をしている人もいるようです。
高卒の人が合格を目指す場合にも、しっかりとした計画と試験対策が必要になるといえます。
航空管制官は女性でもなれる?
航空管制官になる女性は、年々増えているようです。
最近では航空管制官採用試験の最終合格者の半数近くが女性という年度もあり、女性の航空管制官の姿を見られる機会は増えています。
もちろん、採用試験において性別による有利・不利はありませんし、業務内容の違いもありません。
航空管制官は専門性の高い仕事ですが、女性も習得した専門知識・スキルを発揮しながらバリバリと第一線で活躍することが可能です。
なお、最近では航空管制官をはじめとする国家公務員の女性が長く働き続けられるよう、待遇・福利厚生などに関するさまざまな制度が整えられています。
結婚・出産後に育児休暇などを経て職場復帰をする女性の航空管制官も多数おり、長く働きながらキャリアアップも目指せます。