品質管理と品質保証の違い

品質管理と品質保証の仕事内容の違い

品質管理と品質保証は、どちらも「自社製品の品質を高めていくこと」をおもな目的とする職種であり、ものづくりを行う企業にとってなくてはならない存在です。

ただ、両者の職種名は似通っており、業務内容が一部重複していることもあって、なかなか違いはわかりにくいかもしれません。

両者の明確な違いは、自社製品の品質について「どの段階の責任を負うか」にあります。

品質管理が担当するのは、製品の「製造工程」における品質です。

具体的には、生産設備ラインの欠陥を発見して改善したり、作業工程を見直したり、製造スタッフを教育することが仕事になります。

これに対し、品質保証が担当するのは、「完成品そのもの」の品質です。

このため、製品の企画から製造、販売まで、全段階の品質について責任を負いますが、一般的には、品質調査や顧客へのアンケート調査、クレーム対応など、販売後のアフターケアが中心となります。

品質管理は「これから製造する製品」を対象とした業務であり、品質保証は「出来上がった製品」を対象とした業務といえるでしょう。

品質保証の仕事

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品質管理と品質保証のなる方法・資格の違い

品質管理・品質保証ともに、仕事に就くためのルートはほとんど同じです。

4年制大学などを卒業した後、就職したいメーカーの採用試験を受けて、内定を得ることが第一段階です。

募集区分は企業によって若干の違いがあり、「総合職」として広く分類されていることもあれば、「技術職」や「技術系総合職」、「生産系技術職」といったカテゴリに含まれていることもあります。

入社したのち、該当する部門に配属されればそれぞれの職種として働くことができますが、ここで問題になるのは、基本的に配属を決定するのは企業側であり、こちらの希望が100%通るわけではないということです。

異動願いを出し続けていれば、いつかは配属されるかもしれませんが、数年程度は待たないといけない可能性も十分にあります。

どうしても早期に希望を実現させた場合は、「QC(品質管理)検定」という民間の認定資格を取るなどして、人事部にアピールするという方法もあります。

なお、中小企業などでは、「品質管理・品質保証部門」として、双方の業務がまとめられているケースも散見されます。

品質管理と品質保証の資格・必要なスキルの違い

どちらの職種についても、絶対に取得しなければならない資格はとくにありません。

業務に必要な専門知識については、基本的に配属された後に、研修や実務を通して学んでいくことになります。

求められるスキル・適性としては、どこに問題があるのかを発見するための「観察力」や「分析力」が、どちらも非常に重要になるでしょう。

そのうえで、品質管理については、膨大なデータを解析するための統計学に関するスキルや、数学力などが求められます。

品質保証については、原材料から製造工程、保管、出荷、販売まで、一連の業務を見渡すことのできる視野の広さや、クレーム対応などを手掛ける関係上、精神的タフさなどが求められます。

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品質管理と品質保証の学校・学費の違い

品質管理も品質保証も、一般的に理系に分類される職種です。

絶対ではありませんが、工学系や理学系、化学系、薬学系など、理系の学部・学科に進学することが望ましいでしょう。

上場企業などの大手メーカーをはじめとして、最初から理系学生しか採用対象としていないケースもありますので、文理選択については注意する必要があります。

学歴については、大卒以上を条件とするところもあれば、専門学校卒や高専卒、短大卒でも採用するところもあり、なかには中卒・高卒でも採用するところもあります。

工場などの製造現場は、慢性的な人手不足に陥っており、とくに地方の職場ほど人材確保に悩んでいるところが目立ちます。

やる気さえあれば学歴を問わないという職場もあり、勤務地にこだわなければ、誰にでも採用されるチャンスがあるでしょう。

品質管理と品質保証の給料・待遇の違い

品質管理と品質保証の給料は、どちらもおよそ年収400万円~500万円くらいが相場とされています。

同じ企業であれば、会社員として同じ給与体系が適用され、また実力による個人差もつきにくい職種ですので、両者の給料に差はほとんど見られません。

メーカーの年収は、基本的に企業規模に比例しますので、大手メーカーであれば年収600万円や700万円以上に達することもあります。

ただ、日本の製造業は99%が中小企業に分類されるため、平均としては上記のような数値となります。

金額は日本人全体の平均所得とほぼ同じ、世間相場並みの水準ですが、一般的にメーカーは他業種よりも福利厚生面がかなり手厚いという特徴があります。

独身寮や社宅を格安で利用できるなど、住宅費用を抑えられるケースが多いため、実際の生活水準は額面の給料よりも高くなりやすいでしょう。

品質管理と品質保証はどっちがおすすめ?

品質管理と品質保証は、「製品の品質を守る」という共通目的のもと、お互いを補完し合う関係にあります。

品質管理は製造する立場でのみ自社製品を見つめます。

一方、品質保証の仕事では、完成後の製品を使った消費者からのクレーム対応など、消費者の視点にも触れることになります。

製品を作る自社の視点と、製品の買い手の双方の視点があるからこそ、品質を高めていくことができます。

どちらの職種を目指すべきか迷っている場合は、自身の興味がどちらの視点にあるか、比較検討してみるとよいでしょう。

工場見学などが好きで、ものづくりの現場への関心が高いという人は、品質管理のほうがおすすめです。

特定の商品に思い入れがあるなど、ユーザー目線から仕事をしたいという人は、品質保証の仕事をおすすめします。

ただし、一般的なメーカーの場合、「ジョブローテーション」という制度で数年単位で異動を繰り返しますので、どちらの業務も経験する可能性が高いでしょう。

そういう意味では、品質管理と品質保証の2択で思い悩む必要はないかもしれません。