地理学(読了時間:4分14秒)

地理学の概要・理念

地理学には、文化や民族、経済といった切り口で地域を捉える人文地理、生物の分布や河川などによる水の循環から土地を捉える自然地理、地域性や郷土史に着目する地誌の三分野があります。

広い意味では自然と人間の生活の関係全般を扱う学問であり、古くから「地理学と哲学は諸科学の母」と言われるほど汎用性の高い学問とされています。

地図学や交通地理学、計量地理学といったように、地理学がカバーする範囲は非常に広いのです。

近年では環境問題や自然災害といった諸問題が地球規模で発生しており、改善策を講じる上で地理学が重要な役割を果たしています。

地理学は一般的に文系の学問とされていますが、GIS(地理情報システム)も地理学における研究対象とされているなど、文系の範疇に留まらない学問と言えます。

なお、理系の学問に地球科学がありますが、これは自然現象そのものを研究対象としていることから、地理学とは異なる学問であることに注意が必要です。

地理学で学ぶこと

高校までの社会においても地理を習いますが、地理学においてはより細分化された視点から土地や自然を捉えていきます。

1・2年次は人文地理学や自然地理学の概要について基礎的な知識を学びます。

3年次からはフィールドワークを含む実践的な研究に取り組みます。

研究の対象となる地域は国内に留まらず、外国の諸地域も含まれますので、現地での調査を行う際に語学は非常に重要なツールとなります。

地域によっては数か月単位で現地調査に赴くこともありますので、夏休みなどを利用して調査が行われる場合もあります。

フィールドワークで収集した情報を分析し、論文としてまとめ上げます。

地理学における調査や分析方法、論文のまとめ方について、基本的なルールを学ぶことも研究成果をまとめる上で重要な要素と言えます。

地理学の大学での授業科目の例

地形学

地表の起伏などの形態に着目し、現在の地形の特徴のみならずその成因や発達史について深く追究します。

社会地理学

地域における社会現象全般から、地域ごとの環境・福祉・厚生、さらには地域間格差などについて、地理学の視点から検証します。

文化地理学

ある地域で人々が暮らしたことによる文化景観について分析し、政治的・経済的な現象との関わりについて考察します。

気候学

大気地理学とも呼ばれ、地域ごとの気象現象を緯度・海抜高度・地形・植生・海流・水陸分布といった諸因子がどのように影響しているかを研究します。

観光地理学

歴史的背景や自然景観といった要素が観光に与える影響について考察し、リゾート開発や過疎地の地域振興に向けた方策を立案することもある、比較的新しい地理学の分野です。

地理学のレポート・テーマの例

地理学のレポートや論文は、ある地域を研究対象として設定した上で特定のテーマに沿った分析・考察を行うのが一般的です。

ただし、テーマそのものは多岐にわたっており、幅広い知見と調査が求められる学問と言えます。

  • ・小学校統廃合がもたらす 子供の遊び空間への影響
  • ・水環境情報とGISを活用した流域環境保全・管理に関する研究
  • ・在留インド人コミュニティ形成と趨勢
  • ・東京首都圏における春・秋季の気温日較差とヒートアイランド現象の対応
  • ・東京ディズニーリゾートへの訪問要因と観光行動

地理学と関連する学問

自然地理学は気象学や地球科学、生態学、地質学などと関連のある分野です。

人文地理学は社会学や経済学、歴史学、人類学、民族学などと関連しています。

また、フィールドワークにおいては現地で暮らす人々にヒアリングを行う場合がありますが、収集した情報を分析するプロセスにおいては心理学の手法を用いることもあります。

地理学はカバーする領域が幅広い学問であるだけに、関連する学問の幅も広く、多彩な教養や知見が必要とされます。

地理学を学んで就職に有利な業界・仕事

地理学を通じて地域の振興や発展、文化の継承について考え抜いてきた経験は、地方自治体の職員として活かすことができます。

他にも、地理書や地図を扱う出版社、交通機関、気象予報士、旅行会社などにおいて、地理学で学んできた知識を発揮して活躍することが可能でしょう。

フィールドワークで身につけたコミュニケーション能力や取材力は、マスコミにおける記者やコンサルタントとして働く場合にも応用可能です。

このように、地理学の専門知識を直接活かせる仕事となると限定されがちですが、地理学を通じて身につけた知見や経験を活かすことを想定するのであれば、力を発揮できる業界は数多くあると言えるでしょう。

近年では多くの業界において災害や少子高齢化の問題が顕在化しており、社会問題を解決する上で地理学の知識が必要とされる場面は増えつつあります。

防災、環境問題、少子高齢化といった諸問題を解決へと導く上で、地理学の知識を役立てられるはずですので、地理学を学んだことで有利になる可能性のある就職先は非常に多いと考えていいでしょう。

地理学の知識は人生でどう役立つ?

地理学の研究対象となるのは「地域」そのものですが、さまざまなものの見方をしたり、得た情報を相互に関連づけたりする際には思考力が必要になります。

独自の視点で物事を見ていく観察力や、得た情報の本質を見出す洞察力は、これから生きていく中で活かせるはずです。

また、データを収集し分析したのち、レポートや論文にまとめる過程で図表などにして示す必要があります。

インプットした情報を見る人に伝わるアウトプットへと結びつける力は、将来どのような仕事をする上でも役立つことでしょう。

さらに、フィールドワークを通じて得たコミュニケーション能力や、粘り強く取材を続ける精神的なタフさは、人生の困難な場面を乗り越えていく力を与えてくれるはずです。

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