CADオペレーターの仕事とは

CADとは、「Computer Aided Design」（コンピューター支援設計）の省略語です。「CADソフト」を操作して建築物などの図面を作成する人を「CADオペレーター」と呼びます。

CADを使用することによって、高度で複雑な図面をスピーディーに作成することや、細かな変更点などの効率的な修正が可能になります。

さらに、平面図・立体図・断面図を2次元で描いたり、立体的な形状を3次元で視覚的に表現することもできます。

IT化が進む現代において、CADオペレーターは設計現場には欠かせない存在といえるでしょう。

CADオペレーターの業務の内容

設計士との打ち合わせ

CADオペレーターにとって、設計士との打ち合わせは重要な仕事の一部です。

CADオペレーターは、設計士やデザイナーの指示を受けてCADで図面を作成する仕事であり、通常は自身が設計に携わることはありません。

設計士たちと密に連携を図り、製品のもととなる図面をCADを用いて正確に仕上げることが、CADオペレータには求められます。

したがって、CADの操作技術だけではなく、設計士の指示を理解する力と、それを図面化させる表現力が必要です。

正確な製図を描く

あらゆる建築物は図面をもとにつくられます。たとえば一軒の住宅を建てる場合には、何十枚もの図面が必要になります。

さまざまな角度から図面を描き起こさなければならないため、設計士だけでは図面作成まで手が回りません。

そこで、設計士の右腕となり、指示通りの図面を描き起こしていくCADオペレーターが必要とされています。

設計士の修正依頼に対応する

CADオペレーターは、設計士やデザイナーからの修正依頼や細かい調整にも対応していきます。

修正や変更箇所が1ヵ所でもあれば、複数の図面をもれなく修正しなければなりません。

すべての修正が完成したら、図面に不備や相違がないように設計士やデザイナーからチェックを受けます。

CADソフトの種類

CADソフトにも種類があり、企業や業界によって使用するソフトが多少異なります。

2次元CADでは、多くの業界でシェア率を誇る「AutoCAD」、フリーソフトの「Jw-cad」が知られています。

3次元CADでは、自動車業界や航空機メーカーなどでよく使われる「CATIA」、電機業界では「I-deas」などが普及しています。

CADソフトは、建築、機械、電気、服飾デザインなど、ものづくり分野で幅広く活用されています。

最新技術を習得する

CADオペレーターとして活躍するには、年々進化するCADソフトを使いこなすことが必要不可欠です。

日々勉強してスキルアップに励み、確かな技術力を身につけることが求められます。

CADオペレーターの役割

CADトレーサー、CAD技術者との違い

CADを使って仕事をするのは、CADオペレーターだけではありません。

CADを操作して製図を行う人は広い意味で「CADオペレーター」と呼ばれますが、業種や設計現場によっては「CADトレーサー」や「CAD技術者」と呼ばれる人もいます。

「CADトレーサー」と「CADオペレーター」に明確な違いはありませんが、CADトレーサーはCADオペレーターより細やかな指示を受けて製図を行う傾向にあります。

「CAD技術者」は、一般に、産業分野での部品をCADを使って設計、デザイン、製図を行う人のことを意味します。

業界によるCADオペレーターの呼称

CADオペレーターは、業界によっても異なった呼称があります。

たとえば、建設会社で建築物の図面作成に携わる人は「建築CADオペレーター」と呼ばれます。

また、CADソフトを用いてパソコン、携帯電話、電化製品、精密機器などの製図を行う人は「機械CADオペレーター」と呼ばれることがあります。

CADオペレーターの勤務先

CADオペレーターには、大手企業から個人事務所まで勤務先が豊富にあります。

使用するCADソフトや図面のルール、製図に関する知識などは業界によって異なります。

就職や転職の際には各業界の専門知識が必要とされることも多いため、企業がどれだけの実務経験を求めているのか、仕事内容をしっかりと確認するとよいでしょう。

CADオペレーターの仕事の流れ

CADオペレーターは、設計士やデザイナーなどから指示を受けて正確な図面を作成します。

設計内容に変更や修正が入った場合には、その都度CADで微妙な手直しをしていきます。

1ヵ所でも変更・修正があれば、図面のルールと設計者の指示に従って製図を行ったのち、設計者から再度チェックを受けます。

建築物の工事は完成した図面をもとに進められるため、もしその内容に不備や間違いがあれば大きなトラブルを招くことになりかねません。

CADオペレーターは、たった1枚の図面でも、正確な情報を丁寧につくり上げる慎重さや責任感が問われます。

CADオペレーターと関連・類似の職業

建築士

建築士は、

• 住宅
• マンション
• ビル
• 公共施設
• 商業施設

など、あらゆる建物の設計から、建築現場での指揮・監督業務にいたるまで幅広い業務を担います。

お客様の要望を丁寧にヒアリングしながら、CADをはじめとしたあらゆる手法で建物の構造図を作成し、お客様のイメージ通りの建物の設計図を完成させていきます。

「1級建築士」「2級建築士」「木造建築士」の国家試験に合格して免許を取得した人が建築士と名乗ることができます。

CADオペレーターから建築士へキャリアアップするには、「2級建築士」「木造建築士」の資格を取得したのち、建築案件の実務経験を積んで「1級建築士」を目指すことができます。

建築士の仕事

インテリアコーディネーター

インテリアコーディネーターは、

• 住宅
• 店舗
• オフィス
• 公共施設

などのインテリアを、お客様のオーダーに応じてデザイン、提案する職業です。

照明器具の種類や機能性、壁紙の性質など、建物内部の室内空間からエクステリアにいたるまで、幅広い知識を有するインテリアコーディネーターが活躍しています。

インテリア業界では、図面を起こすためにCADが用いられます。

製図作業は、設計担当者（インテリアコーディネーター、インテリアデザイナー）が行うこともあれば、CADオペレーターが担当することもあります。

インテリアコーディネーターの仕事

CADエンジニア（CAD技術者）

CADエンジニアは、

• 建築
• 機械・電子機器
• 自動車
• アパレル
• インテリア業界

など、おもに製造業においてCADを用いて設計、デザイン、製図を行う職業です。

CADソフトの操作技術だけではなく、新しい製品を生み出す発想力やアイデアが求められる仕事といえます。

CADエンジニアは、CADの操作技術だけではなく、環境や安全、法律、コストなど幅広い知識が求められます。

CAMプログラマー

プログラマーとは、「プログラム言語」を用いてコンピュータープログラムを組み、さまざまなシステムやソフトウェアを作る職業です。

建設・製造業においては、CADを用いた製図を基に、「CAM」でプログラミングを行い、工作機械によって製品や部品がつくられます。

「CAM」は（Computer Aided Manufacturing）の略で「コンピューター支援製造」という意味です。

つまり、製品をつくるための「工作機械」のプログラミングを作成するツールです。

このシステムのプログラミングを行うのがCAMプログラマーの仕事です。

CAEプログラマー

製造システムには、もう一つ「CAE」というツールがあります。CAEは（Computer Aided Engineering）の略で、「コンピューター支援エンジニアリング」という意味です。

製品の設計、製図、工作機械の性能、製造工程などを事前にシミュレーションするためのツールです。

このシステムのプログラミングを行うのがCAEプログラマーの仕事です。

ものづくりの現場では、CAD、CAM、CAEそれぞれのシステムが連携して、製図や製造工程をサポートしながら一つの製品が完成します。

CADオペレーターの仕事内容のまとめ

CADオペレーターにはもちろんCADの知識や操作技術、正確な製図が必要不可欠です。

さまざまな業界での活躍が期待されますが、所属する分野の専門性や次々と出る新技術を身につけることが求められます。

また、免許取得によって建築士などへのキャリアアップを目指すこともできます。