土地家屋調査士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「土地家屋調査士」とは

土地家屋調査士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

土地の調査や測量をし、不動産の表示に関する登記の申請手続きを独占的に行う。

土地家屋調査士とは、土地の測量および表示に関する登記の専門家です。

世の中のあらゆる土地や建物は、法律によって、所有者や所有地、面積などのさまざまな情報を、法務局に正しく登録することが義務付けられています。

こうした背景の下、土地家屋調査士はお客さまから依頼を受けると、土地や建物がどこにどのような形状で存在し、何に利用されているかを調査および測量します。

そして登録に必要な書類を作成後、法務局への申請手続きを行います。

このような登記業務や、境界紛争の解決手続きの一つの手段である「筆界特定」に関する代理業務は、土地家屋調査士が独占的に手掛けられるものです。

土地家屋調査士になるには、合格率10%以下の難しい国家試験に合格し、資格を取得する必要があります。

資格を得た人は土地家屋調査士事務所や測量会社などに勤め、数年程度の実務経験を積んで独立するのが一般的なキャリアパスです。

なお、土地家屋調査士は50代以上の資格保有者が全体の約7割を占めているとされ、年齢が高めの人の活躍が目立ちます。

「土地家屋調査士」の仕事紹介

土地家屋調査士の仕事内容

不動産を正しく調査・測量し、必要な法律上の手続きを行う

土地家屋調査士は、不動産登記に関する専門家です。

「不動産登記」とは、建物や土地などのあらゆる不動産に関して、その所有者や所在地をはじめ、面積や構造などの詳しい情報を記した内容を、国の定めによって登録することです。

登記を行うことで、不動産の持ち主は第三者に対して「自分の不動産だ」と正しく証明できたり、銀行から住宅ローンを借りたりできるようになります。

とくに建物を新築する際には、まだ登記が行われていないため、その面積の測量をし、構造や用途といった情報もあわせて新規で法務局に届け出て登録する必要があります。

こうした「表題登記業務」といわれる業務を行うことが唯一許されているのが、土地家屋調査士です。

その他の土地家屋調査士の業務

土地家屋調査士のもうひとつの独占業務は、土地の境界が曖昧な場合に、測量・登記することで境界を確定させる「筆界特定」を行うことです。

なお、測量の仕事をする職業として「測量士」もありますが、測量士は、あくまでも土木工事や建築工事のために測量をするなどの業務を手掛け、筆界特定業務を行うことは認められていません。

こうした業務のほか、土地家屋調査士は、土地を分ける「分筆(ぶんぴつ)」や土地をまとめる「合筆(ごうひつ)」を手掛けたり、上記に挙げた手続きに付随する審査請求や裁判外紛争手続き(ADR)などまで担当することがあります。

不動産関連の法律の専門家としての一面も持ち、健全な不動産取引に貢献しています。

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土地家屋調査士になるには

土地家屋調査士国家試験の合格を目指す

土地家屋調査士になる一般的な方法は、まず土地家屋調査士国家試験を受験し、合格することです。

合格後、各都道府県の土地家屋調査士名簿に登録することで、土地家屋調査士を名乗って業務を請け負えるようになります。

土地家屋調査士の国家試験には学歴や年齢、実務経験などの定めがないため、誰でも受けることができます。

しかしながら、その内容は非常に専門性が高く、素人が軽い気持ちで受験して合格できるようなものではありません。

そのため、ほとんどの人は、民間の予備校や大学、専門学校などに進学し、不動産登記法に関する法律知識や、測量に必要な三角関数の計算方法などの高度なスキルを身につけてから試験を受けています。

仕事をしながら試験勉強をする人も多い

土地家屋調査士のおもな勤務先は、土地家屋調査士事務所や測量会社です。

国家資格を得れば独立することも可能ですが、まずは実務経験を積んでスキルを高めるために、これらの企業へ就職して働くのが一般的です。

なお、土地家屋調査士は「測量士補」などの資格を取得していれば、国家試験のうち一部の科目が免除されます。

また、30代や40代以上で目指す人が目立ち、社会人として仕事を続けながら勉強に励む人が少なくありません。

そのため、まずは土地家屋調査士よりは難易度が低めの「測量士補」として測量会社などに勤めながら、土地家屋調査士へのステップアップを目指すのもひとつの手といえるでしょう。

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土地家屋調査士の学校・学費

大学や専門学校、また民間の資格スクールを活用できる

土地家屋調査士の国家試験を受けるために、必ず通わなくてはならない学校はありません。

学歴不問で受験できる試験であるため、熱意さえあれば、どのような学校を出た人でも土地家屋調査士を目指せます。

しかしながら、土地家屋調査士調査士試験の合格率は例年10%以下で、不動産登記をはじめ、さまざまな専門的知識・スキルが要求されます。

学校やスクールで関連知識を学んでおくほうが、試験対策は効率的に進むでしょう。

大学であれば工学部や理工学部の土木工学科、まちづくり学科、建築学科など、専門学校であれば土木系、建築系、工業系コースのある学校が選択肢に挙がります。

また、大学に進学して「大卒」の学歴を得れば、土地家屋調査士事務所などへの就職の際にも有利にはたらくことがあります。

なお、大学や専門学校と合わせて、国家試験対策については民間の資格スクールを活用し、いわゆる「Wスクール」で勉強する人もいます。

土地家屋調査士の資格・試験の難易度

土地家屋調査士の資格とは

土地家屋調査士は、法務省を監督官庁とする国家資格です。

国家試験に合格するか、法務省職員として一定年数勤めた後に、法務大臣からの認定を受けることによって、取得できるものとなっています。

土地家屋調査士資格の特徴は、資格保有者のみが請け負える「独占業務」があることです。

具体的には「不動産の表題登記」や「筆界特定」がそれにあたり、土地家屋調査士以外が、これらの業務を第三者から請け負った場合は、法律による処罰の対象になります。

どれだけ勉強時間を確保できるかがポイント

土地家屋調査士の国家試験は「筆記試験」と「口述試験」の二段階選抜で実施されます。

筆記試験は午前の部と午後の部に分かれており、試験時間は午前が2時間、午後が2時間半と、長丁場です。

平面測量に関する計算問題や作図問題も出題されるため、丸暗記のような勉強法ではなかなか歯が立ちません。

口述試験は、土地家屋調査士の業務に必要となる基礎知識について、1人15分程度で面接が実施されます。

両方の試験に合格した最終的な合格率は例年10%以下で、国家試験のなかでも難易度は高めです。

合格までに必要な勉強時間は700時間~1000時間程度とされています。

土地家屋調査士の国家試験は社会人が受験するケースが多いため、働きながらどれだけ勉強時間を確保できるかが、合格に近づく重要なポイントといえます。

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土地家屋調査士の給料・年収

雇われて働く人と、独立・開業する人で収入に違いがある

土地家屋調査士は、一般的に資格取得後の数年間は、実務経験を積むために土地家屋調査士事務所や測量会社に所属し、雇われて働きます。

その後、ある程度のキャリアを積むと、独立して自分の事務所を開業する人が増えることが特徴です。

こうした事情もあって、「雇われて働く人」と「独立・開業者」では収入に差が出てきます。

各種のデータから、土地家屋調査士事務所などでの勤務時代の平均年収は400万円前後と推定できます。

資格取得まもない人が多いこともあって、あまり高い水準とはいえませんが、社内でキャリアを積むことで昇給も見込めます。

勤務先によっては、社会保険やボーナスの支給、各種手当など、さまざまな福利厚生が整っており、安心感をもって働けるでしょう。

他資格もあわせ持ち、収入アップにつなげる人も

独立・開業後の土地家屋調査士の年収は、「人による」というのが正確なところです。

年収1000万円以上など勤務時代よりも多くの収入を得る人がいる一方、食べていくのがやっとの人や、経営が厳しく廃業に追い込まれてしまう人もいるのが現実です。

なお、土地家屋調査士が行う表題登記や筆界特定の業務は、「司法書士」や「行政書士」「宅建士」「不動産鑑定士」など、ほかの士業資格者が手掛ける仕事と密接な関係にあります。

これらの国家資格をダブルライセンス・トリプルライセンスで取得することで、収入アップにつなげている人もいます。

その他、開業後に成功するには、どの地域やエリアで開業するか、どのように集客するかといった、さまざまな経営課題を解決していく力も必要になります。

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土地家屋調査士の現状と将来性・今後の見通し

生き残っていくための工夫と模索が必要

以前の土地家屋調査士は、「資格を取得して独立したら生涯安泰、年収数千万円を得て大成功」とみなされることもありました。

しかしながら、2003年の規制緩和によって土地家屋調査士の報酬基準額が撤廃されてからは、案件獲得競争の激化によって、1件あたりの報酬単価が下落しています。

現在の土地家屋調査士は、昔のような高収入を得るのは難しくなっており、ただ資格を取っただけでは活躍できない可能性も十分にあります。

とくに、土地家屋調査士の需要は景気変動の影響を受けやすく、好景気であれば案件量が多いものの、不景気になるとその逆となります。

少子高齢化がますます進む現在の日本では、先行きは不透明といわざるを得ません。

それでも、将来的に土地家屋調査士のニーズが完全になくなることは考えにくく、努力や工夫次第で選ばれる存在になることは可能です。

たとえば、業務に関連性のある「司法書士」や「行政書士」の国家資格をあわせて取得したり、開業地域のニーズに沿う事業展開を行ったりと、他者との差別化を図っていくことが、今後はよりいっそう重要になっていくでしょう。

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土地家屋調査士の就職先・活躍の場

土地家屋調査士事務所などに勤務後、独立・開業する人が多い

土地家屋調査士の主要な就職先は、土地家屋調査士事務所や登記測量事務所です。

日本各地にこのような事務所が存在していますが、これらの多くが代表者一名のみで経営を行っており、求人が出ることはさほど多くありません。

ただし、ある程度規模が大きな事務所では、代表者以外に、数人の土地家屋調査士が雇われていることもあります。

土地家屋調査士は独立・開業することが半ば前提の資格となっているため、事務所に勤務することで、開業後の経営イメージを掴みやすいでしょう。

また、調査や測量などを手掛ける測量会社でも、自社内に土地家屋調査士を雇うところがあります。

測量会社では、個人の土地家屋調査士事務所に比べると、国や地方自治体などの公的案件を手掛けるチャンスも多めです。

このほか、土木建設会社や建設コンサルタント会社などで活躍する土地家屋調査士もいます。

ここではいくつかの勤務先を取り上げましたが、スキルや経験を積んだ土地家屋調査士の多くが、自身の土地家屋調査士事務所や登記測量事務所を開業、あるいは親が開業した事務所を継いでいます。

土地家屋調査士の1日

デスクワークとフィールドワークのどちらの業務もある

土地家屋調査士の業務の特徴は、CADを用いた計算作業や製図作業、法務局へ提出する申請書類の作成といった「デスクワーク」と、対象物件の測量作業や調査といった「フィールドワーク」の双方を手掛けることです。

このため、事務所での内勤中心に1日を終えることもあれば、日中はずっと外に出ずっぱりということもあります。

いくつかの案件を同時進行で抱えることも多いため、スケジュールをコントロールしながら、段取りよく業務を進めていくスキルが必要です。

ここでは、土地家屋調査士事務所に勤務する土地家屋調査士のある1日を紹介します。

8:00 出勤
8:30 測量図の作成
11:00 法務局提出用の申請書類作成
12:00 休憩
13:00 顧客(不動産業者)と面談
15:00 顧客提出用の報告書作成
17:00 電話で案件関係者に連絡
18:00 退社

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土地家屋調査士のやりがい、楽しさ

土地家屋調査士にしかできない業務をし、名前が世に残ること

土地家屋調査士にとってのやりがいのひとつは、自分の手掛けた仕事が、誰かの目にも見えるかたちで残ることです。

たとえば、土地家屋調査士だけが作成できる不動産の「表題登記」は、やがてその建物が役目を終えて取り壊され、謄本を閉鎖する「滅失登記」が行われる日まで、長きにわたって法務局で閲覧され続けます。

また、土地の測量図などを作成した際には、そこに土地家屋調査士の名前が記載されます。

専門的な業務に従事して、自分の名前を世に残すことができることは、土地家屋調査士の誇りにつながります。

また、不動産の所有者は「表題登記」が完了してはじめて土地・建物の所有権を主張したり、銀行から融資を受けたりすることができるようになります。

さらに土地の境界線に関して隣人同士でトラブルになった際には、土地家屋調査士が当事者の間に入り、専門的な立場から境界を特定する業務を行うこともあります。

こうした業務を通じて、困難な状況にある人を助けられることも、土地家屋調査士にとってのやりがいのひとつです。

関連記事土地家屋調査士のやりがい・楽しさ・魅力

土地家屋調査士のつらいこと、大変なこと

肉体労働的な側面もあることや、調整業務での苦労

土地家屋調査士の業務は、事務所内でのデスクワークから、測量作業や周辺環境調査といったフィールドワークまで、幅広いものとなります。

屋外での作業については対象物件が市街地にあればよいのですが、ときには整備されていない場所や傾斜のきつい場所などもあり、ハードです。

国家資格の専門職でありながら、肉体労働的な側面もあることは、土地家屋調査士の特徴であり、大変な一面といえるでしょう。

また、土地の境界を確定させる「筆界特定」業務では、境界線について隣接する土地所有者双方の承認が必要になります。

スムーズに話が進むときもありますが、境界について土地所有者の認識が違っていたり、隣同士の仲があまりよくないケースに遭遇すると調整が難航し、人の間に立って物事を解決させていく苦労を感じることになるでしょう。

対応によっては裁判まで含めた大きなトラブルに発展しかねないため、土地家屋調査士は、慎重に仕事を進めていかなくてはなりません。

関連記事土地家屋調査士のつらいこと・大変なこと・苦労

土地家屋調査士に向いている人・適性

屋外で体を動かす仕事と事務仕事の両方を苦にしない人

土地家屋調査士に向いているのは、文系的な素養と理系的な素養の両方を備えている人です。

土地家屋調査士を目指すとなると、不動産登記法や民法といった法律に関する知識のほか、土地の測量に必要な計算能力および建物図面の作成に必要な空間把握能力や製図能力なども習得しなくてはならないからです。

もちろん、専門的な知識・スキルは、実際に資格取得の勉強をスタートしてから、あるいは実務を通じて身につけていくことが可能です。

また、そこまで高度なレベルを求められるわけではなく、数学の能力についても三角関数の基礎が理解できる程度で十分です。

目指す時点では、文系科目と理系科目(とくに数学)のどちらも、極端な苦手意識や嫌いなものがなければ問題ないでしょう。

もうひとつ、土地家屋調査士の仕事では、オフィスワークだけでなく、屋外での測量や調査作業などが含まれてきます。

体を動かす現場での仕事と、精緻な事務仕事の両方をバランスよくこなせる人に、土地家屋調査士としての適性があるといえます。

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土地家屋調査士志望動機・目指すきっかけ

関連業種からの転身やダブルライセンスを目指す人が多い

土地家屋調査士は、もともと社会人から目指す人が多い職業です。

30代以上で初めてこの職業の存在を知り、国家資格取得に向けた勉強をスタートするといった人が非常に多いです。

たとえば、建設業界で測量作業に従事してきた人が自身のキャリアアップのために、あるいはすでに「司法書士」の資格を有している人が、ダブルライセンスによって業務の幅を広げるために、土地家屋調査士に挑戦するケースなどがあります。

国家資格を取得すれば独立・開業を目指しやすいことや、年齢が上がっても活躍しやすい職種であることなどに魅力を感じ、この仕事を目指す人も増えているようです。

ただし、土地家屋調査士として生き残り続けるには、高度な専門性を身につける必要があります。

将来、どのようなスタイルで活躍したいのかをよくイメージして、資格取得に向けた歩みを進めていくことが大切です。

土地家屋調査士の雇用形態・働き方

就職して経験を積んだ後は、多くの人が独立・開業を目指す

土地家屋調査士の国家資格は、なかば「独立するための資格」といっても過言ではありません。

そのため、新規で土地家屋調査士資格を取得した人の多くは、まずは土地家屋調査士事務所などに正社員として就職し、経験を積みますが、将来的には独立したいと考えているケースがほとんどです。

なかには資格取得前に土地家屋調査士事務所で勤務し、働きながら国家資格取得に向けた勉強を続ける人もいます。

資格がない場合は土地家屋調査士の「補助者」としての業務が中心になり、アルバイトとして雇用されることも多いです。

それでも、現場の様子や先輩の仕事の仕方をすぐそばで見て学べるのは、試験勉強を続けるモチベーションにもなるでしょう。

土地家屋調査士の勤務時間・休日・生活

日によっては慌ただしく動き回るが、自由度は比較的高め

土地家屋調査士の仕事は、対象物件の調査や測量など、日中の明るい時間帯にしか行えないものが多くあります。

そのため、朝から夕方にかけての勤務が一般的で、固定された勤務時間内で規則正しく働きます。

事務業務が立て込んでいるときは、夕方以降に長時間残業をすることもありますが、案件の進捗状況に合わせ、自分で仕事の進め方をコントロールすることは可能です。

また、独立・開業した土地家屋調査士は、とくに自由度の高い働き方が可能です。

自宅兼事務所を構えて通勤時間なしで働く人もいますし、勤務時間や休日に関しては、お客さまの都合を考慮しつつも、自分のライフスタイルに応じて設定することができます。

ただし、人によっては独立後はお客さまの信頼を得るためにあちこち動き回り、勤務時代以上に多忙な日々を送る人もいます。

土地家屋調査士の求人・就職状況・需要

独立に必要な経験・スキルが身につく就職先を探す

土地家屋調査士の求人が多いのは、土地家屋調査士事務所や測量会社をはじめ、建設会社や建設コンサルタント会社などです。

また、司法書士事務所などの他士業事務所でも、土地家屋調査士の求人が出ることがあります。

土地家屋調査士は国家資格が必要な職種であり、なおかつ専門性が高い業務に従事するため、資格保有者は歓迎されます。

さらに、土地家屋調査士は雇われて数年ほど経験を積むと独立・開業するケースが一般的であるため、各事務所や企業では、定期的に新規スタッフを募集する傾向が見られます。

実務経験に乏しい若手や新人であっても、熱意次第では採用される可能性は十分にあります。

就職先を探す際には独立した後のことを見据え、どれだけ独立に役立つ経験やスキル、人脈を得られるかという観点から考えていくとよいでしょう。

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土地家屋調査士の転職状況・未経験採用

社会人経験者が転職によって目指すケースは多い

土地家屋調査士試験の統計データに基づくと、合格者の平均年齢は例年40歳前後となっています。

この結果から、この職業は高校や大学などの新卒者よりも、社会人として勤務経験がある人が目指すケースが多いことが見えてきます。

比較的多いのは、建設業界や不動産業界など、土地家屋調査士の業務と関連性の深い分野からの転職です。

土地家屋調査士の業務では「測量業務」や「登記」といった専門性の高いものが多いため、関連業界での実務経験が豊富にあるほど、転職市場では有利となります。

もちろん努力次第では、まったく異なる業界からの転職を目指すことも不可能ではありません。

土地家屋調査士の国家資格は難易度が高いため、もし現職を続けながら勉強する場合は、計画的な学習プランを考えていく必要があります。

なお、先に土地家屋調査士事務所にて「補助者」としてキャリアをスタートさせ、実務経験を積みながら、土地家屋調査士の国家資格取得を目指す道も考えられます。

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独学で土地家屋調査士に合格できる? 勉強時間は?

多くの人は予備校に通い、700時間~1000時間程度を目安に勉強する

土地家屋調査士試験には、学歴などの受験資格が定められておらず、どのような人でも受験可能なものとなっています。

つまり、高卒の人も大卒の人も、そして100%独学で、土地家屋調査士を目指すこも制度上は可能です。

しかしながら、土地家屋調査士は国家試験のなかでも難関試験の部類で、例年の合格率は10%に満たない状況です。

合格に必要な勉強時間は「700時間~1000時間」が目安とされており、ほとんどの受験者は民間の資格予備校に通うか、通信講座を受講して勉強します。

ただ、独学で試験に挑み、合格を勝ち取っている人もわずかながら存在します。

民間の資格予備校では、たいてい30万円~50万円ほどの学費がかかりますが、独学であれば購入するのは参考書や問題集程度で、大きく費用が抑えられます。

しかし、記述式など独学での対策が難しい問題もあるため、まずは土地家屋調査士試験の内容の全貌をよくチェックして、自分に合う勉強方法を検討しましょう。

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