気象予報士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「気象予報士」とは

気象予報士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

膨大な気象関連データを基に天候を予測し、人々にその内容をわかりやすく伝える。

気象予報士の仕事は、各種の気象データを基に、今後の天候を予測することです。

気象庁から提供される各地の観測データや気象レーダー、アメダスなどの情報を分析し、さらに各地域の地形や特性も踏まえたうえで、天気や気温、湿度、降水確率などを予想します。

気象予報士になるには気象予報士国家試験に合格する必要があり、合格率は5%前後の難関資格です。

この資格を取得した人だけが、気象を予報する業務ができると認められています。

おもな勤務先はテレビ局などのメディア各社や民間気象会社、商社などの一般企業などですが、気象予報士の求人は決して多くありません。

気象庁や自衛隊、地方自治体などで活躍する人もいます。

「気象予報士」の仕事紹介

気象予報士の仕事内容

データをもとに天候を予測する

気象予報士の仕事は、気象に関するさまざまなデータを収集し、天候を予測することです。

気象庁から提供される各地の観測データや気象レーダー、アメダスなどの情報を分析し、天気や気温、湿度、降水確率などを発表します。

予測された天候は、一般人の日々の生活に役立つのはもちろんのこと、企業でもさまざまな場所で活躍されています。

たとえば気温によって売れ行きが変わる季節商品の仕入れ数や、レジャー施設の入場者数予測、漁業や農業などなど、天候データが活用される場面は多々あります。

このように、天候の予測は見えないところでも多くの人に影響をおよぼしています。

的確な予報は人の命を守ることにもつながる

どれだけ技術が発展しようと、人間が自然をコントロールすることは不可能です。

さまざまな自然災害の可能性があるなかで、できる限り自然の動きを早めに察知して何が起きるのかを明らかにすることが、気象予報士の使命であり役割です。

もし大雨や台風が来ることが的確に予報できれば、事前に危険地域に警報を出し、人々を避難させることができます。

気象予報士は「気象のプロフェッショナル」として、人々の命を守ることができる職業といえます。

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気象予報士になるには

まずは気象予報士国家試験の合格を目指す

気象予報士になるには、まず気象予報士国家試験を受験し、合格して資格を取得する必要があります。

この試験では気象に関する専門知識、天気図を読み取る能力が問われます。

学歴や年齢制限はなく、過去には小学生の合格者も出ていますが、試験の難易度は高めで、合格率はわずか5%程度です。

メディア関連各社や気象予報会社へ就職

資格取得後はテレビ局や新聞社、民間の気象予報会社などへの就職を目指す人が多いですが、求人はあまり多くないため、就職活動は厳しいものとなるでしょう。

なお、気象庁で働く職員は気象予報士ではありません。

気象庁は国土交通省の外局であり、つまりは国の機関です。

そこに勤務する職員は国家公務員の身分であり、各国の気象機関などとも連携を図りながら、防災気象情報の収集や地球環境の情報発信などを行っています。

テレビなどで人々に天気をわかりやすく伝える気象予報士になりたい場合は、各企業への就職活動をおこなう必要があります。

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気象予報士の学校・学費

国家試験は学歴問わず受験可能

気象予報士を目指す人が受験する気象予報士国家試験では、学歴要件がありません。

年齢も問われず、幅広い人に門戸が開かれている試験となっていますが、気象に関連する専門知識を身につけるため、大学に進学してから受験する人が多いです。

気象に関して学べる大学の学部・学科は、理学部や理工学部、地球環境学科などがあります。

あまり数は多くありませんが、国立・私立ともに日本各地に存在するため、調べてみるとよいでしょう。

気象学を専攻せずに、他の学部・学科に進学したうえで、独学で国家試験合格を目指すことも可能です。

気象大学校から気象庁職員を目指す道も

一般的な気象予報士とは異なる、気象庁の将来の幹部候補を育成する期間として「気象大学校」という専門的な機関があります。

気象大学校は4年制であり、一般の大学と同じような一般教養のほか、気象の専門科目を学びます。

卒業後には気象庁に勤務する職員(国家公務員)の身分となります。

将来の幹部候補を育てる場でもあり、難易度は高いですが、気象に専門的に関わりながら国の機関で活躍したい場合には、気象大学校への進学を目指すのもよいでしょう。

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気象予報士の資格・試験の難易度

年齢や学歴は問わず受験できる

気象予報士国家試験は、毎年8月と1月の計2回行われるのが通例です。

基本的には誰でも受験可能なものとなっており、幅広い世代の受験者がいます。

年齢や学歴、男女差の制限がなく、2017年には11歳11か月で合格した小学生の女の子、2021年には12歳0か月で合格した小学生の男の子がいます。

しかし、このような例はまれであり、気象予報士試験の合格率は例年5%前後と難関です。

独学のほか、スクール、¥は各種講座を活用して勉強できる

気象予報士国家試験では、学科試験と実技試験の2段階で実施されます。

学科試験では、気象学の一般知識から専門知識まで広く問われ、ちょっとした勉強で合格できるようなものではありません。

ただし、市販の参考書や過去問題集を使えば独学が可能ですし、民間のスクールや通信講座も多数あるため、勉強方法は多彩です。

専門知識が問われるだけでなく、実技試験もある難易度の高い試験であり、独学の場合かなりの対策が必要です。

なお、学科試験で合格した科目は1年間有効となり、1年以内に再度試験を受ければ、前回合格した科目の受験を免除することができます。

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気象予報士の給料・年収

民間企業では各社で給与体系が異なる

民間企業で働く気象予報士の給料・年収は勤務先によって異なりますが、さまざまなデータを基に見ていくと、平均年収は450万円前後と考えられます。

難関の国家試験に合格した専門職ではありますが、必ずしも高収入が得られるわけではないようです。

しかし、大手企業のなかにはやや給与水準が高めで、ボーナス込みで500万円から600万円前後の収入が見込める場合もあります。

メディア各社で活躍する場合には、1年ごとに契約を更新していく「年俸制」をとることが多く、年収は300万円から500万円が相場とされています。

職場によっては24時間体制で天候の変化を観測し続けなくてはならないこともあり、残業手当や深夜手当などがつくと給料が高めになることがあります。

公務員として活躍する場合の給料・年収

あまり数は多くありませんが、自衛隊の気象予報官や気象庁職員などの国家公務員として活躍する人もいます。

この場合の平均年収は、20代から30代にかけては300万円~500万円ほどですが、年功序列の要素が濃いため、経験を積むと確実な昇給が望めます。

さらに昇進してポストを上げていけば、民間企業に勤務するよりも高めの収入を見込みやすくなります。

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気象予報士の現状と将来性・今後の見通し

プラスアルファのスキルがある気象予報士のニーズが高まる

気象予報士は難易度の高い国家資格ですが、勤務先が限られていること、求人数が少ないこともあって「資格をとれば一生安泰」といったものではありません。

資格を取得したものの就職できない人もいるため、気象予報士国家試験を受験する場合、しっかりとその後の進路を定めておく必要があるでしょう。

就職は楽でなくても、気象予報士のニーズは十分にあります。

最近ではリアルタイムで精度の高い予報が求められるようになっており、とくに民間の気象会社が優秀な気象予報士を求める例も増えています。

気象データをマーケティングや農作物の生産などに利用する一般企業も増えており、従来の気象予報を超えた、幅広い活躍ができる気象予報士のニーズは増していくでしょう。

英語力やビッグデータの分析力など、プラスアルファとなる能力を身につけていれば、活躍のチャンスは大きく広がるでしょう。

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気象予報士の就職先・活躍の場

マスメディアや民間気象会社など

気象予報士の多くは、民間のテレビ局やラジオ局、気象会社、あるいは気象庁や自衛隊などの公的機関でも活躍しています。

ただし、テレビやラジオなどで活躍する「お天気キャスター」は、必ずしも気象予報士の資格を持っている人ではありません。

気象予報士の資格取得後にメディア関係の仕事に就く人は、全体の10%前後しかいないといわれています。

実際の気象予報士が登場して解説することもありますが、裏方としてキャスターのための台本をつくっているケースもあります。

一方、民間の気象会社には多数の気象予報士が在籍しており、気象庁のデータを基に、各地域の気象予測を行っています。

最近では独自のお天気アプリを開発したり、一般企業と取引してマーケティング関連サービスを提供したりと、特色ある事業を展開する気象会社も増えています。

このほか、商社やシンクタンクなどで、気象学の専門知識を生かして活躍する気象予報士もいます。

公的機関にて公務員として働く道も

民間ではなく、公的機関で国家公務員もしくは地方公務員の身分で活躍する気象予報士もいます。

その代表例が気象庁職員です。

気象庁で働くために気象予報士の資格は必要はありませんが、資格取得後に気象庁への入庁を目指す人は多いです。

また、自衛隊でも気象学の専門知識を生かした職種に就くことが可能です。

気象予報士の1日

勤務先によっては早朝や夜間の勤務もある

気象予報士の日々の業務スケジュールは、勤務先や担当業務などによって大きく異なります。

たとえば民間の気象会社に勤める場合には、仕事の進捗状況や季節によって勤務時間が変わったり、夜勤や早朝勤務が入ったりすることもあります。

異常気象時などは泊まり込みで不規則な勤務になる可能性もあります。

以下は、民間気象会社で働く気象予報士のある1日です。

9:00 出勤
10:00 データ分析・情報の収集
12:00 昼食休憩
13:00 クライアントと打ち合わせ
15:00 クライアントへ提出する資料の作成
18:00 退勤

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気象予報士のやりがい、楽しさ

人々の暮らしを支え、各地域の安全を守ることもできる

気象予報士が発信している天気予報は、人々の暮らしに密接に関わるものです。

たとえば晴れの天気予報が出たら、子どもたちが外遊びをしたり、外出を楽しんだりする人たちが増え、商業施設やレジャー施設の売上がアップします。

雨の天気予報が出ていたら、傘を持って通勤通学し、農家は雨が降る前に農作物を収穫することができます。

3ヵ月予報など先々の予報を見て、各種メーカーが商品の生産計画を立てることもあります。

このように、天気の予測があれば、人々はさまざまな恩恵を受けることができます。

また、大きな台風や洪水などの発生時には、事前に十分な情報を発信することで各地域の安全を守ることにもつながります。

気象学の専門知識を存分に発揮しながら人々の暮らしを支えることこそが、気象予報士の最大のやりがいといえるでしょう。

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気象予報士のつらいこと、大変なこと

常に最新の気象データと向き合って勉強を続ける姿勢

常に最新の気象データと向き合って勉強を続ける姿勢

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気象予報士に向いている人・適性

データや数字を見て、情報を分析することが得意

気象予報士の仕事の大半は、膨大な気象データの解析です。

近年ではAIにより自動で予測される部分も多いですが、気温・湿度・前線や気団の活動・雨雲の動きなどをチェックし、より精度の高い気象情報を導き出すには「分析力」が欠かせません。

多くの気象データを読み解き、解析していかないといけないため、筋道を立てて考えることのできる能力が必要になります。

文系の人でも気象予報士にはなれますが、理数系の能力が問われる仕事です。

集中して情報を集めたり分析したりすることができ、なおかつそれが苦ではないタイプの人が気象予報士に向いているといえるでしょう。

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気象予報士志望動機・目指すきっかけ

天候への興味が最大のきっかけに

気象予報士を目指すきっかけは人それぞれですが、多くの人の原点となっているのは「天候への興味・関心」です。

子どもの頃から空を眺めて色や雲の形を観察するのが好きだったり、虹や蜃気楼のような気象現象に感動した体験などがきっかけとなったりして、「天候についてもっと知りたい!自然と関わりたい」といった思いが、気象予報士を目指す意欲につながっていくケースが見られます。

このほか、実家が農業や漁業など天候と密接に関わる仕事をしてため、天候に興味が湧いたという人もいます。

また、レジャーやアウトドアスポーツが好きで、趣味のなかで気象情報の収集や分析をしていた人が、プロを目指すというケースもあるようです。

気象予報士の雇用形態・働き方

民間企業では正社員として雇用されるケースが多い

気象予報士の多くは気象学に関する専門知識を生かして働くため、民間企業勤務の場合、ほとんどが正社員として雇用されます。

一方、気象庁や自衛隊で勤務する人など、公務員の身分で働く人もいます。

放送局などのメディアに勤める場合は、1年ごとに契約を結ぶ形態がとられることがあります。

この場合、民間の気象会社から派遣されて放送局で仕事をするケースが中心で、メディア各社と直接雇用契約を結んで働く気象予報士は少数です。

もともと気象予報士の求人自体がさほど多くありませんが、アルバイトや契約社員の求人となると、さらに見つけるのは難しいです。

気象予報士の勤務時間・休日・生活

勤務体系は不規則になりがち

気象予報士は、刻一刻と変化し続ける天候の情報を扱います。

そのため、朝夕の定時出勤・出社だけでなく、早朝勤務や深夜勤務など不規則な生活になりがちです。

天気予報は24時間365日、常に休むことなく発信される情報であるため、一般の会社員のように、決まった時間帯で働いたり、定期的に休日を取るのは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

大型連休や、桜の季節、雪の季節などは多くの人が天気予報に注目するため、気象予報士はとくに忙しく動き回ります。

一部の職場では、ある程度規則的な勤務体系となりますが、台風の接近や大雨が予測される時などは、急な休日出勤や長時間の残業となることもあります。

気象予報士の求人・就職状況・需要

新たな活躍の場が増えつつある

近年、気象予報士のニーズが増しているのが民間の気象会社です。

公的機関よりも、こうした企業での求人件数が増えている傾向にあります。

インターネットが一気に普及したことによって、天気予報は従来のようにテレビやラジオや新聞でチェックするだけではなく、パソコンやスマートフォンで気軽にチェックできるようになりました。

また、地域ごとに細かく天気を予測できるお天気アプリも急増し、いつでも誰でも、簡単に天気予報を見ることができる環境が整っています。

こうした新しい気象予報サービスを陰で支えるために、民間の気象会社を中心に気象予報士の採用が増加傾向にあります。

関連記事気象予報士の就職・求人の状況

気象予報士の転職状況・未経験採用

資格さえあればどんな仕事からでも転職できる

気象予報士の資格を取得するために特別な学歴は必要なく、さらに職歴に関しても関係ありません。

実際に気象予報士に転職した人のなかには、サラリーマンやOLから転職した人もいれば、公務員や主婦から転職したケースもあり、じつにさまざまです。

さらに、気象予報士の試験には、年齢制限がありません。

40代や50代になってから一念発起して資格を取得し、新しい世界で仕事をすることも可能です。

もちろん、資格を取ってもすぐ転職先が見つかるとは限りません。

しかし専門性の高い資格のため、一度取得すればその知識を生かして年齢関係なく働くことができるのは魅力といえ、自分の努力や行動次第では長期的にキャリアを築くことができます。

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独学で気象予報士試験に合格できる?

独学で合格を果たしている人も少なくない

気象予報士国家試験の合格率は、例年5%前後であり、決して易しいものではありません。

しかし、気象予報士試験に出題される問題の範囲や形式はほとんど決まっており、市販の書籍やインターネットなどを活用して過去問を入手することもできます。

自分で上手な勉強方法を見つけ出せれば、独学で合格を目指すのも決して無謀ではありません。

また、この資格試験は年齢も学歴も関係なく、過去には小学生の合格者も出ているほどです。

試験内容は高校や大学で学ぶ地学や物理の延長上なので、それらを学ぶことを苦にしない人であれば、前向きに勉強が続けられるでしょう。

なお、気象予報士試験では、天気図を見て今後の気象予測を立てて文章化するというような問題もあります。

とにかく過去問を数多く解いていき、パターンを覚えて実践力を磨くことが重要なポイントです。

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