土地家屋調査士の需要・現状と将来性

土地家屋調査士の現状

土地家屋調査士に限った話ではありませんが、かつての士業系国家資格は、資格さえ取れば、それだけで一生何不自由なく暮らしていける恵まれた環境にありました。

とくに、2003年の規制緩和によって報酬基準額が撤廃される以前の時代は、独立開業した土地家屋調査士の平均年収が3000万円を超えていたこともあったようです。

しかし、規制緩和が実施されて以降は、案件獲得競争の激化によって1件当たりの報酬単価が下落し、土地家屋調査士の年収も下がり続けています。

このため、一昔前のような超高収入を得る人はきわめて少なくなり、独立土地家屋調査士のほとんどは年収1000万円に届かず、一般的サラリーマンと同水準という人も大勢いるのが現状です。

どれだけの収入を得られるかはあくまで個人のスキル次第であり、営業能力や経営手腕に秀でていれば、まだまだ大きく稼げる可能性もありますが、年々状況が厳しくなっていることは否めません。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

土地家屋調査士の需要

土地家屋調査士の需要は、景気の波に影響を受けやすいという特徴があります。

好景気のときは不動産取引が活発になり、表題登記や土地の分筆・合筆など、土地家屋調査士の依頼も増えますが、不景気のときはその逆となります。

足許では、マンション開発や大型商業施設開発などの大型建築が好調ですが、本格的な高齢化社会が到来し、徐々に人口そのものが減少していく日本の状況に鑑みれば、先行きは不透明といわざるを得ません。

ただし、近年では、国民全体で権利意識が高まっていることや、高齢者の遺産相続案件が増えていることなどによって、土地の筆界特定案件が増加傾向にあります。

特定の業務に偏るのではなく、まんべんなく依頼を受注できる体制を構築することで、時代の流れや景気変動による需要増減の影響を極力小さく抑え、安定的に事業を営むことも十分に可能です。

土地家屋調査士の将来性

土地家屋調査士にしかできない表題登記は、すべての不動産で行うことが法律で義務付けられています。

今後、さらなる人口減少に伴って、当面の間、案件数は漸減し続けると想定されますが、それでも土地家屋調査士の仕事自体がなくなることはないでしょう。

一方、土地家屋調査士の年齢構成に目を向けると、最も多いのは60代であり、50代以上の資格保有者が全体の約7割を占めています。

土地家屋調査士には、会社員や公務員と違って定年退職制度はありませんが、体力的な問題もあり、いつまでも続けられる仕事ではありません。

そう遠くない将来、大きく世代交代が進む見通しです。

したがって、これから土地家屋調査士を目指す人については、需要が減少し続ける厳しい環境であることを差し引いても、十分に成功できるチャンスはあるといえるでしょう。

参考:日本土地家屋調査士会連合会 日本全国あなたの近くの土地家屋調査士

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

土地家屋調査士の今後の活躍の場

土地家屋調査士は、「測量士」や「司法書士」「行政書士」など、ほかの専門資格と兼業している人が多い職業です。

土地家屋調査士会の統計によれば、兼業者は資格保有者全体の4割ほどに達しており、今は資格を持っていなくても、将来的な資格取得を検討している人も多数います。

上述のように、土地家屋調査士としての業務が減少傾向にあることを勘案すれば、土地家屋調査士の今後の活躍の場は、現状よりもさらに、ほかの職業領域へ広く拡大していくものと予測されます。

とくに、司法書士と行政書士は、土地家屋調査士が扱う案件のなかで関連業務が発生しやすいため、大きな相乗効果が期待できます。

ダブルライセンス、トリプルライセンスで働くことは、今よりももっと一般的になっていくでしょう。

これから土地家屋調査士を目指すなら、資格を取得した後も、ほかの資格取得に向けて継続的に勉強し続ける覚悟が必要といえるかもしれません。