航空管制官の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「航空管制官」とは

航空管制官の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

地上から航空機へ安全な飛行ルートや気象情報に関する指示を出し、空の交通整理を行う。

航空管制官は、航空機が安全に離着陸し、目的地に向かって空を飛ぶための指示や情報をパイロットに伝える仕事です。

地上の管制塔でレーダーや無線を用って刻々と変わる状況を把握し、事故が起こらないように細心の注意を払って航空機のパイロットに指示を与えます。

航空管制官になるには、国土交通省が行う航空管制官採用試験に合格することが必要です。

採用後は全国の空港と札幌・東京・福岡・那覇にある航空交通管制部に勤務します。

身分は国土交通省に所属する国家公務員となり、転勤もあります。

公務員なので待遇は安定している一方、勤務地によっては24時間体制となるため、夜勤を含めたシフト制での勤務となることもあります。

「航空管制官」の仕事紹介

航空管制官の仕事内容

地上の管制塔で空の交通整理を行う仕事

航空管制官は、航空機が安全に離着陸し、他の航空機にぶつからずに正しく空を飛べるように、指示や情報をパイロットに伝える仕事です。

地上の管制塔やレーダー室に入り、無線やレーダーを用いて刻々と変わる航空機の状況を把握し、事故が起こらないように細心の注意を払って航空機に指示を与えます。

急な天候変化などの場合にも、管制官はフライト中のパイロットに連絡をし、高度や進路などに関する具体的な指示や許可を出していきます。

一人の管制官がいくつもの航空機に次々と指示を出していくため、業務中は緊張感が続きます。

航空管制官の役割

航空機は、航空管制官の指示なしには離陸も着陸もできません。

次々と航空機が離着陸する空港にて、その全体像をきちんと把握し、動く順番を正しく決めていくのは航空管制官の役割です。

実際に航空機を操縦するのはパイロットですが、航空管制官はその心臓部分として、大勢の乗客やスタッフの命を預かる重大な役目を担っています。

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航空管制官になるには

航空管制官採用試験への合格が必須

国家公務員である航空管制官になるためには、いくつかのステップを踏む必要があります。

まずは、大学・短大・高等専門学校などの卒業後、人事院が実施する「航空管制官採用試験」を受験します。

この試験は21歳未満で大学・短大・高等専門学校を卒業しているか(見込み者含む)、21歳以上30歳未満という年齢の要件を満たしていれば受験可能です。

学歴要件は緩いですが、試験そのものは大卒レベルであることから、4年制大学から受験する人が多数を占めます。

試験に合格して採用されると国土交通省の職員となり、その後は航空保安大学校へ入学し、1年間の基礎研修を受けることになります。

長期間の訓練を重ねる必要があるため、根気と強い精神力が求められます。

配属後は業務を重ねてステップアップ

研修を終えると、各地の空港もしくは航空交通管制部に航空管制官として配属されます。

航空管制官は転勤が多く、早ければ2~3年ほどで別の勤務地に移ります。

転勤後は、そのたびに訓練を受けて、必要な業務資格を取得しなければなりません。

地方の空港では必要となる資格が少ない場合もありますが、航空管制官として働く以上は、継続的な勉強や訓練が欠かせません。

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航空管制官の学校・学費

大学から航空管制官になる人が多い

航空管制官になるためには、国土交通省が実施する「航空管制官採用試験」を受験する必要があります。

この試験の受験資格には年齢制限があるものの、それを満たしていさえすれば、学歴関係なく誰でも受験可能です。

試験そのものの出来で合否が判断されるため、高い学歴があるから有利、といったことはありません。

ただし、航空管制官採用試験自体が「大学卒業程度レベル」となっているため、実質上は大学卒業と同等レベルの学力や適性が問われると考えておきましょう。

実際に、4年制大学を卒業して航空管制官になっている人が多いようです。

学んでおくと有利な科目は?

航空管制官を目指すにあたって、特別に有利になる学部や専攻などはありません。

航空管制官になってから身につけるべき知識・技術は、航空起床や無線工学といった理数系科目に関連するものも、法令や英語などの文系科目に関連するものもあります。

文系でも理系でも、航空管制官採用試験の対策をすれば、誰でもこの仕事を目指せます。

なお、航空管制官の仕事では英語力が求められるため、学生時代にでできるだけ英語力を高めておいたほうがよいでしょう。

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航空管制官の資格・試験の難易度

一般的な国家公務員試験とは内容が異なる

航空管制官になるには、いくつかのステップを踏まなければなりません。

まず、国土交通省の「航空管制官採用試験」を受け、それに合格して採用されることで、国家公務員である国土交通省の職員になります。

航空管制官採用試験では、一般的な国家公務員試験の基礎能力試験に加え、英語での聞き取りや面接もあります。

英語力が必要になるほか、空間認識力と記憶力も試されます。

やや特殊な試験となるため、過去問題などを解いて対策しておきましょう。

人気があり、難易度も倍率も高め

航空管制官作用試験の難易度は、大卒レベルとされています。

英語以外は3ヵ月から半年程度の勉強期間で合格している人もいますが、英語が苦手な人は若干苦労するかもしれません。

合格倍率はここ最近では7倍~9倍ほどですが、かつては10倍を超えることも珍しくありませんでした。

大学などに通いながら、航空管制官採用試験の受験対策ができる民間の資格スクールにダブルスクールで通い、準備をしている人もいます。

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航空管制官の給料・年収

業務内容の特殊性から給与水準はやや高め

航空管制官は、国家公務員のなかでも専門性の高い仕事内容であることから、「専門行政職」の俸給表に基づく給料が支払われます。

この俸給表は、一般行政職のものよりも、やや高めの給与水準となっています。

年齢や勤続年数が上がると収入はアップしていき、一般的に30歳前後の平均年収は450万円を超え、50代になると850万円以上の収入を得ている人が多いとされます。

職務の困難性、特殊性に基づき俸給の調整額も支給され、さらに業務内容に応じて航空管制手当、夜間特殊業務手当、夜勤手当、休日給などが支給されます。

国家公務員として各種手当なども充実しており、安定性は高いといえるでしょう。

待遇は申し分ないと考えてよさそうですが、人の命をも左右する重要で責任の重い仕事をするため、仕事で抱えるストレスも大きなものになりがちです。

基礎研修の間も給料は支給される

航空管制官採用試験に合格すると、まずは航空保安大学校で約8ヵ月の基礎研修を受けます。

この期間中も国家公務員として採用されていることは変わらないため、所定の給与が支給されます。

採用当初の給与月額は、4年制大学新卒で職歴がない場合、193,000円程度(2020年現在、行政職(一)2級の場合、地域手当含む)となります。

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航空管制官の現状と将来性・今後の見通し

安定した需要があり、専門性を生かして長く働ける

近年の航空業界では、国際線の増便や格安航空会社の登場など、さまざまな変化が起こっていますが、航空機が飛ぶ限り、航空管制官は需要のある仕事です。

管制業務で使用する高度なシステムを扱うことは、一朝一夕にできるものではありません。

一人前の航空管制官になるには、厳しい採用試験を突破し、その後も時間をかけて教育や訓練を受けなくてはなりませんが、それを乗り越えれば長く安定して働いていくことができるでしょう。

なお、航空管制官の大半は日本全国の空港や航空交通管制部に勤務しますが、その他にも、国土交通本省や航空保安大学校などの教育機関、国際機関への派遣などで活躍するチャンスもあります。

意欲さえ失わなければ、さまざまな業務経験を積んで成長し、定年まで長く働き続けることが可能です。

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航空管制官の就職先・活躍の場

日本全国の空港もしくは航空交通管制部で働く

航空管制官は、国土交通省に所属する国家公務員として働きます。

勤務地は全国の「空港」と、札幌・東京・福岡・那覇にある「航空交通管制部」です。

空港での業務は、それぞれが管轄する空域内にいる航空機の管制をすることです。

「ターミナル・レーダー管制業務」と「飛行場管制業務」の2種類の業務に分かれ、管制塔やレーダールームで管制業務にあたります。

航空交通管制部では、おもに日本の空域に出入りする航空機の管制を行います。

空港の監視レーダーがとらえられる範囲を超えた航空機は、衛星放送で航空交通管制部が位置をとらえ、空域に応じて管制業務を行います。

なお、航空管制官は他の国家公務員と同様に、全国単位で転勤の辞令が出ます。

航空管制官の1日

24時間を交代で働くシフト制勤務が基本

航空管制官は、勤務地によって「早番・遅番・夜勤」といったシフトを組み、24時を交代しながら管制業務を行っています。

ある程度シフトのパターンは決まってきますが、朝から勤務する日もあれば、お昼からの勤務になる日もあるなど、日によって勤務時間が異なることが特徴です。

ここでは、航空交通管制部で働く航空管制官の、早番の1日を紹介します。

7:00 出勤
7:15 ブリーフィング
担当する空域の天候などについて確認します。
7:30 運用室で業務開始
8:30 事務作業
13:00 昼食
15:00 運用室での業務終了
15:30 デブリーフィング
当日の業務の振り返り、遅番の管制官に情報共有をします。
16:15 勤務終了

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航空管制官のやりがい、楽しさ

毎日何事もなく無事に仕事を終えられた瞬間

航空管制官は、レーダーを見ながら各航空機が「どのようなルートを飛んでいるのか?」「安全に飛べているのか?」などの情報を細かくチェックしています。

異常を感じればパイロットと交信して高度や速度についての指示を出しますし、天気等が悪く視界不良の際には、航空管制官がパイロットの目となることもあります。

職務中は緊張感が続きますが、毎回のフライトが無事に終わった際には大きな安心感が生まれます。

ときには、航空管制官が提供した情報やアドバイスによってパイロットから声をかけてもらえることもあり、それをやりがいに感じる管制官も多いです。

人の命を預かる重要で責任の重い仕事をするからこそ、毎日、仕事を無事にやり遂げたときの達成感は大きなものとなります。

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航空管制官のつらいこと、大変なこと

責任の重さと気の抜けない大きな緊張感

レーダールームの航空管制官は、同時に10機以上の航空機を担当して、それぞれのパイロットに指示を出していきます。

レーダーを見て次々と的確な指示を出す業務は、非常に集中力を要し、神経をすり減らします。

ほんの一つの間違いが事故につながる可能性もあるため、自分が着席している時間は決して気を抜くことが許されません。

集中力が保てるよう、短時間ごとに休憩も挟みますが、乗員・乗客をはじめとする多くの命がかかっている仕事なだけに、プレッシャーを感じることもあるでしょう。

また、航空管制官は転勤するたびに、業務で必要な資格取得を目指さなくてはなりません。

転勤の辞令は早ければ2~3年で出るため、短いスパンで新しい土地や環境に慣れなくてはならないことと、勉強を続けなくてはならないことは、この仕事ならではの苦労といえます。

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航空管制官に向いている人・適性

命を預かる使命感と責任感のある人

毎日、空の上にはたくさんの航空機が行き交っています。

万が一、航空機が事故に遭ってしまったら、大勢の人の命が犠牲になってしまいます。

パイロットと協力しながら定刻通りの安全なフライトができ、お客様が安心して空の旅を楽しめるかどうかは、まさに航空管制官の腕にかかっています。

また、何かトラブルがあった際には、チームで一致団結して解決しなければならないこともあります。

強い責任感や使命感を持ち、チームワークを大切に行動できる人が、この仕事に向いているといえるでしょう。

また、航空管制官採用試験の適性検査では、空間認識力や記憶力なども求められるため、事前にどのような問題が出るのか把握しておき、できるだけその能力を培っておくとよいでしょう。

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航空管制官志望動機・目指すきっかけ

航空機が好き、空港で働きたいという思い

航空管制官を目指す人の多くが、「航空機が好きだから」「空港で働ける仕事がしたい」といった思いを抱いています。

幼い頃から飛行機に乗ることが多かった人などが、航空関係の仕事を調べるなかで、この仕事に出会うケースは多いようです。

同時に「国家公務員であること」「専門的な仕事ができること」などを魅力的に感じて、この仕事を目指していく人も目立ちます。

航空管制官は、パイロットなどと比べれば決して華やかな仕事ではないかもしれません。

しかし、安全なフライトを支える非常に重要な役割を担いますし、国家公務員としての使命感や責任感も求められます。

航空管制官の役割をきちんと理解したうえで、志望動機を練り上げていきましょう。

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航空管制官の雇用形態・働き方

国土交通省航空局の国家公務員として働く

航空管制官の身分は、国土交通省航空局の国家公務員です。

航空管制官は独自の採用試験が行われることからも、専門職の強い職種としてみなされています。

待遇については「専門行政職」の俸給表が適用され、一般行政職よりもやや恵まれており、労働条件については安定しているといえるでしょう。

また、近年では女性の航空管制官が増えています。

それにともなって、女性がワークライフバランスを大事にして働ける職場環境づくりも進んでおり、結婚・出産後も働き続ける現役の航空管制官は珍しくありません。

責任の重い仕事ですが、熱意さえあれば、定年にむかって長く働き続けることが可能です。

航空管制官の勤務時間・休日・生活

夜勤を含むシフト制勤務が基本

航空管制官の勤務体系はシフト制で、日によって勤務する時間帯が異なります。

成田国際空港や関西国際空港など大規模な空港に配属された場合は24時間体制で、「早番・遅番・夜勤」を繰り返します。

たとえば最初の3日間を早番や遅番で勤務し、4日目は夜勤、5日目は夜勤明けといったように、夜勤が途中で入るのが一般的です。

このように形で働く航空管制官は、「原則として4週間につき1週間当たり38時間45分となるように弾力的に勤務時間を設定する」と定められています。

土日祝日に勤務しなければならないこともありますが、残業は突発的なトラブルがない限りほとんどありません。

配属先のグループ内で調整を行えば、年次休暇(有給休暇)を使って長期休暇も取得可能です。

関連記事航空管制官の勤務時間・休日

航空管制官の求人・就職状況・需要

定期的に採用が行われているものの高倍率

毎年実施される航空管制官採用試験では、50名~130名ほどが採用されることが多くなっています。

ある程度まとまった人材が新たに採用されているものの、それ以上に応募者が多く、倍率は高くなりがちです。

また、採用試験に合格したとしても、その中から成績のよい順に採用されていくため、必ず採用に至るとは限りません。

とはいえ、安全なフライトを支える航空管制官は非常に需要の高い仕事で、一定の人数が必ず求められます。

格安の航空会社の参入も相次いでおり、国際線の数が増えているため、需要はこれからも高まっていくと考えられています。

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航空管制官の転職状況・未経験採用

転職も可能だが年齢制限には要注意

航空管制官になるために受験が必要な航空管制官採用試験では、「21歳から30歳未満」の受験資格が設定されています。

この要件を満たしていれば、いったんは社会人として一般企業などで働いた人でも、転職によって航空管制官を目指すことは可能です。

しかし、航空管制官採用試験は高倍率であり、片手間での勉強ではなかなか合格が難しいでしょう。

実際、採用試験専門の予備校やスクールなどに通い、受験準備をして合格を目指す人も多いです。

前職の経歴などは重視されませんが、航空管制官には英語力が求められるため、ビジネスで英語を使っていた経験がある人などは、やや有利になるでしょう。

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女性でも航空管制官になれる?

女性の航空管制官も増えている

女性の航空管制官は、年々増加傾向にあります。

平成30年度の航空管制官採用試験においては、最終合格者数の133人のうち女性が62人と、半数近くを占めていました。

現在活躍中の航空管制官全体としても、4分の1から3分の1程度は女性が占めるようになっており、女性の航空管制官は決して珍しい存在はでなくなっているといえます。

なお、航空管制官を目指すうえで女性だから不利になったり、逆に有利になったりすることはとくにありません。

試験内容も男女で内容はまったく同じですし、業務内容で差がつくこともありません。

ただ、航空管制官はシフト制勤務で不規則な生活リズムになりやすく、また転勤もある仕事です。

結婚・出産後に仕事をどのように続けていくかは、しっかりと考える必要が出てくるでしょう。

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航空管制官に必要な英語力は?

航空管制官の業務では英語が不可欠

航空管制官として働くうえで英語力は必須です。

その理由は、航空管制官とパイロットの通信はすべて英語で行われるルールになっているからで、たとえ日本人同士であっても同様です。

ただし、ネイティブレベルの英語力が求められるわけではありませんし、留学経験なども問われません。

実際に仕事で航空管制官が使う英語は、一般的な会話で使われるものよりも短縮された短い言葉が多いです。

このような独特の英語は、採用後の研修できちんと学ぶことができるため心配いりません。

とはいえ、採用試験の時点で基礎的な英語力がないと厳しいため、学生時代にTOEICでは最低でも600点、できれば700点以上を目指しましょう。

航空管制官の英語の採用試験では、長文のほかに文法・発音などの問題が出題され、航空関係やサイエンス系の英文が出ることもあります。

出題傾向を調べて十分な対策をしておくのが望ましいです。

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