土地家屋調査士として独立・開業するには?

土地家屋調査士の独立後の働き方・仕事内容

土地家屋調査士は独立・開業を前提とした資格の一種であり、多くの土地家屋調査士は、自分の個人事務所を開設したり、複数の有資格者でタッグを組んで土地家屋調査士法人を組織したりして、経営者として働いています。

フリーランスの土地家屋調査士の仕事内容は多岐にわたります。

顧客へのヒアリングから、測量作業、製図作業、隣地所有者との交渉、法務局への申請手続きに至るまで、ほぼ一人でこなすケースもめずらしくありません。

また、土地家屋調査士本来の仕事だけでなく、報酬の請求や経費処理といった経理作業、雇っているスタッフの管理、税理士との打ち合わせなど、経営者としての仕事も多数あります。

さらに、地域の集まりやイベントに参加したり、法人企業に対してアプローチするなど、安定的に依頼を獲得するための営業活動を行うことも非常に大切です。

町内会や青年会、商工会など、地元組織の役回りも、頼まれれば引き受けないわけにはいかないでしょう。

かつてのように、看板さえ掲げていれば自然と案件が舞い込んでくる時代ではなくなっているため、開業した土地家屋調査士は、積極的に自身の顔を売っていく努力が不可欠といえます。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す(PR)

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

土地家屋調査士が独立開業するまでのキャリアパス

土地家屋調査士は、資格制度上は、試験に合格して資格を登録した後、すぐに独立・開業することもできます。

しかし、測量業務や法務局への登記申請手続きは専門的なスキルと知識が必要であり、資格を取っただけでこなすことは非常に困難です。

このため、独立する前に、まずは土地家屋調査士事務所や測量会社などに就職して、実務経験を積むケースが一般的です。

数年程度勤務して、一連の業務を単独で手掛けられるようになったら、開業届を提出して、フリーランスとして独立します。

なお、近年は土地家屋調査士間の競争が激しくなっているため、安定的に依頼を得るためには、人脈づくりが非常に重要です。

勤務している間に、法人企業、役所の建設課や道路課、他士業事務所など、仕事の関係者と積極的に交流して、できる限りコネクションを拡げておくことが望ましいでしょう。

土地家屋調査士のフリーランスのメリット・デメリット

土地家屋調査士の業務に必要なものは、測量機材一式とCADが使えるパソコン、事務用品、自家用車程度です。

自宅を事務所兼用にすれば家賃もいりませんし、一人ですべての仕事をこなすとすれば、人件費も不要です。

このため、土地家屋調査士は、独立・開業するに際して、初期投資費用もランニングコストも、かなり安く抑えることができる点が大きなメリットです。

経費がかからない一方、土地家屋調査士には資格保有者しかできない「独占業務」が複数あり、少なくとも無資格で起業するよりははるかに収入を得やすいため、独立が成功しやすい職業といえます。

反対に、土地家屋調査士がフリーランスになる最大のデメリットは、収入が不安定になりやすい点です。

勤務していれば、月々決まった日に決まった額の給料が振り込まれますが、独立して経営者となると、月々の収入は、こなした案件の数次第となります。

土地家屋調査士の需要は、世の中の景気の波にさらされやすいため、とくに不景気で住宅着工件数が落ち込む時期は十分な依頼を獲得するのが困難になる可能性もあります。

上述したように、ある程度経営者としての営業手腕がないと、事務所経営を継続できなくなって、最悪の場合廃業に追い込まれることもあるかもしれません。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

土地家屋調査士のフリーランスの給料・年収

独立して働く土地家屋調査士は、年収400万円~600万円前後が相場とされています。

しかし、実際には個人によってばらつきがあり、年収1000万円以上を稼いでいる人がいる一方で、年収300万円以下で、事務所経費を差し引くと生活していくのが精いっぱいという人もいます。

安定的に収入を得るための方法は、おおまかに2つあります。

ひとつめは、繰り返し依頼を得られる顧客を1人でも多く掴むことです。

個人顧客が土地家屋調査士を利用するのは、せいぜいマイホームを購入するとき、つまりほぼ人生1度きりであり、継続的な顧客とはなり得ません。

そのため、たとえばハウスメーカーなどの不動産会社や、建設会社、工務店、建設コンサルタントなど、法人企業の担当者からの信頼を得て、人間関係を築いておくことが大切です。

ふたつめは、土地家屋調査士資格だけでなく、「司法書士」や「行政書士」など、ほかの他士業資格を取得して、兼業で事務所を経営することです。

ダブルライセンスになれれば、収入を得る手段が単純に2倍になって、経営が安定しやすくなりますし、相乗効果を考えれば2倍以上のメリットが得られるかもしれません。

働きながら試験勉強に励むには、プライベートの時間の多くを犠牲にする必要があり、体力的にも精神的にも大変かもしれませんが、努力に見合うだけの価値は十分にあるでしょう。