児童指導員の年収はいくら? 給料についてくわしく解説
児童指導員の平均年収・給料の統計データ
児童指導員の給料は、勤め先が公立施設か民間施設によってかなり違いがありますが、総じてそこまで高い水準とはいえません。
児童指導員は、施設によっては24時間体制で子どものケアをしなければならないうえ、子どもの成長に大きく影響を及ぼす重い責任を担っています。
このため、仕事は心身ともに非常にハードですが、経済的にそれにふさわしい見返りが得られるとはいえないのが実状です。
児童指導員には、お金ではない部分にやりがいを見出せる人、端的にいえば激務に見合った給料とはいえなくても、子どもが好きで献身的に愛情を注げる人が向いているでしょう。
児童指導員の平均年収・月収・ボーナス
求人サービス各社の統計データ
職業・出典 | 平均年収 | 年収詳細 |
児童指導員 (ほいくジョブ) |
440万円 | 月給27.5万円 |
児童指導員 (ジョブメドレー) |
- | 月収24.7万円 |
時給1,073円 | ||
児童指導員 (求人ボックス) |
327万円 | 月給27万円 |
時給1,003円 |
各社の統計データをみると、児童指導員の給料はおよそ350万円~450万円前後であると推察されます。
ただし、公立施設と民間施設でかなり差があり、公立施設では地方公務員の給与規定が適用されるため民間施設よりも高水準となります。
児童指導員の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
一般的な児童指導員の年収を400万円、ボーナスを月給の4ヵ月分と仮定すると、平均月給は約25万円、ボーナスは約100万円となります。
そこから、社会保険料や所得税などの各種税金を差し引くと、月々の手取りは独身者の場合で約19万円~21万円、ボーナスの手取りは約82万円です。
月々の収入が低い一方、ボーナスの支給額が大きい給与体系は、公務員と非常によく似通っているといえます。
普通に暮らしていく分には問題ない水準といえますが、より豊かな生活を望むなら公立施設への就職を目指す必要があるでしょう。
児童指導員の初任給はどれくらい?
児童指導員の初任給は、大卒者の場合、公立施設で約17万円、民間の私立施設ではもう少し高く、約18万円~20万円前後が相場です。
税金や年金を差し引いた手取りは10万円台前半くらいであり、ほとんどぜいたくできる余裕はないでしょう。
ただし、児童養護施設など入所形式の施設では、宿直業務などによる夜勤手当が別途支給されるため、体力的にはきつくなる一方、初年度から給料がかなり高くなるケースもあります。
児童指導員の福利厚生の特徴は?
児童指導員の福利厚生は、その仕事の公共性の高さから、国家公務員に準じた待遇が適用されるケースが多くなっています。
このため、一般的な職業よりも手厚い施設が目立ち、通勤手当や住居手当、当直手当、扶養手当、地域手当など、基本給とは別に各種手当が支給されます。
また、施設独自の財形貯蓄制度や退職金制度が利用できたり、自治体の勤労者福祉協会や共済会へ加入できたりするところもあるようです。
基本給が少ない児童指導員にとって、生活していくうえでこれらの制度は非常に重要といえるため、就職先を選ぶ際には福利厚生面までしっかりと確認することをおすすめします。
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児童指導員の給料・年収の特徴
キャリアを重ねてもあまり昇給しない
児童指導員は一般的な企業の会社員などとは異なり、一つの施設で長年勤め続けても、あまり給料が上がりません。
児童養護施設や障がい児入所施設では施設の運営予算が限られていることもあって、管理職のポストが非常に少ないうえ、非役職の職員と比べてそれほど給料に大きな差もないのが実情です。
また、福祉職の特性上、民間企業のように個人の能力を評価して給与に反映させるということも難しいといえます。
このため、世間的には働き盛りといえる30代や40代でも、平均年収は300万円台~400万円台に留まっています。
独身ならまだしも、一家の大黒柱として家族を養っていくには厳しい水準といえるため、共働きなど配偶者の協力が必要になる可能性が高いでしょう。
無資格でも働けるが給料はかなり低い
近年は、核家族化や離婚率の増加、DV(家庭内暴力)などによって子どもを取り巻く家庭環境は複雑化しており、福祉の手助けを必要とする児童は年々増加傾向にあります。
このため、施設のなかには人員不足に陥っているところも珍しくなく、児童指導員の任用資格を満たしていなくても非正規で雇用する求人もよく見られます。
ただし、その場合の給料は時給にして1,000円~1,200円前後が相場となっており、たとえフルタイムで働いたとしても月収20万円前後、年収にして250万円前後です。
児童指導員のなかには、子どもの役に立ちたいという思いが強く、給料にそこまで関心が強くない人も見られます。
しかし、児童指導員という仕事の体力的・精神的負担を勘案すれば、とても労力に見合った対価とはいえません。
児童指導員の任用資格要件は複数あり、そこまで難易度が高いわけではないため、経済的に生活を安定させるためにも、できれば有資格者となってから働くことが望ましいでしょう。
拘束時間と給料が見合わない
四六時中、親代わりとなって子どもを相手にする児童指導員の仕事は、予期せぬトラブルの連続です。
小さい子どもが急に発熱し、看病のために帰宅できなかったり、中高生が問題を起こして学校や警察から呼び出されたりすることもしばしばあります。
それら突発的に発生した業務のすべてに、きっちりと残業代が支払われるわけではありません。
また、施設や学校などへの移動にかかる時間も実質的には拘束時間です。
このため、ただでさえ高いとはいえない児童指導員の給料ですが、実際の拘束時間で計算すると、より単価は低くなります。
昨今は、こうした労働量の多さが社会的に問題視されメディアで取り上げられる機会も増えており、一部には見直しの動きもみられますが、まだまだ十分とはいえません。
施設別に見る給料・年収
公立施設で働く児童指導員の給料
児童養護施設や障がい児入所施設、発達支援センターなど、公立の児童福祉施設に勤務する児童指導員の給料は、年収450万円~550万円が相場とされています。
就職直後こそ民間と差はありませんが、公立施設では地方公務員の俸給表に基づいて勤続年数に応じて徐々に昇給していきます。
このため、キャリアを重ねるほど民間との差が開き、平均年収としては民間の施設を大きく上回ります。
福利厚生もかなり手厚く、おすすめの職場といえますが、公務員という身分が得られることもあって非常に人気が高い一方、採用人数は限定的であり、採用倍率は高めです。
民間施設で働く児童指導員の給料
法人企業やNPO法人など、民間が運営する施設に勤務する児童指導員の給料は、年収300万円~450万円が相場です。
求人数が多く就職しやすい一方で、待遇面については公共施設ほどではないところが多いようです。
ただし、近年は人気を博している「放課後等デイサービス事業所」を中心として、民間施設における児童指導員の需要が非常に高まっています。
今後は競争原理がはたらくことによって、児童指導員の待遇が改善されることも想定されます。
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児童指導員が収入を上げるためには?
児童指導員が収入を上げる方法はかなり限られていますが、「児童発達支援管理責任者(児発管)」という資格を取得することで、資格手当が増えるなどの効果が期待できます。
児発管は、障がい児支援施設において、児童や家族に対して個別に療育計画を立案するなどして、ほかのスタッフを指導することができる資格です。
児童指導員として5年以上の相談支援経験を積むと、児発管の講習を受講できるようになり、修了することで資格が得られます。
児童指導員のキャリアプランとしては、最もオーソドックスといえるため、条件を満たした後には取得を検討してみるとよいでしょう。