税理士とFP(ファイナンシャルプランナー)の違い

税理士とFP(ファイナンシャルプランナー)は、どちらもクライアントからお金やライフプランの相談を受け、アドバイスやサポートを行う職業です。

ただし、双方の得意とする分野は異なるほか、税理士には税理士にしかできない「独占業務」があるなど、さまざまな違いも見られます。

この記事では、税理士とFPのさまざまな違いについて、詳しく紹介します。

税理士とFPの仕事内容の違い

税理士とFP(ファイナンシャルプランナー)は、どちらもクライアントからお金やライフプランの相談を受け、アドバイスしたりサポートしたりする職業です。

ただ、双方の得意とする分野は異なっており、税理士は税金や企業会計、一方のFPは資金計画や保険、住宅ローンなどに強みがあります。

また、決定的な違いとして、税理士には税務代理や税務相談といった税理士にしかできない「独占業務」があるのに対し、FPにはそれがないという点が挙げられます。

たとえば、FPであっても、一般的な税金の相談に乗ることは可能ですが、個別の税額を計算したり、節税対策などの具体的な話をすることは、税理士の独占業務を侵すことになるため禁止されています。

おおまかにいえば、税金に関する事務手続きやコンサルティングを専門的に行うのが税理士で、広くお金に関する相談に乗るのがFPであるといえるでしょう。

ファイナンシャルプランナーの仕事

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税理士とFPのなる方法・資格の違い

税理士になるには、税理士試験を受けて合格した後に、2年間の実務経験を経て資格登録する方法が代表的です。

ただ、試験を受ける以外にも、税務署などに23年以上勤務したり、弁護士公認会計士の資格を取得することで、試験を受けることなく税理士になることができます。

これに対して、FPにはいくつかの国家資格や民間資格が存在し、国家資格である「ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP技能検定)」資格を取得してFPとして働くケースが一般的です。

FP技能検定には、難易度の異なる1級、2級、3級の資格がありますが、FPを本業とするなら2級資格以上を取得することが望ましいでしょう。

なお、双方の資格ともに受験要件があり、税理士試験については大学で特定の科目を履修するなど、FP技能検定については受験する級の下の級に合格済みであるなどの条件を満たすことが必要です。

税理士とFPの資格の難易度の違い

税理士試験は、税務や会計などの全11科目のうち5科目に合格することが条件となっていますが、1つの科目だけでも合格には数百時間の勉強が必要で、資格取得までには最低でも2500時間ほどかかるとされています。

このため、税理士の資格取得には数年間、人によっては10年以上かかるケースもあります。

これに対し、FP技能検定に合格するための必要な勉強時間は、3級資格で80時間~150時間、2級資格で150時間~300時間が目安とされています。

数ヵ月ほどの準備期間があれば合格できるレベルであり、難易度を比較した場合は、税理士のほうがFPよりはるかに難しいといえるでしょう。

ただ、FP1級については試験問題自体の難易度が格段に上がるうえ、受験するには一定年数の実務経験が必要であるため、FPとして働きながら勉強に励むことになります。

学生時代と違って、社会人はまとまった勉強時間を確保することは困難であることを考えても、1級資格取得にはかなりの努力を要するでしょう。

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税理士とFPの学校・学費の違い

税理士になるための学校には多様な選択肢があり、民間の資格専門予備校やスクール、税制を学べる大学や大学院の文系学部などが挙げられます。

受験するためには学歴や社会人経験など、いずれかの条件を満たす必要があるため、個人の事情に合わせて通うべき学校を選ぶとよいでしょう。

なお、大学卒業後に大学院まで進み、会計学や税法に関する学位を取得できれば、税理士試験における科目の一部が免除されるため、大学・大学院に進学するルートは資格取得上有利といえるでしょう。

これに対し、FPになるためには絶対に学校に通わないといけないわけではありません。

また、FPの試験の受験者の多くは社会人であり、終業後の時間に通信講座などを利用して自宅で勉強するケースが目立ちます。

とくに入門資格という位置づけの3級資格については、独学でも十分に合格は可能です。

もちろん、1級資格・2級資格も含め、FP技能検定の対策講座を開講している民間の予備校も多数あるため、スクールに通って集中的に勉強するのもよいでしょう。

税理士とFPの給料・待遇の違い

企業に勤めている税理士の給料は、勤めている企業の規模や個人の能力によって差がありますが、平均年収は700万円前後とされています。

また、独立している場合は、より個人間の格差が大きくなるため一概にはいえないものの、年収1000万円を超えている人も珍しくなく、税理士会の統計によれば2000万円以上を得ている人も一定数います。

これに対してFPは、基本的に生命保険会社などの金融機関や不動産業界で働くサラリーマンが大多数であることから、収入はそれぞれの企業の給与体系に従うことになります。

企業によっては、毎月の給与に追加して保有資格に応じた資格手当が支給されることもあるため、同じ企業内で勤めている人よりは若干収入が増える可能性が高いでしょう。

FPとして独立することも不可能ではありませんが、純粋なFP業務のみで税理士のように年収1000万円を超えるような高給を得ている人はあまり多くありません。

税理士とFPはどっちがおすすめ?

資格取得の難易度の差をみてもわかるように、税理士は税理士として専業でやっていく決意の固まっている人が目指す資格で、一方のFPは会社員などがスキルアップのために目指す資格です。

税務に対する関心が高く、専門性を突き詰めていきたい人や、将来的に独立開業を志している野心のある人は税理士のほうが向いているでしょう。

反対に、独立というようなリスクのある働き方をするのではなく、銀行や保険会社など、ある程度事業基盤の安定している企業で会社員として働きたいなら、FPを目指すのがおすすめです。

もしも、自分がどちらに向いているのかいまいちよくわからないなら、税理士試験についてはどれか1科目、FP技能検定については3級のテキストを、書店などで実際に手に取ってみるとよいかもしれません。

とくに税理士を目指すなら、高校時点での文系・理系選択も重要になるため、税理士とFPのお金に関する関わり方の違いを知って、進路決定に役立てるとよいでしょう。

「税理士とFPの違い」まとめ

税理士とFPは、どちらもお金に関する専門的な知識を持って活躍するものの、仕事内容や対象顧客などには大きな違いがあります。

また、試験の難易度としても税理士のほうが高く、合格までに膨大な勉強量が必要になります。

税理士とFPのどちらにも興味を持っている人は、まずそれぞれの仕事内容や活躍の仕方について詳しく調べてみるとよいでしょう。