女性の中学校教師のキャリアパス・結婚後の生活
女性の中学校教師の現状
文部科学省が行った「学校基本調査(令和元年度)」によれば、中学校の教員のうち43.5%が女性と公表されています。
以前から「教員」という職業は性別問わずに活躍できるものでしたが、最近ではさらに女性の教員の割合が増加傾向にあるようです。
民間企業と同じように、教育現場でも女性の活躍を推進しており、さらに女性管理職を増やそうという動きも強くなってきています。
熱意と情熱があれば、中学校教師としてキャリアアップを目指すことも十分に可能です。
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女性の中学校教師の強み・弱み
女性教員が求められる場面も多数
小学校から中学校へ進学すると、教師との距離が遠くなったように感じた人もいることでしょう。
中学校では、小学校のように学習・生活全般の指導や支援をきめ細やかに行ないません。
これは、社会に出てから個人の責任でさまざまな事柄を選択・決定・実行できるように、生徒一人ひとりが自分で考えて行動する場面を増やしているためです。
そうはいっても、とくに中学1年生の場合は教師からの言葉かけが少なくなることに不安を感じたり、集団のペースに遅れないようにフォローが必要な生徒が多かったりします。
そんな折には、細やかな気配りができ、人当たりが穏やかな傾向にある女性教員が求められます。
また、保護者と接する際には母親と連絡を取り合う場面が多いため、女性同士、また既婚の女性教員であれば母親同士、共感しながら保護者の話に耳を傾けることで、信頼を得やすいといえるでしょう。
思春期の生徒たちに対応する難しさ
中学校の生徒たちは思春期の多感な時期であることもあり、担当のクラスや授業で、子どもたちが教師の指導に従わない場面にも遭遇します。
男性教員であれば一喝してその場を収めることができても、女性教員には難しいケースもあるでしょう。
女性教員の長所である、丁寧さや寛容さ、優しさなどだけでは対応できない状況も起こり得ます。
そして心無い同僚や生徒・保護者から「女の先生ではダメだ」などと言われ、大きな精神的負荷を抱える女性教員もいるようです。
つらいこと、苦しいことはどんな仕事でも必ず起こるものですが、強い気持ちを持ってそれをどう乗り越えていくのかが、この仕事を長く続けるポイントになるでしょう。
中学校教師の結婚後の働き方・雇用形態
中学校教師は激務といわれることも多いため、結婚後に仕事と家庭を両立させるのは容易ではないと考えておいたほうがよいかもしれません。
実際、女性教員が離職する原因で多いのが「家庭の事情」だとされています。
結婚・出産・育児をするにあたって、現状、中学校教師という職業は多忙過ぎると言わざるを得ません。
ただし、もちろん結婚してからも仕事を続けて、定年を迎えている女性教員もいます。
また、雇用形態を正規教員から「非常勤講師」などに変更することで、限られた時間だけ働くといったことも可能です。
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中学校教師は子育てしながら働ける?
出産や子育てに関する休暇制度はいくつかあります。
出産に関していえば、産前6週間、産後8週間は「産休」が取得できると法律で定められています。
この休業中、賃金は出勤しているときと同額が支給されます。
その後は「地方公務員の育児休業等に関する法律」により、正規採用であれば子どもが3歳になるまで育児休業を取得できます。
しかし、職場復帰してからは時短勤務をしない限り、早朝から夜遅くまで学校に拘束されますし、部活動の指導や引率などで週末に仕事が入ることもあります。
そうなると、どうしても家事や育児にしわ寄せが出てしまいがちです。
中学校教師が子育てしながら働こうとする場合には、家族や身の回りの人たちの理解・協力も不可欠だといえるでしょう。
なお、急に妊娠がわかった場合には、12~1月に実施される次年度の「校務分掌(学校内における運営上必要な業務分担)希望調査」などで管理職に出産したい旨を伝えておくと、配置が考慮される場合もあります。
周囲に祝福され、自分自身も母になる喜びに満ちて出産・育児をするためには、相応の配慮が求められてきます。
そして、家庭内での仕事への理解はもちろん、職場でも兼業主婦であることを配慮してもらうことで、仕事を続けていきやすくなるでしょう。
中学校教師は女性が一生働ける仕事?
多感な生徒たちと日々向き合いながら、生徒の成長を近い存在でサポートする中学校教師は、女性にとってもおおいにやりがいのある仕事です。
卒業後、大きくなった生徒が活躍している様子を知ったり、近況報告をしてくれたりすることはうれしく、生徒たちとの一つひとつの思い出が自分にとっての財産になります。
よく言われる通り、たしかに中学校教師は非常に多忙な毎日を送ることになるでしょう。
しかし、「忙しいから一生働き続けるのは無理」というわけではありません。
先に挙げた通り、結婚後や出産後に雇用形態を変えたり、さまざまな休暇制度を利用したりしながら仕事を続けていく道もあります。
ときには疲れて辞めてしまいたくなる瞬間もあるかもしれませんが、中学校教師の仕事が大好きで、何としても続けたい思いがあれば、定年まで教師としてキャリアを築いていくことができるでしょう。