「漁師」の仕事とは

漁師の仕事内容

海や川で魚貝類を獲る仕事

漁師とは、川や海に出て漁をし、魚や貝類を獲って生計を立てる人のことをいいます。

使う漁船や漁業を行うエリア(水域)によって「沿岸漁業」「沖合漁業」「遠洋漁業」といった呼ばれ方の違いがあり、それぞれ狙う魚介類や漁法も違えば、漁師の生活スタイルも大きく異なります。

陸に戻った後は、獲った魚を選別して出荷作業を行ったり、網の手入れ、船の洗浄などを行います。

また、自ら育てた魚介類を出荷する「養殖業」を専門に行う漁師もいます。

漁師の就職先・活躍の場

漁協や漁業会社などへの就職が中心

漁業で働く方法はいくつかありますが、漁業協同組合か民間の漁業会社に就職するのが一般的です。

民間の漁業会社といっても、そのほとんどが個人経営となっており、大きな組織は多くありません。

独立して働くことも可能な仕事ですが、資格・免許や漁業権の取得が必要になることもあり、未経験者がいきなり独立というのは現実的ではありません。

独力でやっていきたい場合でも、まずは先に挙げたような場へ就職して経験を積み、独立というのが一般的な流れです。

漁師1日

夜明け前からの勤務を始める人が多い

漁師のなかでもとくに多いのが、沿岸部を中心に日帰りで漁をする「沿岸漁業」の漁師です。

沿岸漁業の漁師の1日の流れは、以下のようになります。

03:30 起床・出勤
真冬の海はとても寒いので、寒さ対策はしっかりと。

04:00 出港
漁師の多くは夜明け前に出向します。

04:20 漁場に到着後、漁を開始
魚の釣れそうな場所を陣取り、漁を始めます。

06:00 朝食
船の上で、持参したおにぎりなど簡単に食事をとります。

09:00 帰港 

09:30 魚の選別や出荷準備
売り物になる魚を見分け、傷がついているものは加工品用に回します。

11:00 食事、休憩

13:00 翌日の準備
船を洗ったり、網や餌などの仕掛けに傷がないか点検して修理や交換を行います。

14:00 業務終了

漁師になるには

学歴や年齢はまったく関係なくなれる

漁師には、特別な資格も学歴も必要ありません。

年齢も関係なく、10代のうちから親の後を継ぐために漁師として修業を始める人もいれば、水産高校を卒業して漁師を目指す人、なかには脱サラをして漁師へ転職するような人もいます。

沖合・遠洋漁業の漁師になりたい場合は、各地の漁業協同組合(漁協)の乗組員として採用されれば、働き始めることができます。

一方、沿岸部で小型船の漁師として個人で仕事をしたい場合は、船を動かすための「小型船舶操縦士免許」や「海上特殊無線技士免許」などの免許や「漁業権」が必要となります。

漁師の学校・学費

水産高校で水産業について学ぶことができる

漁師として働くために、学歴が問われることはまずありません。

しかし、最近では漁師になるための勉強をしながらも高校卒業の学歴は持っておきたいと考える人も増えており、中学卒業後に「水産高校」へ進学する道があります。

水産高校では、水産業に関する技術や知識のほか、漁業の経営についてや船の操縦や潜水についても学べる場合があります。

ただし、水産を専門に勉強していなくても、漁師を目指すことは十分に可能です。

漁師の資格・試験の難易度

働き方によっては免許や資格が必要

個人経営の漁師になる場合、必要になるのが「小型船舶操縦士免許」です。

この免許を取るには国家試験に合格しなくてはなりません。

学科は独学でも勉強できますが、実技は教えてもらわないと難しいため、一般的には「登録小型船舶教習所」か「免許スクール」に通うことになります。

ただし、教習はさほど難しいものではなく、基本的には1~2日通えば既定のカリキュラムを修了することができます。

このほか、「漁業権」の取得や「海上特殊無線技士免許」などが漁師と関連の深い資格です。

漁師の給料・年収

漁業の種類や漁獲高によって収入は大きく変わる

漁師の年収は、漁業の種類や獲る魚の種類によっても大きく変わります。

遠洋漁業の漁師であれば平均月給は30万円~35万円ほどとされていますが、水揚げ量によって金額は変わります。

肉体的にはハードですが、経験を積んで船長になれば年収1000万円を超える人もいるようです。

一方、沿岸漁業の平均年収は200万円ほどといわれ、高額な収入を得るのは少々難しいとされます。

漁業はそのときどきの漁獲高によって収入に影響が出るほか、気象条件によって船を出せないこともあり、どうしても不安定な生活になりやすいのが実情です。

漁師のやりがい、楽しさ

自然の中で大量の魚を獲る喜び

漁師が一番やりがいを感じるのは、やはり、狙っていた魚が大漁に獲れた瞬間です。

厳しい自然の中で狙い通りに大きな魚が網にかかれば興奮しますし、大漁に獲れた魚を市場に出して、高い値段がついたりお客さんに評価してもらえたりすることが漁師にとって何よりの喜びとなります。

また、かなりの肉体労働ですが、その分、体は鍛えられます。

大自然のなかで汗を流しながら思いきり働きたいという人にとっては、まさにうってつけの仕事といえるでしょう。

漁師のつらいこと、大変なこと

船に乗るときは危険を覚悟する必要がある

漁師のつらいこととしては収入が不安定になりがちというのもありますが、それ以上に厳しいのは、つねに危険との隣り合わせの仕事だということです。

広い海原に船を浮かべて魚を獲る際には、どんなに注意していても不慮の事故が起きてしまうことがあります。

天候が荒れて波がうねっていたり風が強かったりする際には転落事故も起こりやすく、事故への不安や恐怖とも戦いながら生きる覚悟が求められます。

自分自身はもちろん、帰宅を待つ家族に心配をかけてしまうこともあるかもしれません。

漁師に向いている人・適性

大自然が好きで、船の上で働くことを楽しめる人

ほとんどの漁師は、一日の多くの時間を船の上で過ごすことになります。

船は漁師にとって大事な職場であるため、そこで長時間過ごすことを心地よく感じられる人が漁師には向いています。

自然の中で思いきり体を動かしたいという思いが強い人であれば、漁師の仕事を楽しめるのではないでしょうか。

また、漁師は大自然を舞台に活躍する仕事であるため、気象学をはじめとする自然のしくみなどにも興味を持ち、進んで知識を身につけようとすることも重要な要素となってきます。

漁師志望動機・目指すきっかけ

自然に立ち向かい、自分の力で魚を釣りあげたい

漁師になる人は、かつては「祖父や父親の後を継いで」というケースが多く見られました。

しかし、最近では必ずしもそればかりではなく、若いうちから職業のひとつとして漁師へ、あるいはまったく異業種から漁師へ転職するような形でこの仕事に就く人も増えています。

漁師の志望動機としては、「海や魚が好き」「自然の中で働きたい」「体を動かす仕事がしたい」といったものが多いようです。

また、船に乗って自分の力で魚を釣り上げることに魅力を感じ、漁師になりたいと考える人など、さまざまな思いがあります。

漁師の雇用形態・働き方

別の仕事との「兼業」で働く人もいる

漁師は、大きくは「遠洋漁業」に携わり各地の漁業協同組合(漁協)の乗組員として働く人と、「沿岸漁業」の個人事業主として働く人に分けることができます。

後者の場合は会社などから給料をもらうわけではなく、自分で経営を行っていくようなスタイルになります。

漁師のなかには、漁業と同時に農業など他の仕事もしながら生計を立てている「兼業漁師」をしている人たちがいます。

兼業漁師の場合、一週間のうち何日かだけ漁に出たり、あるいは短時間だけ漁に出たりというスタイルをとることで、複数の仕事を両立させています。

漁師の勤務時間・休日・生活

どのような漁師になるかで生活は異なる

沿岸漁業の漁師は、3時くらいの夜明け前に起床し、すぐに出港、そして港に戻り、魚の選別や出荷準備をして夕方までには仕事を終えるのが一般的な生活スタイルです。

しかし、気象条件によっては何日も漁には出られない日々が続き、自分の力だけではどうにもならない現実にも直面するでしょう。

一方、遠洋漁業の漁師は、日本だけにとどまらず世界各地の海を旅することになります。

数ヵ月~1年にもおよぶ航海を続け、燃料の補給や休憩のために異国の港に立ち寄る機会もあります。

漁師の求人・就職状況・需要

若い人の積極的な採用活動が行われている

漁師の高齢化が課題となり、後継者の迎え入れや育成に取り組もうとする漁協や水産会社は増えています。

学校を出たばかりの人はもちろんのこと、脱サラして漁業を始めたいと考えている社会人や、定年退職して新たに漁業を始めたい人でも、年齢的に問題ないというケースもあるようです。

「一般社団法人 全国漁業就業者確保育成センター」などでも漁業就業セミナーが開かれているため、そうしたところから情報収集をすることで、就職先を見つけやすくなるでしょう。

漁師の転職状況・未経験採用

まずはどのような働き方をしたいかを考える

漁師になる時点で、特別な経験や知識、スキルなどは求められることはほとんどなく、覚悟さえあれば誰でも漁師の世界へ飛び込むことができます。

とくに大型船の乗組員として世界各地の海で漁をする「遠洋漁業」の漁師になる場合、個人で取得しなければいけない資格や免許はありません。

各地の漁協などの求人情報を探してみるとよいでしょう。

一方、「沿岸漁業」の漁師になりたいのであれば、基本的には個人事業主として自分の船と漁具で仕事をするため、それらを揃えたり、「小型船舶操縦士免許」や「海上特殊無線技士免許」の取得に向けて動くなどの準備が必要になってきます。

漁師の現状と将来性・今後の見通し

新たに漁師を目指す若者の活躍に期待が集まる

漁獲高の減少や原油価格の高騰など、近年、漁業をとりまく環境は厳しくなっています。

また、輸入ものや養殖ものが安価で手に入ることになったことから、「命がけで獲ってきた魚が高く売れない」といった事態も発生しています。

現代の漁師には、できるだけ経費を抑えて売上を伸ばすための知恵と工夫が求められています。

漁師の高齢化が社会課題となっているなか、若手漁業従事者を増やすための制度や取り組みが各地で急増しており、そのようなサポートを積極的に受けることで、これから漁師を目指す人にもチャンスは大いにあります。