品質管理のキャリアプランは? キャリアアップするためにはどうすればいい?
品質管理に配属されたら
新卒入社で、または別の部署から異動になって、新たに品質管理部門に配属された社員は、一般的にまず工場の生産ライン全体を把握するところから仕事を始めます。
生産工程の問題点を発見したり、改善点を編み出したりするためには、製造プロセスについて熟知していることが大前提となります。
工場見学と座学研修を同時並行で進め、どんな原材料や設備、加工技術が使われ、どんな工程を経て製品が完成していくのか、そのすべてを学びます。
その後、個別のデータ収集方法や分析手法、QC(QualityControl:品質管理)工程表の作成方法など、徐々に品質管理としての実務スキルを身につけていきます。
これら一連の業務は、基本的に「PDCAサイクル」と呼ばれる独自の手順に沿って行われます。
こうした思考方法は科学実験の分野でよく用いられるものです。
理系学部以外の出身者の中には、品質管理に求められる高い論理性に不慣れで、苦労する人も多いようです。
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品質管理としてスキルアップするには
「QC7つ道具」について習熟する
品質管理としてスキルアップするには、専門知識を磨き続ける努力が欠かせません。
そのなかでもとくに重要なのが、「QC7つ道具」というツールの使い方です。
品質管理は、製造工程や品質に関するさまざまな数値データを収集しますが、その数字はそのままでは何を意味しているかがわかりません。
製造現場で何が起こっているのか、解決すべき問題は何なのかを特定するには、データをグループ分けする、そのグループごとの相関関係を解析するなど、得られた調査結果を加工・分析する必要があります。
それら一連の業務に役立つのが、パレート図や特性要因図、ヒストグラム、散布図といったQC7つ道具です。
これらのツールを使いこなし、数字が意味している内容を見抜くためには、豊富な実務経験はもちろん、統計学に精通しているなど、「数字に強いこと」が重要になります。
この意味でも、上記のPDCAサイクルと同じように、理系出身者は有利といえるでしょう。
語学力を磨く
近年のメーカーは、生産拠点を海外に移転させるケースが非常に増えています。
海外に工場を設ければ、現地の安価な労働力を使うことで製品のコストダウンを図ることができますし、海外に販路を開いていくこともできます。
ただし、海外で生産するのは、輸送や法律、地政学的な問題など、さまざまなリスクもあります。
なかでももっとも問題になりやすいのが、現地スタッフの教育です。
品質を維持するためには、現地スタッフを指導できるレベルの語学力を備えた品質管理担当者の活躍が欠かせません。
このため、語学力を磨いておくことも、これからの品質管理担当者には非常に重要です。
英語、中国語、スペイン語など、どの語学を身につけるべきかは、就職先の事情に合わせることが必要になります。
品質管理のキャリアパス・キャリアアップの考え方
社内におけるキャリアパス
品質管理のキャリアパスとしては、ジョブローテーションによってほかの技術系職種を経験していくという流れが一般的です。
具体的な職種としては、技術管理や技術開発、生産管理、生産技術、品質保証といった部門が挙げられます。
もちろん職種によって仕事内容は大きく異なりますが、品質管理として製造工程全体を見渡した経験やスキルは、ほかの仕事を手掛ける際にも非常に役立つでしょう。
3年程度で異動を繰り返しつつ、順当にキャリアを積んでいけば、チームリーダーやマネージャーといった管理職に昇進していくことができます。
管理職になると、部下の教育や計数管理といったデスクワークが主体となり、設備の欠陥を探すなど、工場で実務を手掛ける機会は徐々に減っていきます。
社外におけるキャリアパス
品質管理は、製造業に分類される企業であれば、さまざまな業界で必要とされる職種であり、転職市場はかなり活況です。
このため、給料をアップさせたい、新しい技術を身につけたい、環境を変えてフレッシュな気持ちで働きたいなど、現状の職場では達成できない目的がある場合は、転職するという道もあります。
品質管理経験者は、現状供給よりも需要のほうが上回っている状況であり、ある程度のキャリアとスキルさえあれば、転職するハードルは高くないでしょう。